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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
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お出掛け最終日の夜

ライラの様子を見に行く前に、そろそろ呼ばれるんじゃないかなって思ってたら、案の定、私の足元に魔方陣が出来上がった。

「じゃあ、ちょっと行って来るよ。」

屋敷のみんなにそう言って召喚に応じるのであった。


「父上!」

「やぁ、ソフィア。そろそろ呼ばれるんじゃないかなって思ってたよ。」

私が呼ばれたのはデギル帝国の宮殿の中だ。たぶんソフィアの私室かな?かなり広い。ソフィア以外にもうひとりいる。サウザンドナイツのアリーチェだ。特に急用ではないみたい。

「ふふふ。分かってしまいましたか。そろそろ『迷いの古城』に帰るのではと思いまして。その前に少しお話を。お茶でも如何ですか?」

「ああ、構わないよ。」

「アリーチェ。」

「はい。」

アリーチェはさっと部屋に置かれているテーブルの前の椅子を引いてくれたので腰を掛ける。アリーチェは反対側に移動しまた椅子を引く。ソフィアが腰を下ろす。アリーチェはさっとソフィアの斜め後ろに立つ。

チリンチリン

ソフィアがテーブルの上の鈴を鳴らす。

「失礼します。」

部屋にメイド二人が入ってきて、テーブルに茶菓子を置き紅茶を入れてくれて部屋を出ていった。

「お母様の葬儀は2週間後の土の日です。」

王族などの葬儀は土の日がいいとされている。マリア教では。帝国は隣に聖アレフ教の本山があるシャワイン聖王国があるが、とっても仲が悪いので、国教はマリア教なのだ。

「分かった。必ず出席するよ。やっぱり司祭は聖女?」

「ええ。」

「うぇ、会いたくないな。今の聖女ってどんな人?」

「あら?ご存知ないのですか?」

前、聖女に会ったのは100年ほど前だ。人族なのでさすがに生きてないだろう。そのときの聖女はイヤなやつだった。

「今のは知らないな。」

「そうですか。では、お楽しみということで。ふふふ。」

なんだよ。今の聖女はいい人なのかな?まぁ美人は美人なんだろう。私が知る限り聖女が美人でなかったことがない。私は苦手だが。

「それより父上。」

「ん?なんだい。」

「もうご存知だと思いますが、今わたくしの後ろに立っている者はアリーチェと申します。」

「サウザンドナイツ序列2位『蒼炎の魔導師』アリーチェと申します。」

「ああ、よろしく。」

今さらどうした?

