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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
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吸血鬼ミザリの脱出

ミザリ視点

ミザリは吸血鬼のミザリと言います。この『迷いの古城』で生まれ育った唯一の吸血鬼です。ミザリは魔法が苦手です。消滅した父と母、古城の仲間たちがいろいろ、ああだこうだ教えてくれましたが上手になりませんでした。だって殴った方が早いじゃないですか。魔法は苦手だけど、お掃除は得意です。綺麗になっていくのを見ていると楽しいです。気がつくと他の人の持ち場までやってしまいます。シャーロット様も

「ミザリは掃除が上手ですわね。感謝しますわ。」

って言ってくれます。感激です。シャーロット様はいつ見ても綺麗です。同性のミザリでも微笑み掛けられるとぽーっと見惚れてしまいます。

でも、シャーロット様の従者がミザリを入れて10人になったころ、シャーロット様の微笑みは曇りました。仲間たちの顔も暗いです。まぁミザリたち吸血鬼は顔立ちはみな綺麗なのですが全員暗めの顔をしているのですが。シャーロット様も仲間たちも消滅を選んじゃうのでしょうか。ミザリは消滅する気はありませんが、ひとりになっちゃうと寂しいです。


そんなある日、古城にお客さんがやってきました。ミザリが生まれてから初めてです。緊張します。会ったら血を吸わせてもらってみようかな?ミザリはあまり吸血欲求というのがありません。迎え入れたお客さんは軽薄そうなハーフエルフという種族の男でした。シャーロット様を見るとすぐに口説き、恋人同士のような関係になってしまいました。うん、軽薄です。信じられません。と思っていました。でもとてもいい人でした。そのハーフエルフ、ハリム様っていうんですが、ミザリに魔法以外の戦い方を教えてくれたのです。

「吸血鬼とは言っても個人差はあるよ。放出系の魔法は苦手みたいだけど、魔力は少ないわけじゃないよ。強化魔法や結界魔法はいけそうだ。あと、パンチに躊躇がなくていいね。」

って言っていろいろ試しながらミザリの戦い方を研究してくれました。強化魔法、結界魔法便利です。強化魔法、身体がビシューンと速くなって気持ちいいです。結界魔法、死角からの攻撃を防いでくれるから便利です。ハリム様やシャーロット様は結界魔法に頼りすぎず避けなさいっていうけど、ハリム様とシャーロット様以外の魔法は全部防げるので大丈夫ではないでしょうか?仲間たちもハリム様とシャーロット様並みの人はなかなかいないって言ってますし。あと、殴るのに躊躇って必要なんですかね?


ミザリはすぐにハリム様のことが大好きになりました。シャーロット様といるのをみると焼き餅を焼いてしまいます。あるとき、我慢しきれなくなってシャーロット様といないときにハリム様の部屋に突撃してしまいました。ハリム様はミザリを部屋に迎え入れてくれ、気持ちいいことをたくさん教えてくれました。二人でベッドで裸で寝ているときに血を吸わせてと頼んでみました。ハリム様は了承してくれました。ハリム様の血はとても豊潤な味がして美味しかったです。1度、ハリム様が連れてくるお客さんにも吸わせてもらいましたが、あんまり美味しくなかった。もうハリム様なしでは生けていけません。たまに興奮しすぎて魔力を込めそうになってしまいます。ハリム様は

「それはダメだよ。」

って言って頭を優しく撫でてくれました。


ある日、掃除が終わったのでハリム様の部屋へ行くとハリム様がいません。庭や研究室、お風呂や食堂も探しました。古城中探しましたがいません。シャーロット様の部屋かなって思い聞きに行ったら出掛けたと教えてくれました。ひどいです。あんまりです。いつも出掛ける前は

「ミザリ、行ってくるよ。」

って言って優しくキスしてくれるじゃないですか。

何日か待ちましたがも限界です。ミザリはふらふらと迷いの結界のところまで行きました。仲間たちは出ようとしても中に戻って来てしまうって言ってましたがミザリは試したことがありません。外に向かって飛んでみます。なんか違和感を感じましたが、出れちゃいました。やった!これでハリム様に会える。あ、でもハリム様どこ行ったんだっけ?クリミド商国ってところだっけ?クリミド商国は古城から真っ直ぐ東って言ってた。ミザリは太陽の位置を確認しようとして

「ぐはっ。」

ダメージを受けました。ああ、そうでした。人族領の太陽は消滅しないまでもミザリたち吸血鬼にはあまり良くないんだった。夜まで待ちましょうか?いやいや、ここまで来たんです。頑張ります。あとミザリたち上級魔族は人族に見付かると大騒ぎになるってハリム様が言ってましたね。見付かる前に思い出しました。ミザリ偉いです。高高度に飛び上がります。これで人族には見付からないでしょう。雲の影を伝って飛びます。少し飛びました。あ、ダメです。ミザリこんなに長時間飛んだことありません。ハリム様が出掛けてから拗ねてワインも飲んでなかったのもいけなかったのでしょうか。どんどん高度が下がっていきます。もうダメ…ミザリは力尽きついに森の中に墜落してしまいました。


