魔法少女サラの冒険 前
サラ視点
あたしの名前はサラ。花の17歳。職業は冒険者で魔法少女。魔法少女って何かって?だって魔導師ってネーミングなんか地味じゃない?あたし顔が地味だもん職業くらいかわいく有りたい。あたし少女だし、処女だし、大人の階段登るまでは魔法少女でいいよね?
物語みたいに冒険してピンチのときカッコいい男の人が颯爽と現れて華麗に助けて貰えたら恋に落ちれるかな?まだ男の人を好きになったことないんだ。
宿場町ランペドの西にある小さな村で農家の長女として生まれたんだけど、魔法の才能があるってことで首都キャリアンにある魔法学校に入れてもらうことが出来た。家を出るとき母ちゃんが
「ハーフエルフだけは連れて帰って来るんじゃないよ。」
って言ってた。なんでハーフエルフだけ?って思ったけど魔法学校に通い始めてよくわかった。魔法学校にも数人のハーフエルフがいたんだけど、みんな周りに女の子をたくさん侍らせていた。女たらしなんだな。あたし顔が地味だから声掛けられたことないけど。悔しくなんかないやい。ぐすん。
男っけがなかったから、頑張って勉強して割りといい成績で卒業できた。さあ、あたしの冒険の始まりだ。
本拠地はランペド。たまにシャワラム。クリミド商国の冒険者ギルドは下の階級のころは討伐依頼がなかなかない。街の巡回とか門番とかそんなんばっか。でもランペドからシャワラムまでは強い魔物がほとんどいないから下の階級にも討伐依頼がけっこう出る。なんで討伐がいいのかって?だって討伐じゃないとカッコいい男の人に助けてもらえないじゃん。帝国ギルドにも登録した。こっちは討伐依頼ばっか。
ランペドの町には町長の屋敷と同じくらい大きな屋敷がひとつある。『氷結の大魔導師』ハリムの屋敷だ。魔法学校で習った。クリミド商国の守り神みたいな人だって。1回屋敷の前まで行って大きな庭を覗いたらダークエルフの綺麗な女の人と少年が凄いスピードで模擬戦してた。どっちかが『氷結の大魔導』かな?ハリムっていうのは、300歳くらいのハーフエルフって聞いたけど?
冒険者になって1年が経ったとき、パーティーメンバーが出来た。剣士のアレンと槍使いのフロルとアーチャーのカルルだ。みんないい奴。特にアレン、けっこうカッコいい。いつか助けて貰えるかな?今はあたしが助けてる方が多い気がするな。みんな藍級の冒険者。あたしも藍級。3人はクリミド商国で出世したいらしくてクリミドのギルドにしか登録していない。だから依頼はクリミドの方だけ。せっかく頑張ってD級になったのに…仕方ないか、ぐすん。
あたしは17歳。パーティーメンバーもみんな17歳。アレンとフロルがバカやってあたしがそれに乗っかってカルルが優しく突っ込んでくれる。楽しい。でも最近アレンが意地悪する。カルルに相談したら
「え?気付いてないの?アレンはサラのことが好きなんだよ?」
って言ってた。そんなこと言われてもあたし男の人に好かれたことないからわかんない。せめて優しくしてくれたらいいのに。
あるときランペドでアレンが馬車の護衛の依頼を取ってきた。ランペドとシャワラムの間の移動は馬車の護衛の依頼を使うことが多い。旅費が浮く上に報酬まで出る。だから競争率も高い。ナイス、アレン。カッコいいぞ。
その護衛の依頼でとある事件があって吟遊詩人のビオーラさんとなんとあの『氷結の大魔導師』ハリムっちと仲良くなった。ハリムっちカッコいい。颯爽と助けてくれた。ドキドキ。あ、でも母ちゃんがハーフエルフだけはダメだって言ってたな。いけないいけない。ビオーラさんも好きっぽい。あ、「も」って言っちゃった。
シャワラムの街に着いてから付いていったらいろいろ貰っちゃった。新しい杖凄く高かったけどいいのかな?早く試したい。ハリムっち、なんていい人なんだ。あたしなんかをかわいいって言ってくれるし、話してると凄く楽しい。アレンたちとは違う楽しさ。なんか優しく包み込まれる感じ。素敵だ。大人だ。
『月夜亭』のハリムっちの部屋に泊まらせて貰えることになった。ハリムっちの彼女?さんや子供二人も一緒だけど。彼女?さんは凄く綺麗なハーフエルフ。悔しいから彼女の後ろに「?」を付けちゃう。そして凄くいい人。破れたあたしのローブの代わりにハリムっちのコートをナタリアちゃんと一緒にあたしのサイズに縫い直してくれている。縫い終わるのを待っていたら眠くなってきた。今日いろいろあったもんなぁ。大変なこともあったけど楽しかったなぁ…
ハリムっちと冒険する夢を見た。白い大きなウルフ系の魔物に襲われたところをハリムっちがまた颯爽と助けてくれて、二人で抱き合った、そんな夢…
「はっ!」
いつの間にか寝ちゃったみたい。部屋にはあたしひとり。誰もいない。服は昨日のまま。良かった、裸は見られなかったみたい。見られるときは胸がもうちょっと大きくなってからがいいなぁ。あ、なんか見られる前提みたい…顔が熱くなる。
壁に昨日のコートが掛けられている。着てみる。凄い!ぴったり。髪の毛を手櫛で直しハリムっちにもらったヘアピンで留め、右手の人差し指にはめてあるハリムっちにもらった大きな宝石の付いた指輪の位置を整え、ハリムっちに買ってもらった黒い杖を構えてみる。なんか一端の冒険者になった気分だ。
「サラちゃんおはよー。朝食用意するね。席について待ってて。」
1階に降りるとハリムっちの彼女?さんアンナさんが声を掛けてくれた。
「アンナさんおはよっす。このコートぴったりっす。ありがとっす。」
敬語ってこんな感じだよね?
