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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
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マリアムとカミール

「で、その子が私とマリアムの子なのか?」

ミシビ王との謁見を終えたあと、私とマリアムとカミールの3人はミシビリアンから少し離れたところにある広い草原にやって来た。二人は現在人型だが、とりあえず広いところに行きたかった。

「おお、そうだぞ。カミール、パパに挨拶しろ。」

「あい。ぱぱ。カミールだよ。会いたかった。」

「ああ、カミール。こっちおいで。抱っこさせておくれ。」

「あい。」

カミールが近付いて来たので抱き上げる。カミールは嬉しそうだ。

「マリアム。急にいなくなったのは妊娠したからなのか?」

「ああ、そうだぞ。父上に報告したかったし、ドラゴン型でないと出産できないからな。」

「うぇ。黒竜王に言ったのか?どうだった?」

「慶んでいたぞ。そんな気概のあるハーフエルフがいたのかと驚いていたな。」

「そうか、良かった。ひとこと言ってくれれば良かったのに。」

「ハリムを驚かせようと思ってだな。だがあまり驚かないのだな?」

「まぁ驚いたけどさ、最近似たようなことがあったばかりだからな。どっちかというとまたかって気持ちの方が強かったな。」

「何?またとは。他に子供がいたのか?」

「ああ、オリビア…前帝国皇帝。確か会ったことあっただろ?」

「ああ、あの娘か。何回か会ったな。あの娘とハリムが出会ってからわらわにあまり構ってくれなかったもんな。」

「そ、そうだったか?」

「そうか、では今の皇帝がカミールの姉ということか?」

「ああ、そうなるな。」

「1度会わせてやりたいな。」

「ああ、きっと驚くよ。」

竜族の姉弟だもんな。私はマリアムから他種族とも繁殖出来ると聞いていたが、他の人たちは知らないだろうからな。

「これからどうするんだ?」

「また古城で住みたいな。」

「カミールってさ。」

「なんだ?」

「強い?」

「人型になれたばかりだから人型でも戦闘はまだ無理だと思うが、ドラゴン型ならミザリくらいの強さではないか?」

「ほぅ。」

「何かあったのか?」

「いや、魔王に喧嘩売られてさ。」

「うげぇ。魔王に?」

「仲間10人集めろって言われたから15年待てって言っておいた。」

「何人集まったのだ?」

「うむ。たぶんレベルの高い戦いになるからな。成長に期待して付いて来れそうなのが、ミザリ、ジーク、エドワード、リーユー、ルーチェの5人かな。ナタリアとヤンは微妙だな。」

