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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
35/64

弟子たちの自己紹介

「エマー。」

「ちょ、おわっ。」

ランペドの屋敷の庭に到着した途端、母のお墓の掃除をしてくれていたエマにリーユーを抱いたままのミザリがダイブし、今は仰向けに倒れたエマの胸に二人で頬擦りしている。なんとうらやま…いかんいかん。エマは部下の嫁エマは部下の嫁…

「旦那様ー。」

相変わらず素振りをしていたジークが走り寄って来てくれた。

「予定より早かったですね。」

「いや、まだ古城に帰るんじゃないんだ。私が所要の間、後ろの子たちをここで預かってもらおうと思ってね。クリスは…」

「旦那様ー。」

タイミング良くクリスが屋敷から出てきた。最初の一言が息子と一緒。

「みんな揃ったな。よし。おーい、エマー、ミザリー、リーユー。ちょっとこっち来てくれー。」

じゃれていた3人もこっちに来る。

「円になって…よし、みんな座って。ごほん。ちょっと大人数になったから自己紹介してもらう。私も指導の参考にしたい。呼ばれたら立ち上がって名前、年齢、得意な武器、使える魔法、目標なんかを言ってくれ。では、まず弟子側から…ジーク!」

「はい!」

ジークは元気に立ち上がる。

「ボクはジーク、もうすぐ9歳。好きな武器は双剣。使える魔法は基本四種が全部初級程度です。いつか剣聖を倒したいと思っている。よろしく。」

そんなこと考えてたのか。

「次はナタリア。」

「はい。私はナタリアと言います。よろしくお願いします。年齢は12歳、武器はレイピアを少々、魔法は火風水が初級です。正直戦闘はあまり得意ではありませんが、それ以外でしたら割とお役に立てると思います。」

ナタリアは頭を下げて座る。

「エドワード。」

「は、はい。僕の名前はエドワード。6歳です。近接戦闘は苦手ですが、魔法は基本四種全部上級と雷魔法が少々使えます。あ、昨日ちょっと重力魔法が使えました。ハリムさんみたいにカッコ良くなりたいです!」

「マジですか。6歳で魔法をそんなに…」

クリスが驚いている。私も驚いたなぁ。

「次、サラ。」

「あ、あたしも?はい。えっと、あたしはサラ。17歳。前衛は無理だと思う。魔法はえっと、火と土が初級で風と水が中級。目標って言うか…ハリムとずっと一緒にいたい!みんなよろしくね。」

「旦那様…またか…」

エマが冷たい目で見てくる。

「つ、次!ヤン!」

「おう。オレはヤン。9歳だ。格闘術を習ったことがある。武器はこの拳だな。魔法はからっきり。種族的に獣人族の中じゃ弱い方だけどな、強くなりてぇ。ただただ強くなりてぇ。強くなって大切なものを守りてぇ。」

なんか男だな。

「次、リーユー。やれるか?」

「ん。」

お、リーユーの「ん。」以外初めて聞くな。頑張れ。

「リーユー、4つ。魔法…火、最上級のみ。…あ、重力魔法…」

「「え!?」」

みんなびっくり。4歳で最上級だって? 

「ヤン、本当なのか?」

「いや、知らねぇ。シュンコウ様に火魔法を教えられてたのは知ってっけど、まさか最上級とは…」

「すごいぞ、リーユー。他の魔法も覚えような。」

「ん。」

リーユーご満悦。なんて末恐ろしい子だろうか。

「では、ルーチェ。」

「はい。私はルーチェ。昨日11歳になりました。武器はショートボウ、魔法は火が初級、水と風が中級、土が上級です。あと光魔法を少々…」

「光魔法!?」

今度驚いたのは私だ。

「ルーチェ、本当に光魔法を使えるのか?」

「はい。初歩の癒しくらいですが…」

これは素晴らしい。光魔法、聖王国や神国の坊主どもがよく使う魔法で勇者が操る光の攻撃魔法や聖女が操る光の回復魔法はかなりエグい。特に聖女の回復魔法は死んでさえいなければどんな欠損があっても治してしまうのだ。

「ルーチェ。光魔法極めてくれよ。あ、ミザリに向けて放つなよ。吸血鬼はあらゆる魔法に耐性があるが光魔法にだけはすこぶる弱いんだ。癒しでも逆効果だからダメだぞ。」

「え、そうなんですか。ではあのとき…いえなんでもないです。気をつけます。」

ミザリを囲んだとき、どうすれば倒せたのか検討ついたのかな?

