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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
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港近くの繁華街 後半

「初級魔法はいいんだが、中級魔法を覚えたらちょっといい魔法媒介を使った方がいいんだ。魔法の収束率が違うんだ。威力が全く変わってくるよ。」

「え?そうなの?だからか、魔力食うわりに初級魔法の全体攻撃番みたいな感じにしかならないから使い勝手が悪かったんだ。」

「ちゃんとした魔法媒介を使ったら威力は倍以上違うよ。」

「マジか…でもお金が…」

「いいよ、今回は私が買ってあげるよ。杖ないしはその他の魔法媒介になる武器もくれ。武器は2階だったか?」

「担当をこちらに呼びます。」

「いや、いいよ。試し切りもしたいし。試し切り用の丸太や板が置いてあるんだろ?」

「はい、ございます。」

私たちとアシュレイは階段を2階に上がった。


「いらっしゃいませ。」

図太い声。2階にいたのはがたいのいい強面のおっさん。服装は1階にいた初老の男性と一緒。胸のあたりが弾けそうだ。

「こちらの方はハリム様。このお嬢さんにはレイピアを、こちらのお嬢さんには魔法媒介をご用意しろ。」

「はい、かしこまりました。」

そういって奥に行きガチャガチャやりだした。壁や台に何点か武器は置かれているがこちらは見せる用で売るのは奥にあるのだろう。

「いいのかよ…この店高いよ。」

サラが心配そうだ。

「いいのいいの。サラちゃんにはもっと成長してもらいたいし。」

「お待たせしました。」

男が奥から持ってきたレイピア1本と杖1本と大きな透明の宝石が付いた指輪をカウンターの上に並べた。

「そちらのお嬢さんの身長に合うレイピアは今はこれしかありません。」

私はレイピアを手に取り、鞘から抜く。重さはこんなもんだろう。刃の部分をじっくり見る。なかなかいいんじゃないか?ちょっと試してみるか、切れ味とあといろいろ…

トン

「わっ。」

「え」

「え?」

私は今、カウンターの横に置いてある試し切り用の板を予備動作なしに最速で突いた。身体強化は使わなかったとはいえ、私は幼少のころから母に死ぬほど剣を振らされた。本職は魔導師だから、剣聖や勇者に比べれば遅いだろうが目で追えるものは一握りだろう。それに反応できた人間がいる。エドワードだ。

「今の見えたのかい?」

「はい。」

「?」

「若。板に穴が!」

「え?」

他の人たちの反応が普通。

「エドワードくん。君魔法は?どのくらい?」

「あの…えっと…」

「いいよ。話してももう大丈夫だ。」

「はい。基本四種は全部上級まで使えます。あと雷魔法。」

「え?」

「全部上級!?」

ナタリアも知らなかったみたいだ。サラは四種上級に驚いているが私からしたら雷魔法の方がすごい。私には使えない。今度教えてもらおう。

「だれに教わったの?」

「家によく出入りしていた宮廷魔導師に。父の妾でした。」

「メカケ?」

「なにそれ?」

女の子二人は知らない方がいいか。

「それにしては魔力をあまり感じないね。」

「ハリムさんも感じません。」

「それは隠しているからね。君もか?」

「はい。宮廷魔導師に隠すように言われました。災いの元になると。」

さすが、五芒星の瞳を持つ人間。天才だな。人族なのがおしい。長命種族なら私やシャーロットを超える魔導師になれたろうに。それにしても…

「くくくくくっ。はははははははっ。」

「え?ハリムっち?どうしたの?」

これが笑えずにいられるか。馬車の事件のあと、私は冒険者に私がいなければ皆殺しにされていたと言った。でもそんなことなかった。エドワードからみればあんな中途半端な騎士など雑魚でしかないだろう。私と戦って幸運だったのはむしろ彼らの方か。命は繋いだのだから。エドワード相手なら3人とも消し炭だっただろう。


レイピアと杖を購入してロマニコフ商会を出た。

「ハリムっち、ありがとう。」

「ありがとうございます。」

サラは新しい杖を抱きしめ頬擦りしている。さんざん迷った挙げ句杖にした。この杖は宝石は付いていないが、ドラゴンが無数に生息する山『神龍山』に生えるバルバルの木というのを素材にしている。丈夫さはそこいらの木と大差ないが魔法の媒介としては優秀な木だ。昔私が斬り倒して持ち込んだ。今までの杖は下取りしてもらえず、捨てるのも何か嫌だというので私の亜空間に放り込んだ。

エドワードに武器は買わなかった。エドワードは生粋の魔導師なので魔法媒介は持ってきたナイフで十分だろう。変わりにローブを買った。エドワードは6歳。身体に合うのがなかったので、特注で作ってもらう。出来たら『月夜亭』に持ってきてくれるそうだ。ナタリアにも皮の胸当てとレギンスを買った。丈夫で動きやすいやつだ。サラにも買ってやると言ったが遠慮された。

帰り際、アシュレイが

「そういえば親父が、ハリムさんから頼まれていた物がやっと手に入ったと数ヶ月前に言っていました。」

と言っていた。今から明日が楽しみだ。

「ちょっと遅くなっちゃったな。転移魔法で『月夜亭』に飛ぶよ。」

「おお、初めての転移魔法体験だ。」

サラが喜んでいる。転移魔法で『月夜亭』の前に飛んだ。


『月夜亭』の玄関をくぐる。

「いらっしゃい。あら、ハリムさん。」

ハーフエルフの女性がカウンターの中にいた。『月夜亭』の女将イザベラだ。

「やぁイザベラ久しぶりだね。今日も満員御礼だね。」

「お陰様でね。」

『月夜亭』の1階はカウンターと調理場と食堂になっている。その食堂は満席でウェイトレスの女の子たちが走り回っている。これ全部ここの宿泊客。

「ハリムっちがこんな綺麗な女性を前にして口説かないとは…」

「お前の中で私はどんな人間なのかな?」

「標準的なハーフエルフ男性。」

サラが失礼なことをいう。まぁその通りだけどな。

「ふふふ。それはね…」

イザベラがイタズラっぽく片目を瞑り人差し指を立てる。そのとき

「あ、ハリムーーーーー」

2階から掃除道具を持ったハーフエルフの女性が降りてきた。私を見付けると持っていた掃除道具を放り投げ私に向かって猛ダッシュで走ってきて胸に飛び込んできた。私は優しく受け止める。食堂で食事していた他の客たちはなんだなんだとこっちを見ている。

「ハリムハリムハリムー」

「やぁアンナ。今日も相変わらず綺麗だね。私の部屋は空いているかい?」

「当たり前じゃないっ。ハリムぜんぜん来てくれないんだもん。」

「ごめんよ、シャーロットがなかなか出してくれなくてね。」

「もう、またシャーロットさん。今回はどれくらいいられるの?」

「んー、そうだな、2週間くらいかな。」

「じゃあさじゃあさ、3日後デートしましょ?お母さーん、3日後休むねー」

「ははは、ああ構わないよ。今から楽しみだ。」

イザベラはサラたちに向かって言う。

「この子の母親だからです。」

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