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大魔導師の育成  作者: 春夏秋冬
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プロローグ的な自己紹介

やあやあ。初めまして。私の名前はハリムという。今年でちょうど300歳になるハーフエルフだ。父がハーフエルフで母が獣人。これだけ聞くとクォーターエルフじゃないかと言われるかもしれないがこの世界にクォーターエルフなる種族は存在しない。片親がエルフ族なら生まれてくる子は全部ハーフエルフなのだ。


父と母はけっこう有名な冒険者だったらしい。父は魔導師で母は剣士だったらしい。父は母が妊娠したことを知ると母の前から消えたそうだ。とてもひどい話のように思えるが、割りと普通の話。

少しエルフ族の話をしよう。エルフ族にはハイエルフとハーフエルフとダークエルフがいる。共通した特徴としてはみな顔が綺麗な造形をしていて耳が尖っている。

ハイエルフというのはハイエルフ同士からしかできない。いわゆる純粋なエルフのことをいう。ハイエルフに結婚という認識はない。気の合った男女がいるととりあえず一緒に暮らし女が妊娠すると男は消える。育児は女性の仕事。ハイエルフは数が少なく出生率も悪い。引きこもり体質で森の奥から出てくることはほとんどない。種を保つために必要だったのかもしれない。

このハイエルフの結婚観に他種族の社交性と繁殖力を併せ持ったのがハーフエルフ。ハーフエルフの男性は家庭に入るのを嫌うが、綺麗な顔に種族の特徴として穏やかな性格でとてもモテる。結果、やり捨て種族とかシングルマザー量産機なんて呼ばれることもある女の敵なのである。

ちなみにダークエルフは社交性、繁殖力とも良好で普通に家庭を作る。


母は酒と旅と戦闘をこよなく愛する人だった。私は物心ついたころから、そんな母にいろいろなところに連れ回され、いろいろな人物と出会い、いろいろなことを学んだ。もちろん戦闘もたくさんした。母は基本特攻命の人だったので、私は補助に徹することが多かった。

そんな旅を続けているといつの間にか私も有名な冒険者になっていた。

ちなみに私が10歳のころ父が死んだと風の噂で聞いたがなんとも思わなかった。

私が35歳になるころ、母は老い始めたのでクリミド商国のランペドという小さな町に移住した。

獣人は戦闘種族なので10歳のころには身体はピークに達し、それから死ぬ寸前まで保たれる。老い始めると5年ほどで死に至る。

ランペドという町は人口5000人くらいの町だが、南西にあるクリミド商国の首都キャリアンと貿易の盛んな港町シャワラムの中間地点にある宿場町で人の通りは多い。

クリミド商国は商人の国で国の運営は商人の代表者、評議員が行う。国軍を持っておらず、商人の私兵や冒険者が国防や治安維持を勤める。そのため冒険者には非常に暮らしやすい。

私は母にいい老後を送らせてあげられたのではないだろうか。


母の死後、冒険者を続けつつ魔法の研究に打ち込んだのだが、80歳のころ回りに私が教えをこえるような人物はいなくなってしまった。

そこで白羽の矢を立てたのが『迷いの古城』に住むといわれる『蕀の魔女』。『迷いの古城』とは魔族領と人族領のヘルミナ王国の境目の小高い山の頂上に立つ古城のことで山全体を強力な結界で覆われている。ヘルミナ王国側からも古城は見えるのだが、山を登ろうとすると森の中を迷い入った場所に戻ってきてしまうと言われていた。

私は意を決して突撃したらなぜか古城に辿り着けてしまいました。


古城に住んでいたのは吸血姫シャーロットとその従者たち。全員吸血鬼。500年ほど前、魔王の座を廻る戦いに敗れたシャーロットたちはここに幽閉され結界で覆われたらしい。500年変わらない生活。不死人である彼女らではあるがひまに耐えきれず消滅、人族でいうところに自殺を選ぶ人が後をたたなかったらしい。500年ぶりの客人に大歓迎で迎え入れられた。

三日三晩続いた宴会のあとシャーロットに弟子入りを志願。住み込みならという条件で受け入れられた。こうして私は『迷いの古城』に住むことになったのだ。


シャーロットは『蕀の魔女』の異名に恥じぬ魔法の知識を持っていた。また魔法の研究や魔道具作りを趣味としていたため話がよく合った。私はシャーロットからの荒修行をこなしたり、一緒に研究しているうちにいつの間にかシャーロットと同格の強さを手に入れていた。


住み込みという条件ではあったが、古城の庭で育てている葡萄から作るワインか私の血があればいい吸血鬼たちとは違い私は食べ物を食べないと生きていけない。なのでたまにクリミド商国や麓のヘルミナ王国、昔の旅の際交流のあったデギル帝国なんかに買い出しと冒険者ギルドでの仕事などの目的で出掛けさせてもらっていたのだが、出掛ける際シャーロットがとても寂しがる。何回か連れ出そうとしたのだが、結界に阻まれて無理だった。外の人を結界の中に連れて入ることは出来る。1度連れて入ればその人はもういつでも出入りすることが出来るようになった。


あるときデギル帝国での依頼の途中に白竜姫というドラゴンと出会い戦闘になった。2日ほどちょっと戦った(森1つと山1つが消滅)が決着が付かず、話してみるととても人懐っこいいいやつだった。シャーロットの話をすると古い友人だということだったので古城に連れて行ったらそのまま住み着いた。それが80年ほど前のこと。50年ほど一緒に暮らしたが30年ほど前急にどこかに行ってしまった。


私ももう300歳。ハーフエルフの寿命はまちまちでいつ死ぬかわからない。

シャーロットたちを閉じ込めた魔王、いまだにピンピンしているらしい。死ぬ前に魔王を倒しシャーロットを解放してあげたいものだ。

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