「うん。ありがとう。参考になった。私はこれからミシビ王国で大きな戦いがありそうなので君たちを連れていけない。私が帰るまでの教師役はこの3人、クリス、エマ、ミザリだ。3人とも近接戦闘主体だから、とりあえずは魔力循環法を教えてもらいなさい。私の戦い方の基本は魔力循環法だからね。ジークは…」

「ねぇ、ハリム。」

ジークをどうしようかと考えていたら、サラが声を掛けてきた。

「あたしさ、ちょっとシャワラムに行きたいんだけど。アレンたちが心配だし、あのときのパーティーメンバーにも挨拶したいしさ。」

「あ、そういえば私もフェンリルをロマニコフ商会に卸さないとだったな。んー。」

ちょっと考える。あっ。

「ジークってランペド出たことないよね?」

「はい、ないです。」

「ルーチェ、いろんなところに行きたいんだよな?」

「はい、行きたいです。どこに行きますか?」

「ではサラ、ジーク、ルーチェ。一緒にシャワラムに行こう。サラ。」

「はい?」

「二人を帝国ギルドに登録してきてくれ。あとシャワラムのいろんなところに連れて行ってやってくれ。」

「うん。わかった。任せて。」

「ルーチェ。」

「はい。」

「二人に土魔法を教えてあげてほしい。土魔法は便利だから。」

「はい。かしこまりました。」

「ジーク。」

「はい!」

「二人に魔力循環法を教えてやってくれ。あとな。」

「はい、なんでしょう。」

「サラは私の大切な人だ。傷ひとつ付けるんじゃないぞ。」

「はい!お任せください!」

ジークは私に重要な任務を与えられた気分で嬉しそうだ。サラの顔は真っ赤だが。

「では3人、ギルドに登録したら適当に依頼こなして1週間でランペドに帰って来い。」

「わぁ楽しそうです。」

「うんうん、いいね。」

「ランペドまでは歩きで、砂浜あるところは砂浜歩いて来い。」

「え、砂浜って海洋性の魔物が出るんじゃ…」

「だからいいんだよ。その3人じゃシャワラム、ランペド間、普通に歩いても詰まらないさ。」

「海洋性の魔物!楽しみです。」

「うん。腕がなるな。」

ジークとルーチェは喜んでいるが…

「あたしはこの子たちと違って普通の冒険者なんだけど…」

サラはぼやいているけど大丈夫さ。

「では行こうか。クリス、エマ、ミザリ。あとの子たちは頼んだよ。」

「おう、旦那様頑張ってきな。」

「はい、お任せください。」

「ミザリにお任せなのです。」

私はサラ、ジーク、ルーチェを連れてシャワラムに飛ぶのであった。


シャワラムの帝国ギルドの前にやってきた。

「あ、そうだ。宿は『月夜亭』の私の部屋を使っていいよ。アンナに言っておくよ。」

「うん、ありがと。」

「…ジークとルーチェはちょっと向こう向いてて。サラおいで。」

私とサラは抱き合い口付けを交わす。

「もう。冒険者の人たちがめっちゃ見てるじゃん。」

「いいじゃないか。こうしておけばサラに言い寄る男がいなくなるだろ?」

「もう。ハリム以外に言い寄られたことないし…」

「そうなのか?クリミドの男たちは見る目がないな。」

「もう。ありがと。ハリム、ドラゴン討伐だよね?」

「討伐と決まったわけじゃないさ。竜族には話せるやつも多い。」

「でもでも…気をつけてね。」

もう1度口付けを交わす。

「では、3人とも頑張ってな。」

「「はい。」」

私はひとりロマニコフ商会に向かったのであった。

無口なリーユーちゃん、難しいっす。

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