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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
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三重奏 1

サラ視点。シャワラムでハリムと別れた後からの話です。

「改めてよろしくね。ジーク、ルーチェ。」

「よろしく。」

「よろしくお願いします。」

帝国ギルドの前でハリムと別れたあと、一緒に置いていかれたジークとルーチェに挨拶した。

「早速帝国ギルドで登録しよっか。」

「「はい。」」

二人を連れて帝国ギルドに入る。相変わらず人相悪い人が多いなぁ。クリミドのギルドだと知り合いもいるんだけど、こっちにはアーノルドたちしかいない。ギルド内を見渡してみたけど3人はいないみたい。あんなことあったし休業中かな?

「あっちのカウンターだよ。行こ。」

ギルド内を進む。

「なんだなんだ、ちっこいのが3人もいるぞ。」

「うひょー。この子ハイエルフじゃね?かわいいー。」

「こっち来て俺たちに酌しろよ。」

私たちの行く手を身体の大きな男3人が遮った。あれ?この人たち、あたしが表でハリムとキスしてるの見てなかったのかな?ひとりの男があたしに触ろうと手を伸ばしてきた。あたしハイエルフじゃないけど?どう対処しようかと考えてたそのときだった。

「うげらちょ。」

男は吹っ飛んでいった。

「汚い手でサラ様に触るな。」

「え?ジーク?」

ジークが吹き飛ばしたみたい。何をしたのかぜんぜん見えなかった。

「てめぇ、よくもやってくれたな。」

「優しく教えてやろうと思ったのに、もうそうはいかねぇ。」

残った二人の男が剣を抜いた。えええ、ここギルド内だよ?武器抜いていいの?

「この人族懲らしめてよろしいのですか?」

「いいんじゃない?旦那様にサラ様には傷ひとつ付けるなって言われてるし。」

ルーチェとジークは余裕だ。

「こ、殺しちゃダメだよ。ハリムに怒られるよ。」

殺しはまずい。さすがに。

「え?ハリム?ハリムって言ったか?」

あ、ハリムの名前出せば良かったんだ。ハリムは帝国ギルドで有名だもんね。

「そうよ。この二人は大魔導師ハリムの愛弟子。あんたたちが束になっても敵わないんだからっ。」

びしっと言ってやる。これ以上の騒ぎはまずいし。

「ほ、本当かよ。」

「うそじゃねぇだろうな、こんなちっこいガキ二人。」

「さっき、あんたたちの仲間が吹き飛ばされたの見たでしょ?」

ここはびしっと。

「オレ、その女が表でハリムさんとキスしてるの見たぞ。」

待ち合い場所にいた他の冒険者が言ってくれる。

「その女、たぶんハリムさんの女だ。知らねぇぞ。お前らハリムさんに殺されっぞ。」

「ハリムさん、自分の女には甘々だって噂だぜ。」

「この前、宿屋のハーフエルフに手出そうとして再起不能になったやつ知らねぇのかよ。」

どんどん他の冒険者が援護してくれる。ハーフエルフってアンナさんだよね?再起不能って…ハリムならやるかな?

「す、すみませんでした。」

「申し訳ありませんでした。」

二人の男は綺麗な土下座をかますとすぐに立ち上がり吹き飛ばされた男を回収してギルドから逃げるように出て行ってしまった。

「やっぱり旦那様はすごいな。噂話だけで解決しちゃったよ。」

「ええ、本当に。」

「僕も旦那様みたいになりたいな。」

ジークとルーチェは言うけど、ならなくていいんじゃないかな?再起不能だよ?


「はい、これでお二人の登録は完了です。等級は二人ともD級からとなります。」

「え?D級?Fからじゃないの?」

二人の登録手続きをしてくれた受付のお姉さんが不思議なことを言い出した。

「私も見ていましたが、先ほど吹き飛ばされた方たちはC級なんですよ。B級からでもいいくらい。さすがに私にそこまでの権限はありませんが。」

「あ、そうなんだ。C級だったんだ…」

初め見たときは強そうに思ったけど、簡単に吹き飛んだからそんなに強くないのかと思ってた。C級か…ジークっていったい…

「何か依頼を受けて行きますか?」

「いくいく。二人とも討伐でいいよね?」

「討伐以外に何かあるの?」

「私は採集とかでもいいですけど。でもこちらの魔物と戦ってみたいですね。」

なかなかバトルジャンキーな答えが返ってきた。この二人、獣人じゃないよね?

