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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
19/64

吟遊詩人ビオーラの愛

引き続きビオーラ視点

次の日のことです。リョートを奏でているとねっとりとした視線を感じました。浅黒い肌の筋骨粒々の人族です。たぶんこの大陸ではないところの人です。

次の日もその異国の方が来ていました。今度は3人です。わたしを見てなにかこそこそ話しています。なんか感じが悪いですね。

次の昼間、港に船を見に行きました。大きな船が何隻もあって男の人たちが荷物の積み降ろしをしています。活気があっていいですね。見ていて飽きません。なぜかまたハリムさんのことを考えてしまいます。思えばハリムさんに会ってからずっとハリムさんのことばかり考えています。ハーフエルフに騙される女性はこんな気分なんですね。


気付けば辺りが薄暗くなっていました。

「あ、仕事!」

わたしは立ち上がり振り向きました。すると『シーサイド』に来ていた異国の方がいました。嫌な予感がします。その人がいるのと違う方向に走りました。すると目の前に一緒にきていた仲間が現れました。わたしはまた違う方向に走ります。するとまた違う仲間が現れました。ヤバいヤバいヤバい。頭の中で警報鳴り続けています。向きを変えようとしたときでした。誰かが後ろから肩を掴みました。わたしは掴まれた方を見ます。次の瞬間でした。お腹に痛みを感じわたしは意識を手放しました。


わたしは目を覚ましました。薄暗い部屋の中でした。ゆらゆら揺れています。船の中でしょうか?わたしは後ろで手首をロープで縛られているようです。

「目が覚めたか。」

部屋の中にさっきの男のひとりがいました。怖いです。

「ここはどこですか?」

「オレたちの船の中だ。」

「わたしはどうなりますか?」

「今からオレたちに犯されてオレたちの国でオレたちに飼われる。」

「嫌です。帰してください。」

「それはもう無理だ。明日の朝明るくなったらこの船は出る。もう荷物の積み込みも終わってる。桟橋はもうかからねぇ。陸に戻るには夜の海に飛び込むしかねぇ。そんなのオレたちにだって危険だ。」

「助けてーー。だれかーーー。」

力いっぱい叫びます。

「はっはっはっ。夜の桟橋のかかってない船に近付くやつなんていねぇよ。」

男はナイフを持って近付いてきて慣れた手付きでわたしの胸に巻いている布を切ります。

「きゃーーーーーーーー。」

また叫びます。わたしの形のいい胸が露になりました。自分で形のいいとか言ってしまいました。

男はナイフを置いてわたしの胸を揉みます。き、気持ち悪いです。ハリムさん、ハリムさん、ハリムさん。

男の息遣いが激しくなってきました。わたしは生娘ではありませんからわかります。これはもっとヤバいやつです。

「お願いします。許してください。好きな人がいるんです。なんでもしますから助けてください。」

「じゃあ大人しくオレに抱かれろ!」

そう言ってわたしの頬をはりました。目の前が暗くなり頭がくらくらしました。男はわたしを押し倒しました。

その時です。後ろ手に結ばれた右手の人差し指に痛みを感じました。あ、指輪です!

「これも魔導具だよ。命の危機があったらこの指輪に魔力を込めて宝石部分を床に押し当てなさい。きっとその問題を解決してくれるから。」

ハリムさんの言葉が頭の中で蘇ります。今宝石部分が床に押し付けられていますね。あとは魔力を込めるだけです。魔力を込めるってなんでしょう。ちゃんと聞いとけば良かった。

そんなことを考えているうちにわたしの下着が強引に脱がされます。足を広げられ男がのし掛かってきます。もう時間がありません。わたしは右手の人差し指に全神経を集中し、

「ハリムさん…助けて…」

と呟きました。そのときです。わたしの下に魔方陣が浮かびあがりました。いったい何が起こるのでしょうか。魔法ならわたしも死んでしまうかもしれません。男も驚いた顔をしています。

