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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
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帝国へ

2週間経った。明日がオリビアの葬儀の日だ。

この2週間で1番成長したのはマイ、1番の誤算はヤンかな。

マイは母親以外から今まで教育らしい教育を受けていなかった。それでも読み書きはほぼ完璧に出来て言葉遣いも綺麗なんだから良い母親だったのだろう。マイは学ぶということが楽しいみたいでどんどんいろんなことを吸収していく。魔力循環法はほぼ問題なく使いこなすし、結界魔法も対魔法の結界を習得した。基本四種も初級は全部覚えた。今は武器の扱いを練習中。剣はちょっと苦手みたい。刃を当てるということが難しそうだ。ハンマーか何かがいいかもしれない。私には作れないのでロマニコフ商会か帝国で探してみよう。


ヤンの誤算はいい方の誤算。魔力循環法を不器用ながら覚え、対物理結界も薄いが張ることに成功して元から高かった防御力が一段と上がった。強さを求める執念が凄い。最近ではミザリとガチで殴りあっている。すぐに負けてしまうが、きっともっと強くなってくれるだろう。


「私はオリビアの葬儀で3日ほど帝国に出掛ける。付いて来たいものはいるかな?」

「はい、行きたいです。」

私がみんなに問うとミザリが真っ先に手を上げた。お出掛けの楽しさを知ってしまったか?

「帝国は人種のるつぼだから普段はいいんだけど、今回はミザリは不味い。」

「はい?どうしてです?」

「今回の葬儀で聖女が来てるんだよ。」

「聖女です?」

「ああ、聖女だ。」

帝国は実力社会なので、例え魔族でも強くて忠誠を誓うなら受け入れる国だ。だが、聖女は不味い。

「聖女っていうのは光魔法を高次元で使いこなす化け物だ。吸血鬼の天敵だよ。ミザリだと一瞬で浄化されてしまう。私でも庇えないかもしれない。」

「はわわ。それは怖いです。辞めときますです。」

「ああ、それがいい。他の子は大丈夫だから遠慮なく言ってくれ。」

私がそういうと、ナタリアとサラとルーチェが手を上げた。

「人族領最大最強の国、デギル帝国。行ってみたいです。」

「あたしも。帝国行ってみたい。」

「私はどこへでも行ってみたいです。全てが新鮮ですから。」

この3人か。

「ハリム。わらわはダメか?オリビアの顔を見たいのだが。あと、カミールの姉も見てみたい。」

マリアムだ。

「マリアムは葬儀はダメだろ。剣聖とか聖女に喧嘩売られても大人しくしてれる?」

「イヤ、無理だな。」

「だろ?娘に怒られたくないんだ。大人しくサラたちのお守りをしてくれるならいいぞ。」

「んー。それでもいいか。よし、付いて行くぞ。」

「他の子は3日間休んでていいからな。もちろん特訓しててもいいからな。シャーロット、頼むよ。」

「はいはい。心得ておりますわよ。わたくしの分までオリビアを送ってくださいませ。」

「ああ。」

こうして帝国に行くメンバーが決まったのであった。


「うわっ、何この大きな建物。」

「ああ、これは帝国ギルドの総本部だよ。」

帝国のギルドの前にやってきた。着いた瞬間サラが驚きの声。それもそのはず、帝国ギルドの総本部は他所のギルドの優に10倍はある、10階建ての四角い石の建物だ。コンクリートっていうんだったか?

「すごいです。他にも大きな建物がいっぱい。」

ナタリアも驚いている。帝国はこの大陸でずば抜けて科学というものが発展している。建物はコンクリート、窓にはガラス…しかし緑が少ない。私は好きではない。工場地帯へ行くともっとヤバい。煙突から1日中黒い身体に悪そうな煙が上がっている。シャワラムにある船が出す蒸気もヤバいが。

「わらわのドラゴン型でも入れそうな建物だな。」

いや、入れないよ?止めてね、そういうの。

「宿屋へ行こう。あ、ホテルって言うんだったか?」

「ハテル?」

「そう。宿屋っていうのもあるんだけでね。帝国に来たらホテルに泊まらないと。」


大きな5階建ての建物の前にやってきた。大きなガラス張りの出入口から中に入る。

「いらっしゃいませ。これはこれは、ハリム様。」

受付の男性が声を掛けてくれる。会ったことあったかな?

