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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
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ミシビ王国

ミシビ王国の王都ミシビリアンの外壁の外に到着した。ドラゴンの脅威があるかだろう、門が固く閉ざされている。まぁドラゴンは飛べるから外壁も門も関係ないのだが…まあ気持ちの問題かな。私は半年前に黒オーガを討伐したときが2回目のミシビ王国来訪だったため、ミシビリアンは詳しくない。だから街の中には転移出来ないのだ。

「おーい。そこのハーフエルフー。どこの者だー。何しに来たー。」

外壁の上で警戒していた兵士が私を見つけ声を掛けてきた。

「私は魔導師のハリムー。ここの王の依頼を受けて来たんだ。街に入れてくれー。」

「ハリム?大魔導師ハリムか?話は聞いているー。少し待ってくれー。」

少し待っていると門の脇にある鉄の扉が開いたので入る。

「これはこれは大魔導師ハリム殿、お待ちしておりました。私は騎士団長のベルクと申します。城までご案内します。どうぞこちらへ。」

迎えてくれたのは大きな身体を全身甲冑に包んだ男。私を城まで案内してくれるらしい。

「ああ、よろしく頼むよ。」

私がそう言うとベルクは歩き出したので付いていく。街を歩くと街民たちはいつも通り生活をしているようだった。活気がないわけではない。しかし違和感を感じた。

「そういえば冒険者風の人を見掛けないな?」

そう冒険者風の人がひとりもいない。どの街を歩いても普通何人かは擦れ違うもんだ。

「え、ええ。今はドラゴンのことがありますから依頼がないんでしょう。」

ベルクが答えてくれる。

「みんな宿屋で休んだりギルドでたむろしたりしてるのかな?」

「え、ええ、まぁそんな感じ…でしょうな。」

なんだ?なんか隠してないか?

城に到着すると案内を使用人に任せてベルクは外壁の方に去って行った。謁見の間に通される。私は赤い絨毯の上をひとりで進む。王の座には中年の王らしき人族が座り、その両脇に大臣ぽいのや護衛の騎士たちが数人立っている。私は片膝を付き頭を下げる。帝国ではやらなかったが普通はやる。王にも面子があるしな。

「魔導師ハリム、ミシビ王国の危機を伺い馳せ参じました。」

「おお、大魔導師と名高きハリム殿、よく参られた。我はミシビ王国国王ユスフ=サス=ミシビである。早速ドラゴンの件なのだが。」

「はい。早速行って参るつもりであります。」

「おお、さすがハリム殿。こちらで用意する物はありますかな?」

大臣のひとりが言う。

「はい。物ではありませんが、ここの冒険者に馴染みがおります。その人に私のサポートを頼みたいのですが。」

頼むつもりはなかったが、なぜか不安を覚えたので言ってみる。

「ぼ、冒険者?騎士ではいけませんかな?うちの騎士は優秀です。先ほど騎士団長のベルクにお会いしたのでしょう?彼ではいけませんか?」

また大臣。王は何か顔色が悪い。

「いえ、サポートは気心の知れた人でないと勤まりません。冒険者のライラ。彼女にお願いしたいです。」

「ライラ…いや、彼女はちょっと…」

だんだんイライラしてきた。

「おい、てめぇら一体何を隠してやがるっ。きりきり吐きやがれっ。」

私は立ち上がって威圧する。

「き、貴様!」

護衛の騎士たちが前に出て剣を抜く。お、やるのか?

「まぁ待て。ハリム殿申し訳なかった。全てお話ししよう。」

「お、王…いいのですか?」

「構わん。ミシビ王国の危機を救ってもらうのだ。こちらも誠意を見せねばな。」

護衛の騎士たちを止めたのは王だった。大臣がその後実情を話してくれた。なんでもここから西にあるパルテンという街が魔物の大軍に襲われていてドラゴンのことがあり動けないミシビリアンは冒険者たち全員をパルテンに送ったそうだ。冒険者たちの生存は絶望的だろうというのが王たちの見解らしい。私にはドラゴンに集中してほしかったため話さなかったらしい。

「私はパルテンに向かう。ドラゴンはそのあとでいいだろう。」

「ドラゴンを先になんとかしてほしい。このままでは都市機能が。」

「都市機能も大切だろうが、悪いが私にはライラの方が大事だ。パルテンに行く。」

「そこをなんとかっ。」

「ダメだ。明日には帰るからそれまでなんとかしろっ。」

私は引き止める王たちをなんとか振り切って城を出て西の方角に全力で飛んだのであった。


少し飛ぶと街が見えてきた。外壁の外で戦っているのが見える。間に合ったのか?ライラは無事か?