「なんか討伐ある?魔物でも盗賊でもいいよ。5日以内で終わりそうなの。」

「それでは…シャワラムから南に半日、グレーウルフの群れの討伐。次は、シャワラムから南西にこれも半日、盗賊団の殲滅。最後に、討伐ではありませんが、シャワラムを出てすぐの北の海岸でクラーケンの調査、見付け次第可能なら討伐。最後のはB級以上推奨の依頼になりますね。」

「クラーケン?海洋性の魔物ですよね?戦いたいです。」

ルーチェ…やばいよ…

「では、最後のにしますか?」

「全部でいいんじゃない?重複はダメなの?」

うぇ、ジーク…まじか…

「可能ですよ。しかし、重複で依頼の失敗をすると多額の違約金が発生しますが?」

そうなんだよ。他の冒険者にも、依頼主にも迷惑が掛かるからね。

「やってみましょうよ。きっと大丈夫ですよ。」

「やろう、やろう。」

この二人は…違約金、ハリム払ってよねっ。

「では、全部でお願いします。」

こうしてあたしたちは3つの依頼を受けたんだ。


「早速行こうよ、クラーケン。」

「私も行きたいです。」

帝国ギルドを出ると最早二人は行く気満々だ。はぁ。

「二人とも観光はいいの?ハリムにシャワラムを案内するように言われてるんだけど。」

「行く間に観光出来るよ。」

「そうですよ。」

こりゃダメだ。

「ぶ、武器は?そのままでいいの?」

「そうか、この双剣じゃキツいかもな。あんまいいやつじゃないし。」

「私もナタリアから借りているナイフはいいですけど、都会のショートボウを見てみたいですね。」

お、食い付いてきたっ。

「じゃあさ、ハリムからお金貰ってるしさ、私がよく行く武器屋に行こ。」

さすがにロマニコフ商会には連れて行けない。あたしは買ったことないけど、アレンたちに付いてよく行っていた武器屋に行こう。


「いらっしゃい。あれ、サラちゃん?少し変わったね。」

武器屋に入ると店主のおじさんが声を掛けてくれた。

「あ、うん。いろいろあったしね。アレンたちは来てる?」

「最近は来てないな。サラちゃんは一緒じゃないの?」

「うん。あたし、あのパーティー抜けたんだ。」

「そうなんだね。まぁ冒険者だしいろいろあるよね。その二人が新しいメンバー?」

「あ、うん。短期間だけどね。この二人はまだ小さいけど強いんだよ。」

「うん。二人ともいい目をしている。きっと強いんだろうね。」

「え?わかるの?」

「明確には分からないけどね。これでも散々冒険者を見てきたんだ。多少は分かるさ。で、今回は?その子たちの武器?」

「うん。双剣とショートボウだっけ?見せてあげて。」

「予算は?」

「うんとね。」

あたしはハリムから預かった袋を開ける。

「うわっ。」

中から見たことない数の半金貨と金貨が出てきた。

「ちょっと貸してみて。」

おじさんに袋ごと渡す。

「ひい、ふう、みい…百。ちょうど百枚あるね。金貨は10枚。」

「は、半金貨百枚…」

何その大金。

「これだけあればいいの出せるよ。全部武器に使っていいの?」

「あ、えっと…」

二人を見るとルーチェは皮の胸当てを付けているけど、ジークは服だけ。防具付けてないじゃん。

「ジーク、皮の防具買おうっか。ルーチェはどうする?」

「あ、防具か。うん。皮のでお願い。」

「私はこの胸当てがあるから大丈夫です。あまり付けると動きが鈍くなってしまいます。」

「おじさん、ジークに合う皮の防具もね。」

「胸当てだけでいいのかね?」

「あ、うん。胸だけでいいや。僕も動きが制限されるの嫌だし。」

「じゃあ、ちょっと待ってて。」

おじさんは奥に入ってすぐに一対の双剣と弓矢を持って出てきた。

「この双剣はドワーフが打った物で突くだけじゃなくけっこう切れる。」

「いいな、これ。これにする。」

ジークはご満悦。

「このショートボウはハーフエルフの職人が作った物だ。お嬢さんにはちょっと弦が重いかもしれん。」

「ちょっと貸してください。…ああ、これくらいなら大丈夫です。すぐ慣れます。」

「それは良かった。ではこれがショートボウ用の矢ね。3本先が水色のがあるだろ?それは睡眠の効果があるらしい。1本1回しか効果ないからね。」

「それは便利ですね。」

これだけお金あればそんな物買えるんだ…

「ジークくんだっけ?皮の胸当てはそこにあるのから合うやつ持って行ってよ。」

「はい。」

こうして買い物を終え、武器屋を出たんだ。

お金はハリムと別れる前に受け取ったことにしてください。

サラは今後、シャワラムの帝国ギルドでハリムの女と恐れられるようになります。

武器屋のおじさん、今日1日で半年分くらいの売り上げを出しました。ウハウハです。

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