第3話
今回は少し会話が多いかもです
リュウキが初めてだとはとても思えない魔法を披露した次の日
リュウキは魔法特性や身体能力の他諸々の把握に時間を費やしていた。
お陰で分かったことは、リュウキの内包するマナの量はこの世界の規格を超えた膨大な量があること。 全属性に感受性が高く、身体能力も元の世界よりかなり上昇していた。
「まさに強くてなんとやらって感じか?」
後で聞いた話では俺が使った魔法はオリジナルと言って、この世界の人が使ってる魔法には無かった新しい魔法であるらしいとのことだ
この世界では異世界の世界でのような、化学や物理と言った知識は無くは無いが明らかに技術水準が低い為、それらを活用した俺の魔法は恐らく大体がこのオリジナルになるとのこと
「勇者さまはやはり凄い力を秘めているようですね」
隣で感嘆の声を上げているのはエルマールだ
彼女はこの世界で神と呼ばれるモノを祀る為の巫女的な存在だそうで、今は俺の側について回り、この世界の事を色々と教えてくれている。
ちなみに、昨日の召喚の儀も彼女が先導していたらしい。
「いや、そんな実感は全然ないんだけどな」
「それでも、勇者様は凄い力を持っていますよ!」
彼女にはこの世界での、俺の暮らしや今後の戦いなどでサポートに入ってもらうことになった
「あのさ、これから一緒に居るんならそんなに硬くならなくていいからさ、
手始めに俺の事はリュウキって呼んでくれないか?」
こんなに丁寧な喋り方をされるのはどうも慣ないもので落ち着かないため、早めに改善しておいて欲しいと思った
「しかし、勇者様は我々の上に立つものでありますので……」
「俺はそっちの方が呼ばれ慣れてるし、そう呼んでくれた方が嬉しいよ」
その言葉の後、逡巡しながらも
「わかりました。 勇者様が…… 、リュウキさんがそう仰るならば」
そう言って華やかな笑顔で答えてくれた。
そんなエルマールは輝くような金髪で、目は澄み透るような蒼瞳、身長は俺より頭1つ低い程度で、胸は大き過ぎず小さすぎない丁度良い感じで、細い腰付きだ。
服装も相まってとても柔らかいイメージを与える人物だ。
「どうしたんですか?」
じっとエルマールを眺めていた俺に、不思議そうな目を向けてきた
「い、いや、なんでもないよ」
若干焦り気味で返答する
とまあ今までマジマジと見たことなかったエルマールの外見については置いといて
「俺のこの力は召喚主である神が授けたんだよな?
んで帰る方法もわからないと……」
そう、元の世界に帰る方法は今現在判明していないそうだ。
そもそも召喚自体は神がしたことで、エルマール達は詳細も知らされていないし、その様な魔法も使えないらしいのだ
「はい、申し訳ございません。
しかし、リュウキさんは勇者なので神とコンタクトを取れると筈なのですが…」
あっさりと凄いことを口にするエルマールに、少し驚きながら
「と言う事は… 神とコンタクトが取れるのか!?
それなら帰る方法がわかるかも! 」
実際に帰り方も他のこともよくわからなかった為、直ぐにでも実践してみいと思い聞いてみた
「リュウキさんが心の中で神に呼びかければ大丈夫だと思いますよ?」
「あれ? そんな簡単でいいのかな?」
神ってそんな軽く話せるものなのか、と戸惑いや呆れが混濁した表情をする
だが言われたからにはやるしかない
リュウキは目を閉じ、集中していく
(俺を召喚した神よ! 聞こえたら返事を!)
語りかけてみるも中々返事が来ない
(神様! 留守ですか??)
【あっ、あぁ~ 聞こえておるか?リュウキよ】
(ッ!? き、聞こえましたよ神様!)
語りかけると本当に頭の中と言うより、心に直接声が響いてきた
【よかった。 ワシはこの世界の唯一神である。
名はマーティアと言う。 よろしくな】
(マーティアか、聴いたことないな… まあいいか
そんじゃ早速聞きたいことがあるんだが)
【むっ、貴様色々と無礼な奴だな? 仮にも神が名乗ったのだぞ? 貴様も名乗らぬか!】
(いや、さっきリュウキって言ってたじゃねーか)
【何事も型式というものはあるものじゃろ?