「彼女は、火系の魔法を最上級を越えて使える他、重力魔法、空間魔法も操ります。今は氷魔法を練習中だそうです。」

「ハリム様、ずっと尊敬していました。今度、時間があれば氷魔法を教えて頂きたく思います。」

アリーチェが立ったまま頭を下げる。

「ああ、構わないよ。なぁ、ソフィア?」

「はい、なんでしょう?」

「もしかして、私とアリーチェをくっつけようとしてる?」

「あら、ばれちゃいましたか。」

ソフィアはペロッと舌を出す。こういうところ、オリビアにそっくり。

「いや、あからさまだろ。」

「ふふふ。元老院のじいたちがわたくしとの親子関係だけでは心配らしいんですよ。」

「何が心配やねん。帝国と対立したことなんてないぞ?」

「さあ、じいたちの考えることはわたくしにはちょっと。ただ、アリーチェは昔から父上を尊敬していましたのでいい機会かと。」

「あの、私、200年ほど生きてますが、魔法一筋に生きてきましたので恋愛というものは全く分かりません。ですが、ハリム様ならばという気持ちはあります。」

んー。これどうなんだろうか。

「うむ。まぁそう気負わず、とりあえず一緒に魔法を研究するって形でどうだろう?」

「わたくしとしては急がないにで気長にどうぞ。ふふふ。」

「ハリム様と研究ですか!感激です。是非お願いします。」

魔法の研究が好きなんだろうな。

「まぁ半年に1度くらいになると思うけど、そのときは顔を見せるよ。」

「ええ、よろしくお願いします。」

こうしてソフィアとのお茶会は終了したのであった。


帝国の宮殿からミシビ王国まで転移魔法で飛んだ。ミシビリアンの門の前に到着。そろそろ街の中に転移出来るようにしたいな。

今は日暮れの少し前、門の前には馬車の行列が出来ている。物流が再開出来たみたいだ。良かった良かった。

私は門番にギルドカードを見せ街の中に入る。ギルドカードを見せると大抵の街では入市税は取られない。大通りを中央に向かって歩く。この街の冒険者ギルドに行ったことないんだよな。前、城まで行ったときには見なかった。逆の門の方だろうか?だれかに聞くかな。と思ったときだった。

「ハリム?ハリムじゃないか?」

ライラの声が後ろから聞こえた。

振り替えるとライラがカシムら数人の冒険者を引き連れていた。みんなけっこう酔っ払ってる?

「やぁ、ライラ。無事に帰れたみたいで良かったよ。」

「ああ、今日の昼ごろミシビリアンに着いたんだ。ハリム、ドラゴンの件、片付けてくれたのに報酬受け取らなかったんだって?」

ん?正確には伝わってないのか。まぁその方がいいか。

「受け取らなかったというか、受け取れなかったというか…」

「ハリムは相変わらず太っ腹だな。ハリムが受け取らなかった報酬を国が救援隊に回してくれたんだ。だから報酬がたっぷり入ったから飲み屋をはしごしてるとこだ。おい!みんな、ハリムにお礼!」

「「あざーす。」」

私は右手を上げて答える。なんだミシビ王も粋なことするじゃないか。これなら、報酬受け取らなくて本当に良かった。

「無事に帰ってたならいいんだ。存分に楽しんでくれ。」

「なんだ、ハリムも行かないのか?」

「私は今日は遠慮するよ。ほら、私がいると緊張するのとかいるだろ?」

「そうか?そうだな。じゃあ、また会いにきてくれよな。」

「ああ、必ず。あ、そうだ、ライラ右手出して。」

「ん?」

ライラが右手を出したので、私を召喚出来る指輪をはめる。周りからヒューヒューという声が聞こえる。

「ハリム…」

「これは宝石としてももちろん価値はあるけど、魔導具だ。ライラの身に危険が迫ったり、またこの国が滅亡の危機になったりしたら、魔力を込めて床に押し付けてくれ。きっと問題を解決してくれるさ。」

「あ、ありがとう。」

ライラはたまに見せる純情そうな顔が堪らないな。

私はライラたちと別れた。ちょっと残念だが仕方ない。無粋な真似はしなさ。私は外套のポケットから紙切れを取り出す。

「んー。やっぱり知らない宿屋だな。誰かに聞くか。」


何人かの人に聞いて紙切れに書かれた場所に向かう。そこはボロい宿屋だった。受付で部屋を聞いて部屋の前までやってきた。

コンコン

ノックする。

「はーい。どなた?」

部屋の中から声が聞こえてきた。

「ハリムだけど。」

「あ、ハリムさん?ちょっと待ってください。」

部屋の中でドタバタ音がした。少し待っていると部屋の扉が開いた。出迎えてくれたのはセダだ。パルテンで助けた冒険者の女の子。茶色い髪の普通の人族の女の子だ。

「こんなに早く来てくれるなんて思いませんでした。うれしいです。」

「ちょっと時間が出来たんでね。入っていい?」

「どうぞどうぞ。ボロいところですけど。」

「いや、構わないよ。」

部屋の中に入る。

「あの…抱いて頂けるということですか?」

「ああ、そのつもりで来たんだが、本当にいいのかい?」

「こんな汚された身体でよろしければ…ううううう。」

セダはあのときのことを思い出してしまったのか泣き出してしまった。私はそっとセダを抱き締め、肩の高さで切られた少しパサついた髪を撫でる。

「君の身体は汚れてなんかいないさ。もし汚れていると言うなれば私が浄化してあげよう。」

「ハリムさん…」

セダと唇を重ねる。もう二人に言葉は要らなかった。そのままベッドに倒れ込み、朝まで愛し合ったのであった。



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