(ショートショート恋愛シリーズ)私は○○○だ!
ズポッ
私の後ろポケットに温かいものが入ったことに気がつく!隣を見ると、ニヤニヤして私の反応をうかがっている女子がいた。いつもキリッとした目をしているのに、今は三日月のようになっている。
学校では冷徹な完璧少女で、一年生生徒会長で、私の幼馴染。桜坂由衣。
学校で笑ったところを見たことないのに、私と二人の時は笑う。まあ、私をバカにしてしか笑わないが。
はぁ~今日もどうせ私の顔が赤くなっていることをバカにしているんだろうな。でも、いつもやられているばかりでは嫌なのだ。今日こそは、由衣に一泡ふかせたいと考えていると。
「はるねは本当に女子力高いよね」
「そんなことない」
「そんなことあるよ。ほらだってこんなに目がクリッとてハムスターみたいでかわいいよ」
由衣の顔がどんどん近づいてくる。やばい自分の心臓の音がやばい。
「それにはるねの唇すごく柔らかそう」
由衣の吐息が私の唇にかかる。これはまさか、まさか……キ……ス……。
もう、私の負けでいいやと思い目をつぶる。
……………………………………………。
ん?
目を開けてみる。少し動けば私の唇と由衣の唇があたりそうな位置で由衣は固まっていた。
え?……どうする?なかったことにして自宅に帰ろうと一瞬頭によぎったが、これはチャンスだと思った。
いつも、由衣にドキドキさせられている、仕返しができると。自分の閉じた唇を無理矢理あけて、言葉を紡ぐ。
「……ゆ……ひ」
……噛んでしまった。それを聞いた由衣の口が動きだす。
「はるねは本当にかわいいね。クリッとした目に柔らかそうな唇、サラサラの髪、女の子みたいでかわいいよ」
そう言った後に、由衣は私から離れていこうとした。私は、
「私はおんなじゃなくて、君のおとこだよ」
彼女の肩を摑み、自分に引き寄せキスをした。
そのまま私は顔を伏せる。
やばい! これは本当に恥ずかしい!!! 私今までにないぐらい顔真っ赤だ。 また、由衣にバカにされると思ったが由衣の反応も気になる。
……由衣の方に顔を向ける。
ああ、これはバカにしたくなる気持ちは分かるなと思ってしまった。