戦っている真上まで来るとライラを見付けた。魔物たちに裸に剥かれて犯されそうになっている。

「ハリムーーーー!!」

「おう。」

ライラが私を呼んだので答える。無事で良かった。いや、無事じゃないな。風魔法でライラや冒険者たちに覆い被さっている魔物たちを舞い上がらせ重力魔法で浮いたままにする。ライラの近くに降りて挨拶するとライラは呆けている。さっき呼んだじゃないか?私は浮いている魔物に向かって火球を撃ち込み爆発させる。下位の魔物は火が苦手なのが多いのでこうすれば逃げる魔物もいるだろう。

ロマニコフから受け取った宝石を媒介にして結界魔法を発動させる。さて治療治療。私のモテタイムだ。ライラに外套を被せると他の裸の女性たちのところに行きタオルを渡し治療してやる。すでに犯されていた女性もいたので頭を撫でて慰めてあげる。

「ごめんな。間に合わなくて…」

女性たちは泣き出してしまった。こういうのは時間か彼氏に忘れさせてもらうしかない。冒険者の男どももその辺りは弁えているはずだ。


最後にライラのところへ戻り抱き締めて治療する。さてゴミ掃除の時間だ。ライラを左脇に抱えて飛び上がり、魔物の大軍の全貌が見えるところまで昇ると火系の最上級魔法を撃ち込んでやった。うむ、撃ち洩らしがいるな。もう1発いっとくか?いや、冒険者や兵士たちも手柄がほしいだろう。任せよう。

「パルテンにいる兵士、冒険者の諸君!撃ち洩らしは任せたよ。私は今から逢瀬だ!」

私が叫ぶと

「「おーーー!!」」

声が響き、冒険者や兵士たちが眼下で魔物を葬っていく。私とライラは空中で抱き合いながら愛を囁き合ったのであった。


戦いが終わったので街の門の内側にライラを抱いたまま降り立つ。拍手喝采が聞こえる。中肉中背の初老の男性が走り寄ってきた。

「私はこの街の領主テオスと申します。お名前を伺っても?」

「ああ、名乗っていなかったね。私は魔導師のハリムという。」

「やはり大魔導師のハリム様でしたか。おーい、みんなー。やはりハリム様であったぞー。大魔導師ハリム様がこのパルテンの街を救ってくださったぞー。みな、大魔導師ハリム様と勇敢な冒険者、救援隊の隊長ライラ殿に歓声をっ!」

「「おーーー!」」

テオスが叫ぶと地響きのような歓声と拍手喝采が起こった。

「では、ハリム様。今から、その…お楽しみでしょう?領主館内の部屋をお使いください。」

「おお、気が利くな。ありがたく使わせていただくよ。今から大宴会かな?」

「ええ、もちろんです。こんな日に宴会せずにいつ宴会を?」

「ははは、そうだな。あとで私たちも顔を出すよ。」

「そうして頂けると一段と盛り上がります。ではこちらへ。」

ずっと呆けたままのライラを抱いたままテオスに付いていく。

「「ハリムハリムハリム。」」

「「ライラライラライラ。」」

街は私たちの名前を連呼する大合唱が始まったのであった。


領主館内のひとつの部屋に通された。外からはまだ大合唱や拍手が聞こえてくる。

「あの…ハリム…あたい初めてじゃねぇんだけど、その…」

「大丈夫。私に全てを任せるといいよ。」

私はライラを優しく抱き締め、羽織らせていた外套を脱がせるとベッドに押し倒したのであった。

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