「じゃあ、わらわとカミール、シャーロットで8人か。」

「シャーロットは古城から出せないって言われた。」

「なぬ。ではそのナタリアとヤンとやらが上手く育ったとして9人か。」

「ああ、あと二人くらいほしいところだな。」

「まぁなんとかなるだろ?勝てばシャーロットは解放されるのだな?」

「ああ、そう言っていた。」

「では負けられないな。」

「ああ。」

二人いや、カミールを入れて3人で魔王打倒の決意を固めたのであった。カミールはよく分かっていないようだったが。


「なあ、ハリム。」

マリアムが顔を赤らめて私を呼んだ。

「ん?なんだ?」

「あの…わらわ30年ぶりだから、その…したいのだが…」

「おい、ここでか?」

「ダメか?」

「ダメだろ。カミールもいるし。」

「カミールは竜族。そんなこと気にせんぞ。」

「私が気になるの。」

「えー。」

「えーじゃない。あ、そうだ。今から南東の海に『フジ』っていう国を探しに行くつもりなんだけど、一緒に来る?カミールは付いて来れるかな?」

マリアムは余裕で私の飛行に付いて来れる。ていうかマリアムの方が速い。

「どれくらいの距離なのだ?」

「船で1ヶ月くらいって言ってたから結構あるんじゃないか?」

「んー。ではドラゴン型でギリギリってところだな。」

「ドラゴン型は騒ぎになるからまずいな。よし、じゃあ、カミールをランペドの屋敷に預けて二人で行くか。その途中の無人島なんかでどうだ?」

「おお、いいな。そうしよう。」

「じゃあ、転移魔法で飛ぶからレジストするなよ。」

「おお、転移魔法。久しぶりだな。初めて古城に入ったとき以来なのだ。」

「そうだったか?飛ぶぞ。」

「ああ。」

「あい。」

カミールも答えてくれたのでランペドの屋敷に転移したのあった。


ランペドの屋敷の庭に付いた瞬間、私の目の前をボロ雑巾のようになったヤンが通過した。慌てて極大の水の癒しを掛ける。

「あああああ、ハリム様やっちゃいました。」

ミザリが慌てた様子で走ってくる。

「やっちゃいました。じゃねぇよ。あれだけ手加減しろって言っただろっ。」

「ごめんなさいごめんなさい。だってヤンが本気出せって。」

「ハリムさん。オレが悪いんだ。調子に乗っちまった。」

ヤンがなんとか全快して起き上がる。

「はっはっはっ、ミザリは相変わらずなのだな。」

「げ、マリアムさん。」

「げ、とはなんだ。ちょっと遊ぶか?」

「え、遠慮しておきますです。」

ミザリは凄い勢いで顔を左右に振る。よっぽど嫌なんだな。マリアムはミザリ以上に手加減出来ないからな。

「マリアム、今は止めてやれ。他のみんなは?」

庭にはミザリとヤンしかいなかった。

「エマとナタリアちゃんはお昼作ってくれています。狐はそれの摘まみ食いですかね?エドくんは書庫で魔法書を読みたいって言ってました。クリスさんは仕事じゃないですか?」

「じゃあ、昼食を取りながら話そうか。」

私たちは食堂へ移動した。


「この白髪の可愛らしい女の子がマリアム。白竜姫だ。そしてこの男の子供がカミール。私とマリアムの子だ。黒いドラゴンだぞ。」

パリン。ガシャン。

私が食堂でみんなに二人を紹介するとそれを聞いていた使用人たちが皿を落としたり、トレイをひっくり返したり…

「ああ、良い良い。仕方ない。すぐ片付けなさい。旦那様…貴方ついに竜族と…」

クリスが使用人を宥めたあと、私を白い目で見て来る。

「はははっ。さすが旦那様だ。竜族の恋人が出来たって聞いてはいたが、まさか子供までとは。」

エマは誉めて?くれる。

「すげぇ。ドラゴンかよ。あのミザリがビビるはずだぜ。」

「竜族…初めてお会いしました。あの…大丈夫なんですよね?」

「ドラゴン…凄い…」

ヤン、ナタリア、エドワードはこの反応。リーユーは…必死にご飯を食べていて聞いていない。まぁリーユーだしな。

「大丈夫だよ。マリアムとは長い付き合いだし。いいやつだぞ。なぁ。」

「はっはっはっ、そう、わらわはいいやつだぞ。ほら、カミール、挨拶しろ。」

「あい。カミール。よろしく。」

「カミールを少し預けたいのだが…大丈夫か?」

「ええ、危害がなければ大丈夫でしょう。すぐ慣れます。その…ドラゴンになってしまったりは…」

クリスは少し不安そう。ランペドの町の中でドラゴンになったら大変だからな。

「どうなんだ?マリアム。カミールは人型維持出来るのか?」

「大丈夫だ。1回人型になれてしまえば、寝ぼけてドラゴン型になったりはしない。わらわたちの変身はそういうものではないのだ。な、カミール。」

「うん。大丈夫。」

「そういうことだ。頼むよ。まだ人型に慣れてないみたいだけど、竜族だからな。やすやすと戦いを挑むなよ。」

「ドラゴン…戦ってみてぇな。」

ヤンだ。さすが戦闘種族。発言がバトルジャンキー。

「ヤン。さっき見たとき魔力循環法を使ってないようだったが?」

「ん?オレたちはすでに似たようなことしてるけど?」

「あれは『気』というものだ。ヤンの中には魔力もある。私の理論では併用も可能なはずだ。」

「なに!じゃあ、オレはもっと強くなれるのか?」

「ああ、なれる。なって貰わないと困る。」

「が、頑張るよ!」

こうしてランペドの屋敷での昼食を終え、クリスたちにカミールを預けてマリアムと転移で飛んだのであった。

ハリムはサラを魔王との戦いに連れて行く気はありません。あまあまです。

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