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プロローグ

 白い。この部屋の感想を述べろと言われたら、まずその一言が頭に浮かぶ。逆にそれ以外の感想はない。強いて説明を付け足すならば、中学や高校の教室ほどの広さであるということくらいか。

 

 俺はさっきまで何をしていたんだっけ?ああ、そうだ。中学からの友達である弘樹やつばさ達と東京オリンピックの開会式に行ったんだ。そしてその後の記憶がない。この部屋のように真っ白だ。開会式の後に何をしていたのかは思い出すことが出来ないが、自分の名前、生年月日、その他の基本情報はしっかり頭に残っている。そこでひとまず安心する。

 

 突然壁が開いた。そしてそこには男が一人。こちらに向かって歩いてくる。まるで就活中の大学生だ。ここで分かることがもう一つ。どうやら、異世界転生もしくは召喚といった事態は免れたということ。ネット小説界に溢れる異世界冒険譚の主人公にはならずに済んだようだ。ここはほぼ間違いなく地球上であり、それもきっと日本なのだろう。

 

 何の変哲もない男は、わざわざ近くまで歩いてきてから目の前で声を張り上げる。


「ようこそ国会議事堂地下30階ヘ。君を日本帝国のためのスパイに任命する。これからの活躍を期待しているよ。」

初めての作品です。よろしく。

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