「いててててて。」

鬱蒼と繁る森の中で強打した腰を擦ります。不死人でよかった。辺りを見渡します。木しかありません。あ、人!女の子です。女の子と目が合いました。手に籠を持っています。よく見るとハリム様みたいに耳が尖っています。ちょっとハリム様よりは長いでしょうか。ハイエルフって言いましたっけ?なんか震えていますね?大丈夫でしょうか?人族じゃなければ大丈夫かな?ミザリは女の子に話し掛けることにしました。

「あの…」

「きゃーーーーーーーーーーーーー!!!」

思いっきり叫ばれてしまいました。そういえばハイエルフは排他的って言ってましたっけ?

するとハイエルフの大人の男が5人なんだなんだと現れました。みんな綺麗な顔をしていますね。吸血鬼以上でしょうか?まぁハリム様には勝てませんが。

「魔族!吸血鬼かっ。」

「150年前の大進行に飽きたらずまた出てきたのか!」

150年前?ミザリは生まれてますが知りません。そもそも今日まで古城から出られませんでしたから。ハリム様が大怪我して帰ってきたときでしょうか?それにしても吸血鬼ってよく分かりましたね。人族と比べたら肌の色が白すぎるのと犬歯が長いくらいの違いしかないのですが。相手はハリム様と同族。ここは友好的に。

「あの…」

「このハイエルフの森にひとりでのこのこやってくるとは!」

「こっちは6人。魔族め。目にもの見せてくれるわ!」

ぜんぜん話を聞いてくれませんね。イライラしてきました。

「あの…」

「女だとて容赦はしないぞ!」

「無事に帰れると思うなよ!」

もう限界です。ミザリよく我慢しました。強化魔法を発動し1番近くにいた男を殴ります。

「なっ。」

とか言って飛んで行きました。ざまーです。

ボンッ

死角から魔法が飛んできましたが、結界魔法が防いでくれました。魔法を放った男を殴ります。

「ぐはっ。」

また飛んで行きます。

「くっ。強い。ビャルネ!草笛で応援を呼べ!ルーチェは走って獣王国かヘルミナ王国に応援を要請しろ。上位魔族がひとり襲撃してきたと。」

「はい!」

ピーーーー

ルーチェと呼ばれた女の子は走っていき、ビャルネと呼ばれた男が草で作った笛を吹きます。応援は不味いですね。特にヘルミナ王国は不味いです。ハリム様の娘様がいます。見付かったら連れ戻されてしまいます。ミザリはハリム様に会うまで帰れません。

そんなことを考えているとハイエルフの男たちが次から次に現れます。

「接近戦が強いぞ!距離を保て!」

距離を取って魔法や弓矢で攻撃してきます。近付こうとすると逃げます。逃げ遅れたのを何人か殴ってやりましたが。

「木を盾にしろっ。」

今度は木を上手く使って距離を保たれます。ウザいです。3本ほど木ごと叩き折ってやりました。


三刻ほど経ったでしょうか。さすがに疲れてきました。ハイエルフたちしつこいです。しつこい男はダメだってシャーロット様は言っていました。なんかハイエルフたち笑顔になってきましたね。おちょくられているのでしょうか?それとも戦うことが好きなのでしょうか?ミザリはハリム様と殴ることが好きです。もうダメです。限界です。ミザリは座り込んでしまいました。

「よしっ。油断して近付くなよ。」

ハイエルフの男たちが慎重に近付いてきます。ああ、ミザリはここで囚われるのでしょうか?もう愛しいハリム様には会えないのでしょうか?

「あそこです!」

上空からルーチェという女の子の声が聞こえます。応援を呼んできたのでしょう。万事休すです。囚われハリム様に会えない日々を過ごすならミザリは消滅を選びます。背後に何人か降り立つ気配を感じました。覚悟を決めます。すると

「ミザリ?ミザリじゃないか?」

もう聞けないと思っていた愛しい人の声。

「ハリム様!」

ミザリは振り返りハリム様を確認すると力いっぱい抱き付きました。

孤児院じゃなくミザリ視点になってしまいました。予告詐欺すみません。時系列を考えるとここが適切かと思いまして。視点変えると時系列がぐちゃぐちゃになって混乱してしまいます。

ミザリちゃん。ちょっとおバカな女の子です。盲目系です。ハリムに恋する女の子はみんな盲目ですが、ミザリが1番ハリムへの依存が強いです。

基本ハイエルフの方がハーフエルフより綺麗な顔をしています。ミザリにはハリムが1番に見えるだけです。

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