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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
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葬儀

オリビアの葬儀の日になった。マリアム、サラ、ナタリア、ルーチェには街を適当に散策するように言ってある。

外は朝から雨だ。天もオリビアの死を悲しんでいるのだろう。ホテルを出て宮殿に向かう。頭上に雨避けの結界を張った。人々は傘という帝国独特の雨具を使っている。なぜ、宮殿かというとオリビアの入った棺が宮殿から街中を練り歩き大聖堂へ移動するのだ。ホテルから宮殿まではさそど遠くないので歩いて向かう。


宮殿の門の近くにやってきた。宮殿の門から私と同じように傘を差さない女性が出てきた。私はその姿を見た瞬間固まってしまった。綺麗な銀髪に大きな瞳、身体はマリア教最高位の礼服に身を包んだ女性…聖女だ。私が知っている聖女が私が知っている姿で門を潜って出てきたのだ。100年前と全く変わらない。聖女と目が合った。

「あらあら、ハリムくんではありませんか。このたびは御愁傷様で御座いましたね。」

「お前…なんなんだ、その姿は…」

「なんなんだとは失礼ですね。美しいでしょう?」

「100年前から全く変わってないじゃないか。」

「ほほほほ。ハリムくんも変わってないじゃないですか。」

「私はハーフエルフだからな。お前は人族だろう?」

「ええ、人族ですよ。知らないのですか?聖女は歳を取らないのですよ。」

そんなはずはない。こいつの前の聖女はちゃんと普通に加齢した。

「そんな怖い顔をしないでくださいな。わたくしと争いたいわけでなないのでしょう?」

「ああ。」

聖女はヤバい。勇者、聖女、剣聖、拳聖の中で私と1番相性が悪い。聖女は魔法に対する高い耐性を持っているのだ。私の魔法でダメージを与えられるのは『絶対零度』だけではないだろうか。そんなもの使ったら帝国が氷の世界になってしまう。私の剣と聖女の魔法…勝てないよな…

「お前は行列に参加しないのか?」

「ほほほほ。わたくしは今日の司祭ですよ?大聖堂で待っています。そんなことよりもハリムくん。」

「なんだよ。ソフィアのことか?」

「良く分かりましたね。なかなか優秀な子ではないですか。ハーフエルフの血も入りましたし、帝国は当分安泰ですね。」

「ちっ。オリビアがハーフエルフの血が欲しくて私に近付いたみたいな言い方止めてもらえるかな。」

「そんなそんな。まさか、ねぇ。聖女にもハーフエルフの血を入れてくださってもよろしくてよ。」

だれがこんなやつ。相変わらずイヤな女だ。

「ほほほほ。そんな怖い顔しないでくださいな。私は仕事がありますからこれで。また会いましょうね、ハリムくん。」

「もう会わないことを心から祈るよ。神に。」

「あら、お上手。ほほほほ。」

聖女は大聖堂の方に歩いていった。イヤな気分になった。


宮殿の門の中すぐにある広場にはすでにたくさんの人が集まっていた。ここに要るのは帝国人がほとんど。一般の人や他国の人は大聖堂に集まっている。ミラも大聖堂にいるだろう。クリミド商国からも遠いが評議員の誰かが参加しているはずだ。

