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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
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指輪の効果

散々泣いた。目が痛い。近くにナタリアとエドワードが来た。

「ナタリア、エドワード一緒に泣いてくれてありがとな。お前たちは面識ないだろうに。」

「オリビアさん幸せそうでした。私もああいう風に幸せを感じて死にたいです。」

「ハリムさんはオリビアさんを幸せにした。すごい僕もだれかを幸せにできるようになりたい。」

そんなことを言うもんだからまた泣いた。


「父上、母を氷らせていただけませんか?」

「ああ、構わないよ。」

みんな泣き止むのを待ってソフィアが言った。

お世話の女性がベッドの上でオリビアの体制を整え髪型を直す。

「ではお願いします。」

「ああ。」

オリビアの鳩尾に手を置き、封印していた魔法のトリガーを引きオリビアを氷らせていく。また泣けてきた。どんどん温度を下げていく。あまり低くしすぎると砕けやすくなるのでほどほどで止める。私はこのために氷魔法を極めたのかもしれないな。

「ありがとうございます、父上。」

「なあソフィア。」

「なんでしょう?」

「オリビアを氷の棺に入れてはダメだろうか?オリビアの肉体が朽ちていくのは忍びない。」

「ダメです、父上。」

きっぱりと断られた。

「氷の棺に入れてしまったら、魂が輪廻の輪の中に帰れなくなってしまいます。」

「まあそうだな。」

「父上の寿命なら生まれ変わった母にまた会えるかもしれませんよ。いえ、あんなに父上のことを愛していた母ですもの、必ず会えます。」

「そうか、そうだな…ありがとう、ソフィア。」

「いえ、お構い無く。では私たちは職務に戻ります。父上はこのあとどうされますか?」

「そうだな…今晩ここでオリビアと過ごしたい。いいだろうか?」

「本来は地下の霊安室に安置するのですが、父上が氷らせてくれましたのでまあいいでしょう。子供たちはどうされますか?」

「どうする?」

二人に聞く。

「宿屋に帰りたいです。」

「ぼくも。」

「では1回帰ってから戻ってくるよ。ここに直接転移してもいいかな。」

「ええ、構いませんよ。では。」

そう言ってソフィアは部屋を出た。

「ハリム殿最後にオリビア様の幸せそうな顔が見れた。感謝する。我はオリビア様の最後の命令に従い、これから皇帝陛下に死ぬまで忠誠を誓うつもりだ。貴殿とはまた会うこともあるだろう。よろしく頼むよ。」

アブラムはそういうとソフィアのあとを追いかけた。

「おい。」

「なんだよ。」

今度は剣聖だ。

「今回は俺の負けだ。」

「なにがだよ。」

「俺は全身全霊でオリビア様を愛した。しかし、オリビア様からあんな顔を向けられたことは1度もない。」

「そうかよ。」

「1度しか言わない。オリビア様が安らかに逝けたのは貴様のお陰だ。感謝する。」

剣聖はそう言って部屋を出て行った。なんだよ、にやにやしちゃうじゃないか。

「あの方が剣聖ですか?」

ナタリアだ。

「強いんですか?あまり魔力を感じませんが。」

エドワード。

「ああ強い。20年前放出系の魔法は使わなかったとはいえほぼ全力で戦って負けた。今はもっと強くなっているだろう。私では勝てないかもな。あれは1種の化物だよ。」

「へー。それは凄いですね。ハリムさんが負けるなんて想像もつきません。」

「世の中上には上がいるもんさ。では送るよ。」

転移魔法を発動する。


「あらお帰り。早かったね。」

『月夜亭』の玄関をくぐるとアンナが食堂のテーブルを拭いていた。

「ああ、ただいまアンナ。」

「ただいま帰りました。」

「ただいまです。」

挨拶を返す。

「ん?あれどうしたのさ、3人とも目が真っ赤じゃない。なんかあったの?」

「ん、ああ、オリビアが今さっき亡くなったんだ。立ち会ってきた。」

アンナとオリビアを会わせたことはないがさんざん話したことはある。

「え!オリビアさんが!それは大変だったね。辛いでしょう?」

「ああ、辛い。今晩はオリビアの亡骸と過ごすよ。子供たちを預かってくれないか。」

「うん、それがいいよ。二人のことは任せて。」

「そういえばサラは?」

あ、ちゃん付けるの忘れた。まあいいか。

「ああ、サラちゃんは今晩は自分で宿をとるって言ってたわよ。コートのお礼を言ってた。」

「そうか、わかった。」

「明後日のデートどうする?やめる?」

「いや、大丈夫。明日には復活するよ。」

「そんなに無理しなくてもいいのに。」

「じゃあ帝国に行くよ。明日の朝には戻るから私の分の朝食も頼むよ。」

そう言ってアンナにナタリアとエドワードを預けオリビアの元に帰ったのだった。


夜、オリビアの部屋でベッドの近くに椅子を置き、ぼーっとオリビアを眺めて過ごした。部屋には私だけ。時おり晩年なぜもっとオリビアに会いにこなかったんだろうという後悔がわいてきて、何度か泣いた。

「おはようございます、父上。」

朝になりソフィアが部屋にやってきた。後ろには護衛として確か序列2位のダークエルフの女性が控えている。名前は確かアリーチェ。

「ああ、おはよう。」

結局一睡もできなかった。

「では母を霊安室に移動しますね。」

「ああ、無理言ってすまない。感謝するよ。」

「いえいえ。葬儀は1ヶ月後。この街の大聖堂で行います。ぜひいらしてくださいね。」

「ああ、必ず。」

「父上。」

「なんだい。」

「今度一度『迷いの古城』に連れて行ってください。『蕀の魔女』様に挨拶したく思います。」

「ああ、構わないよ。では、葬儀のあとなんかどうだい。」

「んー。そうですね。その日は参列者の挨拶で忙しいと思います。」

まぁそうだな。皇帝陛下だもんな。

「その日に詳しい日取りを決めましょうか。」

「ああ、それで構わない。あ、そうだソフィア。右手を出して。」

「はい。」

私は亜空間から大きな青い宝石の付いた指輪を取り出す。サラとビオーラにあげたのと同じやつ。ソフィアの人差し指にはめる。ソフィアの指は細すぎてサイズが合わない。

「ちょっと大きすぎるか。直した方がいいかも。直すときは宝石が傷付かないように。」

「まあ、綺麗ですね。ありがとうございます。」

「デザインはシャーロットだからね。この指輪に魔力を込めて宝石部分を床に付ければ私が召喚できるよ。宝石が割れるまで何回でも使える。なにかあったら呼び出してくれ。」

効果言っちゃった。サラなんかは面白半分で呼び出しそうだけど、ソフィアなら大丈夫だろう。

「それは素敵な効果ですね。夕食がひとりで寂しいときなんかに召喚します。」

「ああ、構わないよ。」

娘なのだからそれくらいは大丈夫だ。夕食時寂しいのだろうか?

「ふふふ。冗談ですよ。大切にしますね。」

「ああ、では戻るよ。また近いうちに。」

「ええ。」

私は転移魔法で『月夜亭』に飛んだのであった。






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