「こっちが悪いんだから気にしないで。さあさあ。」
席について運ばれてきた朝食を食べる。昨日の夜も美味しかったけど、こっちも美味しい。最高ー。
『月夜亭』をあとにしてクリミドの冒険者ギルドに向かう。出入口を入ると待ち合いスペースにすでにアレンたちが座って待っていた。
「アレン、みんな、おはよう!昨日の報酬ちょうだい。」
アレンの向かい側の席に座る。
「サラおはよ。遅いぞ。はい、これ、報酬。ちゃんと四等分したから。なんだそのコート?」
「これ?いいでしょ。ハリムっちから貰ったんだ。昨日着てたローブ破れてさ。聞いて聞いて。昨日ハリムっちに付いていったらね、ハリムっち、ロマニコフ商会に連れて行ってくれてね…」
「わかった。今日の依頼の確認始めるぞ。」
えー、もっと聞いてよー。
「じゃあ、今日の依頼だがな…」
ああ、昨日のハリムっちかっこ良かったなぁ。優しいし。ハーフエルフじゃなきゃなぁ…
(サラ、おいっ。)(おいっ。)(おいっ。)
「サラ!」
「あ、は、はい!」
やば、話聞いてなかった。
「サラてめぇ、なんなんだ。会議上の空で!昨日もギルド一緒に行かずどっか行っちゃうし。依頼の後は反省会って約束だろっ。」
「あ、ほんとごめん。ハリムっちがね…」
「さっきからハリムハリムってなんだよっ。全身コーディネートされて来やがって。昨晩あのハーフエルフの野郎に抱かれたのかよ!」
「ば、そんなわけないじゃない!昨晩は…」
「言い訳なんか聞きたくねぇっ!首だ!やる気のないやつは出ていけけっ!!!」
なにさ、なにさ。
「アレンそれは言い過ぎだよ。」
「そうだよ。」
「お前らもうっさい!みんなサラの味方か?」
「ばか、そんなわけ。なぁ。」
「ああ。」
ふんだ。もう知らない!こんなパーティー出て行ってやる。あたしはクリミドのギルドを飛び出し帝国ギルドに向かった。
帝国ギルドの前にやってきた。溜め息を吐きながら出入口を入る。久しぶりに来た。中を見渡す。相変わらず怖そうな顔の人が多い。
「君、君。」
同い年くらいのちょっとカッコいい男の子に声を掛けられる。後ろに戦士らしい格好をした女の子が二人いる。
「君、魔導師?」
「あ、はい。」
本当は魔法少女だけど。
「ランクはいくつ?」
「藍じゃなかったD級だよっ。」
おっとここは帝国ギルドだった。
「じゃあ、ボクたちと同じだね。臨時でパーティー組まないかな?4人募集に1人足りないんだ。ボクたち全員前衛だから魔導師の人を探していたんだ。」
「どんな依頼?」
「説明するよ、こっち来て。」
待ち合い場所のテーブルに移動する。
席に座ると出入口からハリムっちがナタリアちゃんとエドくんを連れて入ってきた。
「あ、ハリムっち、おーい。」
手を振る。ハリムっちはニッコリ微笑んで手を振り替えしてくれる。ああ、優しそうな顔。カッコいいなぁ。
「ハリム?『氷結の大魔導師』のハリムさん?知り合いなの?」
一緒に席に着いた女の子が聞いてくる。
「うん。昨日仲良くなったんだ。」
「へー、いいなぁ。」
「本当なの?あのハリムさんでしょ?SS級の冒険者でもあるのよ。D級の冒険者と仲良くするものなの?」
もうひとりの女の子。
「本当だよ。」
そしたらハリムっちが受付の人に付いて2階に上がっていくのが見えた。また手を振る。また笑顔で振り返えしてくれた。
「ね。」
「本当だ。凄い。」
羨ましがられた。ちょっと鼻が高い。
「じゃあ、話を始めようか。」
「うん。」
「これなんだけどね。アッバの町の近くでグレーウルフの群れが見付かったんだ。被害も出てる。」
「え、アッバ。」
けっこう遠いなぁ。アッバの町はシャワラムから南西の方角で馬車で3日くらい掛かる。旅費が…
「馬車はギルドが用意してくれるって。食料も。」
「まじで。凄いじゃん。行く行く。行ってみたい、アッバ。」
そんな遠くに遠征したことない。冒険みたいじゃん。
「じゃあ決まりね。ボクが剣士のアーノルド。この子が細剣使いのレベッカ、そっちが槍使いのエリーサ。」
「あたし魔法少女サラよろしくね。」
「魔法少女?」
「そう。魔法少女。」
「ええ、ああ、よろしく。明日の朝、夜明けすぐにクリミドの冒険者ギルドの前の広場に集合ね。」
え、クリミドのギルド前?シャワラムの出入口付近の広場はあそこだけだからかな?
2018.8.23 今までの魔法の言い方変更しました。カッコつけようと英語にしたんだけど、なんか逆にダサく感じまして…