「ハリム様。」

ソフィアの近くに行ってもいいのかな?ってキョロキョロしていたら声を掛けられた。

「やぁ、アリーチェ。」

サウザンドナイツのアリーチェだ。

「皇帝陛下がお呼びです。こちらへどうぞ。」

「ああ、ありがとう。」

アリーチェのあとに続いて歩く。

「ねぇアリーチェ。」

「はい、なんでしょう?」

「明日忙しいのかな?」

「そうですね。明日はまだ帰らない来賓がいらっしゃるでしょうから

皇帝陛下の護衛が忙しいかと。」

そうだよな。空いてれば、一緒に魔法の研究をと思ったけど残業だ。

「ハリム様、ありがとうございます。」

「いや、いいよ。また宮殿を訪れるよ。」

話しているうちにソフィアの近くまでやってきた。

「父上。」

「やぁ、ソフィア。」

「私は喪主ですので棺の前を御輿に担がれて行きます。父上も乗りますか?」

「いや、私はソフィアの御輿の横を護衛たちと歩くよ。」

護衛ってサウザンドナイツたちだよな。剣聖と逆側にいよう。

「承知しました。では出発しましょう。」

ソフィアは出発の合図を出し、御輿に乗り込む。

先頭の騎兵隊から順に門を潜っていく。楽隊のあと、サウザンドナイツの半分が出て私たちの番だ。私たちのすぐあとにオリビアの棺が続く。雨が小雨で良かった。


ソフィアの御輿の横をサウザンドナイツの上位陣と一緒に歩く。私の近くにはアリーチェとアブラムもいる。誰もひとことも話さない。アブラムとは目で挨拶を交わした。

前方の楽隊の厳かな音楽が流れてきて、道沿いに集まった帝国民が涙を流す。私もオリビアとの思い出を思い出しながら泣いた。ちらりとアブラムを見るとやつの顔も涙でぐしゃぐしゃだ。御輿の向こうでは剣聖が泣いているんだろうな。


大聖堂に到着すると本格的な葬儀が始まる。

前皇帝の葬儀だからな。なんかやることが多い。聖女とソフィアが。私の出番はあまりない。式は順調に進んでいく。

「では、故人オリビア様に最後のお別れをどうぞ。」

聖女の言葉にまずはソフィアが立ち上がる。

「父上も。」

ソフィアから誘われたのでソフィアと一緒にオリビアの棺に近く。オリビア…冷凍状態は良さそうだ。とてもいい顔をしている。

「お母様。どうぞ安らかに。」

ソフィアが棺の中に花を供える。

「オリビア…」

私は古城の近くで取れる黄色い花を供え、そっとオリビアの髪に触れる。この花はオリビアが大好きだった。きっと喜んでくれるだろう。

「生まれ変わってきたら必ず見付け出すから。」

私は棺から離れたのであった。

私たちが棺から離れると各国の来賓や帝国の重鎮などが棺に赴き花を供えていく。あ、ミラだ。目が合った。


葬儀は恙無く終了した。今から皇族専用墓地に移動し、埋葬される。ここは残念ながら私では入れない。いや、ソフィアに言えば入れてもらえるだろうが、わがままいけない。十分に気持ちを込めてオリビアを送ったのであった。


「お父様!」

私が大聖堂を出るとミラに話し掛けられた。

「やぁ、ミラ。」

「お父様、目が真っ赤ですね。」

「それはね。仕方ない。ミラにも分かるだろ?」

「ええ…」

「帰りどうする?転移で送ろうか?」

「いえ、他にも家臣を連れていますので大丈夫です。」

「そうか。」

「今は『迷いの古城』に帰っているのですか?」

「ああ。」

「では、今度お伺いしてもいいですか?」

「いいけど、今、マリアムがいるよ。」

「マリアム様!白竜姫ですね。古城に帰ってこられたのですね。お願いですので、ヘルミナ王国に危害がないようにお願いしますね。」

マリアムを知ってるとみんな心配だよな。

「気を付けるよ。そう言えばマリアム、子供を生んでね。ミラの弟になるね。」

「お父様…ついに竜族と…まさに伝説ですね。」

みんな驚くのな。

「それよりお父様。早めに転移で移動した方がいいですよ。」

「ん?なんでだ?」

「周りを見てください。『氷結の大魔導師』と繋がりを持ちたい国はごまんとありますから。」

周りを見回すとミラが言ったとおり来賓たちが次は自分の番だとばかりに待ち構えている。

「ミラ、助かった。いつでも古城に来てくれよ。」

「ええ。」

私は転移で逃げるように冒険者ギルドの前に飛んだのであった。

忘れた人のための人物紹介

アブラム→サウザンドナイツ序列4位。背の高いドワーフ

ミラ→ハリムの娘。ヘルミナ王国の宮廷魔導師筆頭。


葬儀って難しい。だいぶはしょりました。勉強不足です。

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