サラが来た ②
そうだ、真央に、お茶入れろって言われてたっけ。
あたしは、いそいそとキッチンに行きお茶を用意する。
お茶ならカンタンね。え~と、この急須に、あ、これだ、お茶の葉っぱを入れて、お湯をそそぐ。ばっちりだ。
3人分のお茶をお盆ではこび、テーブルに置く。
「サラ、お茶でもどうぞ」
できるだけ、ソフトでお嬢様風に言ってみる。
「翔も、さいきん気が利いて助かるよ」
真央が援護射撃をしてくれてるー。ありがとー。
「ありがとう、翔さま。せっかくですのでいただきます。真央さまも、翔さまも、ごいっしょに」
やったー、これでちょっとは株が上がったかも。うれしいな。
わたしと同時に、サラも真央も、お茶を口に含んだ。
「!」「!」「!」
反射的に、3人同時に洗面台に駆けだす!
「ぺっ、ぺっ」
うわ~、なにこれ、変な味~、あたしは口に含んだ妙な液体を吐き出す。
「こ、この飲み物はいったい・・」
吐き出したあと、サラが手で口を押さえて、恐る恐る言う。
「翔、おまえなに入れたんだ?」
あたしが犯人とでもばかりに真央が問い詰めてくる。
なにがどうなってるの?わたしは放心状態だ。
真央が、ふ~、とため息をつき、言い放つ。
「この香りは青のりだ。翔、おまえ、青のりとお茶の葉、間違えただろう」
「えっ!青のりって焼きそばにかけるやつじゃない!なんで、あんた青のりなんかキッチンに置いとくのよ!」
「青のりはキッチンに置いとくもんだ!」
「あたしがお茶入れるときぐらい、そんな、まぎらわしいもの隠しといてよ!」
「なにが、まぎらわしいんだ、ちゃんと袋に青のりって書いてあるだろう。子どもだって間違えないぞ」
もうやだ~。せっかく女らしいところを見せようと思ったのに~。
サラを見ると、両手で顔を覆って下をむいてる。あたしが、ごめんって言おうとした時だ。
「あはははは、ははは、あ~、おかしくて、お腹がいたぁい、も、もうだめ~」
立っていられないのか、座り込んで、お腹を押さえている。
「ご、ごめんなさい、こんなにおかしいの久しぶりで、あ~くっ、くっ、くっ」
サラ、尋常じゃない笑い方だ。こ、これくらいで笑わないで・・こないだは、もっとひどかったんだから。
しばし、座ったまま肩をヒクヒクさせていたサラは、涙を流して立ち上がった。
「ご、ごめんなさい。さ、さすがですわ。翔さま。わたし、人生で一番笑ったかもしれません」
サラはあたしに深々と頭を下げた。
あ、あたしがテレビに出てくる、お笑い芸人って人なら、ほめ言葉だけど、なんて受け取ったらいいの!