次の瞬間空中に男の人が現れました。ハリムさんです。ずっといろいろ妄想していたから見間違えません。

ハリムさんは空中で体制を整えるとわたしにのし掛かっている男を蹴飛ばしました。

「ぐわっ。」

男は吹っ飛んでいきます。

「やぁビオーラ。今日も綺麗だね。今日は一段とセクシーな格好をしているね。」

ああ、ハリムさんです。間違いありません。涙が出てきます。

「咄嗟に蹴り飛ばしちゃったけど、君の彼氏じゃないよね?」

ああ、突っ込みたいけど言葉が出ません。言葉が出ないなら行動で示します。わたしはハリムさんに抱きつき彼の唇を奪いました。ハリムさんは初め驚いた顔をしていましたが優しく抱きしめ頭を撫でてくれました。

「なんだ、何があった!」

男が二人部屋に入ってきました。わたしを捕まえた男たちです。その後ろからもなんだなんだという声と足音がたくさん聞こえます。まだいっぱいいるようです。

わたしたちは離れました。ハリムさんは空中からハリムさんが着ているのと同じ白いYシャツを取り出してわたしに着せてくれました。

「で、こいつらどうしたらいい?殺しちゃっていいの?」

「今部屋にいる3人は殺してください。あとはお好きにどうぞ。」

「ああ、わかった。」

ハリムさんはまた空中から今度は細身の剣を取り出して鞘から抜きました。思わず息を飲みます。シンプルですがなんと綺麗な剣なのでしょう。

「試し切りにちょうどいいな。片刃の剣は初めてなんだよな。カタナって言うんだったか。」

そんなことを言いながら構えます。頼もしいです。カッコいいです。

「なんだ、貴様なにもんだ。どっから入った?」

そんな間にも男たちが次から次へと入ってきます。考えみればこの部屋けっこう広いですね。何をする部屋なのでしょうか。

「おい、私のかわいいビオーラに酷いことした罪は重いぞ。前の3人は死刑な。あとのやつは逃げるやつは半殺しで許してやる。かかってくるやつはみんな輪廻に帰してやる。来世は真面目に生きるんだぞ。」

私のって言いました。わたしいつからハリムさんのものになったのでしょうか。いや、いいです。素直にうれしいです。今からわたしはハリムさんのものです。

「てめぇふざけんじゃねぇー」

男たちは真っ赤な顔をして向かってきます。そこからはあっという間でした。光が一閃して何人かの首が飛びました。

「こうかな?こうかな?」

そんなことを言いながらハリムさんはカタナを振ります。試し切りって言ってましたもんね。

ハリムさんは数人切ったあと逃げ始めた男たちを素手でボコボコにして、紙を取り出しペンで「ハリム参上」と書いて船内におきました。

「こうしておかないと国際問題になったら困るから、今度は国ごと潰さないといけなくなる。」

なんかスケールが違いますね。ハリムさんがわたしを優しく抱きしめてきます。え、こんなところで?と思いながらもハリムさんの背中に手を回します。すると次の瞬間景色が変わり『シーサイド』の前に立っていました。混乱する私の手を引き店内に入ります。店主さんはすごく心配していました。ハリムさんが事情を説明してくれました。

店主さんに今日は休むように言われ私の住んでいるところに帰ってきました。ハリムさんはわたしを送り届けると人を待たせてあるからと帰っていきました。明日演奏を聞きに来てくれると約束してくれました。わたしは勇気を振り絞って

「朝までずっと時間を空けておいて。」

と言いました。ハリムさんは右手を上げて了解の合図をしてくれました。


次の日、わたしは演奏台に行くとカウンターにハリムさんがいるのが見えました。ちゃんとひとりで来てくれたのです。わたしはハリムさんを愛しているという気持ちを込めて相棒をひきます。そして歌います。『棘の魔女』と『氷結の魔導師』の恋の歌をちょっと変えて『吟遊詩人』と『カタナの魔術師』の愛の歌。

「凄くよかったよ。どこかで聞いたことのある話だね。」

って言ってました。

閉店後のことは…ふふふ。淑女の秘密です。悪いハーフエルフに騙されたとだけ言っておきましょう。


この話はハリムが古城に帰ってから書こうと思っていたのですが、鉄は熱いうちに打てで書きました。私の妄想的にもビオーラの気持ち的にも。

ビオーラ視点、シャーロット視点より書きやすかったです。

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