そこら辺もしっかりしてくれんと困るの~】
声は女性らしい声なのに、なんでか喋り方がジジくさいうえに、なんだかうざいマーティアだった
(あーわかった、俺は赤羽竜輝だ。よろしくなマーティア)
【呼び捨てとは… まあ良い。 では聞きたいこととやらを聞こうではないか】
(それなんだが……)
とりあえず要点のみを摘んで説明してみた
【帰る方法はな、最初にワシが伝えた、この世界を救う。 という事を達成せねばワシでも貴様を帰えすことは出来ぬよ?】
(え? じゃあこの世界を救うまで帰れないのか?)
【うむ。 その通りじゃ】
(うむ。 じゃないだろ! それじゃあ向こうのバイト先とか、家族とかと連絡さえ取れねぇじゃねぇーか!
クビになったりら捜索願とか出されたらどうやって責任とってくれんだよ!)
【まあ、落ち着け。 こちらから帰る際はワシが神の力でチョチョイと… な?】
いきなりトンデモないことを言いやがったぞ、しかも神の力だからってなんでもありかよ……
(そんなこと簡単にできるのか?)
【誰にモノを言っている? 私はこの世界の唯一神だぞ?】
決めゼリフとともに、なんだかとてつもない決め顔をしてる気がして腹が立つ
(なら、この世界を救えば元の世界に帰れるってことだな?)
【そういう事になるの。 あと褒美として2つ程願いを叶えてやろうでは無いか】
ご褒美が貰えるなんて、良心的なところもあるんだなと少しリュウキの中でマーティアの高感度が上がった
(それは太っ腹なことで、 じゃあその願いも考えとくよ)
【うむ。では今後も何かあればこうして話しかけて来い。 そう毎度毎度話しかけて来られては困るがの】
(あーわかったよ、聞きたいこととか困ったことがあった時だけ聞きに来るよ)
【それなら良し。 ではさらばだリュウキよ】
マーティアの言葉を最後にリュウキは目を開けた
「どうでしたか? リュウキさん?」
「ああ、神があんなに軽い奴だと思わなかったよ」
素直に神と初の対面の感想をエルマールに伝えた
「本当に神とお話されたのですね。
やはりリュウキさんは凄いです」
「そうなのか? エルマール達はマーティアとは話したりできないのか? 巫女なんだろ?」
儀式などの説明を聞いて、神と対話をしているものだとばかり思っていたので思わず聞き返す
「私達は巫女と言えど、直接神と話す事はできませんので」
「じゃあどうやって召喚とかしてたんだ?」
「それはあくまでも御神託として一方的に受け取ったモノなので…」
そう言って言葉を詰まらせる
てか一方的に勇者召喚するから~ みたいに言うとか流石、適当な話し方をしてただけの事はある
まあ望んでいた帰還の方法が一応判明したので良しとしておこう と心の中で決めるのである
「ところでら帰還の方法については何か判明しましたか?」
どこか戸惑いのある声でオズオズと尋ねてくる
「ああ、この世界を救い出すことが帰還の方法だって言われたよ」
「えっ? で、では…」
「ああ、これからはちゃんと勇者・リュウキとしてこの世界を救うってのはイマイチピンと来ないら、皆が過ごしやすいようにするために尽力するよ」
と答えるとエルマールは不安げな瞳を、元気に染めて輝く笑顔を作り
「帰還の方法が分かれば私達の元を去られるのかと少し不安でしたが」
胸の内を少しだけ吐露して笑顔をこちらに向けて
「リュウキさん、これからよろしくお願いします!」
勢いよく頭を下げて改めて挨拶をしてくる
なのでこちらも
「ああ! これから宜しくな!」
二人で挨拶をして、これから一緒にやっていく事を決めたのであった
読んでいただいてありがとうございます。
もう少し戦闘シーンなどは先送りになっております
現在はリュウキが地盤を固めておりますのでもう少しお待ちください!
これからもどうