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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
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デギル帝国

「次は帝国運営の冒険者ギルドにいこうか。帝国運営の冒険者ギルドは柄が悪いから離れちゃだめだよ。」

エドワードなんかが絡まれたらかわいそうだ。冒険者が。

冒険者ギルドに着いて入口を入る。

「あ、ハリムっち!おーい。」

入口を入って右手にある待ち合い場所兼酒場にサラが数人の冒険者と座っていて、私たちに気付いて手を振っている。昨日のメンバーとは違うな。私も手を振り返し、受付に進む。

「ん?ハリム?」

「あれが大魔導師ハリム?」

ギルド内がざわざわし出すが気にしない。

「ハリムだ。私を待っている人がいると聞いたんだが。あと、これ前に受注した討伐依頼の魔物の角。」

受付の男性にギルドカードを見せたあと、亜空間から黒い角を10本取り出してカウンターに置いた。オーガの亜種の群れの討伐。楽な依頼だった。私が使うギルドはクリミド運営より帝国運営の方が多い。クリミド運営の方はこの国の軍隊みたいなものなので、国内限定で、討伐依頼より門番や街の警戒警備、護衛などの依頼が多いのだ。年に1回の合同演習にはどうしても参加してくれと言われているので顔を出しているが。

「あれ、黒オーガの角だぜ。」

「あのミシビ王国に出たという黒オーガの群れ?」

「B級の冒険者パーティーが壊滅したって聞いたぜ?」

冒険者たちのこそこそ話が聞こえてくる。B級冒険者?黒オーガの近くでのびてたやつらのことかな?助けて治療してあげた。アーチャーの女の子かわいかったな。ライラと言ったかな?今度会う約束したんだった。ミシビ王国に会いにいかないとな。

「SS級冒険者ハリム様、いつもありがとうございます。こちらが依頼達成料です。金貨80枚です。」

受付の男性はそう言って黒オーガの角を片付けると金貨が入った袋をカウンターに置いた。

「き、金貨80枚…」

「そんな依頼達成料、初めて聞いた。」

またギルド内がざわざわ。聞き耳立てすぎ。仕事しなさい、仕事。

「ギルド長の部屋でサウザンドナイツのアブラム様がお待ちです。その前にハリム様に指名依頼が。ミシビ王国に今度はドラゴンが2頭目撃されているようです。今のところ被害はないそうなのですが、ハリム様になんとかしてほしいと、ミシビ王からの依頼です。」

ドラゴンが2頭…それは大変だ。ドラゴンは天災と同じ。普通の国では出没したら通りすぎるのをただただ待つしかない。ミシビ王国はクリミドの南にあるちいさな国で国軍もあまり強くない。今のところ被害はないみたいなので温厚なやつなんだろうけどドラゴンは基本バトルジャンキー、いつ被害が出てもおかしくない。ライラが心配だ。なんとかしてやろう。

「わかった。近いうちに行くよ。」

「ありがとうございます。ではギルド長の部屋に案内いたします。」

受付の男性は立ち上がって案内してくれる。またサラが手を振っているので笑顔で振り返しておく。

ギルドの2階に上がり1番奥の部屋を受付の男性がノックする。

「ギルド長、ハリム様をお連れしました。」

「入れ。」

ドアを開けてもらい中に入ると窓際の机の向こうに額が広めの細身の青年が来客用のソファーには身体の大きなドワーフ族の男が立ち上がって出迎えてくれた。ドワーフ族、鍛冶と酒をこよなく愛する種族で基本温厚。ちょっと気難しい。身体は毛むくじゃらで縦より横に大きいくらいの種族なのだが…ドワーフ族ってこんなに背が高かったかな?背中に戦斧を担いでいるようだ。

「ようこそハリムさんお待ちしておりました。そちらのお子さんは?」

「やぁギルド長ひさしぶり。この子らは私が預かることになった子たち。まぁ私の弟子だな。」

「ほぅそれはそれは将来有望ですな。早めに帝国ギルドにご登録を。お名前を伺っても?」

「はい、ナタリアと申します。以後お見知りおきを。」

「エドワードです。」

二人とも家名は言わない。

「ほぅ、ナタリアにエドワードと…どこかで聞いたような気がしますがハリムさんが噛んでいるならまぁいいでしょう。」

「ああ、これ以上詮索はしないでくれ。」

まあ、家名言わなくてもわかるよな。腐ってもギルド長だし。

「我はデギル帝国サウザンドナイツ序列4位『豪腕』アブラム。ハリム殿、頼む、急ぎ帝国に一緒に来てくれ。」

帝国にはサウザンドナイツという凄腕の騎士団があり1000人いて序列順位が小さいほど強い。人族領最大最強と言われる帝国の最強の騎士団、入れ替えも序列争いも激しい。そこの序列4位、なかなか大物を寄越したな。ちなみに序列1位は剣聖である。

「今すぐにか?」

「ああ、出来るだけ早い方がいい。もう手遅れかもしれない。」

「わかった。この子らを連れて行っても?」

「大丈夫だ。」

「どうやって行く?」

「我の足では帝国までずいぶんかかってしまう。貴殿は転移魔法が使えると聞いた。便乗させてほしい。」

「構わないよ。徒歩か馬車でと言われたらどうしようかと思った。ギルド長ちょっと行ってくるよ。」

「ああ、行ってくるといい。私も行きたいが仕事があるので仕方ない。ここで待たせてもらうよ。」

私は転移魔法を発動してナタリア、エドワード、あとアブラムを連れデギル帝国に飛ぶのであった。


帝国の宮殿の玄関の前に到着した。玄関の両脇には全身甲冑の兵士が長い槍を持って立っていた。アブラムを見ると顔パスで通してくれる。

「ハリム殿をお連れした。皇帝陛下に伝えてくれ。」

玄関ホールに入るとアブラムは歩いていたメイド服の女性に声をかけた。帝国の宮殿内で働く女性たちは昔から美女揃い。どこから探してくるんだ?メイド服の女性は一礼すると小走りでどこかに行ってしまった。

「こちらへ。」

アブラムの案内で待機室に入る。昔よく来ていたから案内がなくても来れたが。


「準備が出来ました。謁見の間にお越しください。」

待機室内の椅子に座って4人で待つこと半刻ほど、部屋の外から女性の声が聞こえた。私たちは待機室を出で謁見の間に向かう。

謁見の間の大きな両開きの扉の前に立つ。

「大魔導師ハリム様、そのお連れ様、アブラム様、中へ。」

そう声が聞こえて大きな扉が両側に開く。私を先頭に私の後ろにナタリア、エドワード、アブラムが横一列になって進む。皇帝の座までの両側には皇帝の座の近くには大臣たちがこちら側にはサウザンドナイツたちがずらりと並んでいる。ちっ、皇帝の座の真横には剣聖の野郎もいやがる。そして皇帝、水色の綺麗な髪に水色の大きな瞳、純白のドレスに身を包んだとびっきり美しいハーフエルフの少女が座っていた。…ハーフエルフ?

皇帝の座の段の近くで立ち止まった。後ろのナタリア、エドワード、アブラムは片膝をついて座り頭を下げる。私は立ったまま。オリビアに正式に皇帝と同格と認定されているので頭を下げる必要はない。認定されるまではちゃんと頭を下げていたんだよ?

「皇帝陛下、ハリム殿をお連れいたしました。」

アブラムは頭を下げたまま言う。

「アブラムご苦労でした。ぎりぎり間に合いました。」

皇帝、ソフィア女帝だったか?はそう言うと皇帝の座から立ち上がり、段階を優雅に降りて近付いてきた。近くでみると一段と美しい。オリビアも美しかったがそれ以上かもしれない。あまり背は高くないが手足が長く細い。腰も細い。抱いたら折れてしまいそうだ。…あれ?なぜか抱きたいと思わないな?

「お初にお目にかかります。大魔導師ハリム様、いえ父上。」

「え!?うぇ?ち、ちち父上!?」

私はここ数百年で1番の驚きの声を上げたのだった。

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