「1番いい部屋は空いているかな。」

「スイートルームですね。ええ、空いております。」

「では、そこを2泊頼むよ。5人で。」

「畏まりました。大金貨1枚で御座います。」

「2泊で大金貨1枚!?」

サラが驚いている。そうだよな、他の宿屋だとだいたい1泊銀貨5枚

だもんな。

「ここはそれだけの価値があるよ。はい、大金貨ね。」

「確かに頂きました。これがスイートルームの鍵で御座います。」

「ありがとう。」

フロントで会計を済ませると若い男がひとり近付いてきた。ボーイだ。

「お部屋までご案内いたします。お荷物は御座いませんか?」

「ああ、ないよ。」

「では、こちらへ。」

男に付いて5人で歩く。階段の前を素通りする。

「あれ?階段じゃないの?」

「ああ、スイートルームは5階にあるからね。転移ルームがあるからね、そこから行くんだよ。」

「転移ルーム?」

まぁ分からないよな。

「こちらがスイートルームの転移ルームで御座います。ご利用方法は…」

「ああ、分かるよ、これの開発にも携わっているから。ここまでありがとう。」

ボーイにチップの銀貨1枚を渡す。

「ありがとうございます。ではご用の際は部屋のブザーを押してください。」

「ああ。」

「失礼します。」

ボーイは一礼すると去っていった。私は鍵を使って部屋の扉を開ける。そこは10メートル四方ほどの部屋であった。

「ここが転移ルーム?けっこう広いね。」

サラもみんなもキョロキョロ部屋を見回している。私は部屋の中央に行き床に手を付く。少しだけ魔力を流す。すると部屋一面に大きな魔方陣が浮かび上がった。

「綺麗です。転移魔法の魔方陣ですか?」

ルーチェだ。

「ああ、少しの魔力で起動させるのに苦労したんだ。」

「ハリムさんが開発に携わったって言ってましたもんね。」

「ああ、そうだよ。行こう。」

5人で部屋の中央に立つと転移が発動し、視界が切り替わった。


そこは大きな扉の前。鍵を外し扉を引く。

「さあ、みんな。入った入った。」

私の言葉に4人は中に入る。私は扉を閉めると3人に続いた。

「わっ、広い。」

「凄いです…」

「天井も高いですね。」

サラ、ナタリア、ルーチェだ。

「うむ。この広さならドラゴン型になれるのではないか?」

「いや、それはマジで勘弁して。」

「はっはっはっ、冗談だ。」

マリアムは本当にやりそうだから怖いよ。

「部屋の中に扉が6つもありますよ?開けていいですか?」

ナタリアもはしゃいでいるな。

「おお、いいぞ。探検してみな。」  

サラとナタリアとルーチェが駆け出す。

「あ、ここお風呂だ。広ーい。」

「ここはお手洗いですね。変わった形です。」

「ここは寝室です。ベッドが3つあります。」

この部屋には寝室が4つある。ベッドがひとつの部屋が1つ、2つの部屋が2つ、3つの部屋がひとつある。

「ナタリアは貴族だったんだから、これくらいの部屋に住んでたんじゃないの?」

「はい、広さはこれくらいの部屋はありましたが、ソファーやベッドはこちらの方が良い物な気がします。」

まぁ、ソファーやベッドにしても帝国は最先端だからな。

「サラ、ベッドに飛び込んでみて。」

「いいの?それっ。」

「私も。」

ベッドがひとつの部屋の大きなベッドにサラとルーチェが飛び込む。ベッドの上で弾んでいる。

「すごーい。ふかふかー。」

「凄いですね。」

「ハリムさん部屋割りはどうしますか?」

ナタリアは聞いてきた。

「好きな部屋使っていいよ。」

「では、ルーチェ。一緒にあのベッドが二つの部屋にしましょう。」

「はい。ナタリア。」

ルーチェとナタリアは別の部屋へ行った。

「わらわたちは3人でここで良いかの。」

「ほゎっ。3つのベッドがある部屋じゃなくて?」

「どうせ、ひとつで寝るじゃろうて。それなら1番大きなベッドのここがいいであろう?」

「そ、そだけどさ。」

「なんなら、サラは別の部屋に行ってもいいぞえ?」

「え?そんなんイヤだ。」

「では決定だな。」

今夜はマリアムとサラか。楽しみだ。

こうして帝国1日目はホテルで過ごしたのであった。

私、ホテルってあんまり使ったことないんですよね。スイートルームなんでとてもとても。だから難しかったです。突っ込みどころは多々あるかと思いますが、どうか広い心で読んで頂けると助かります。

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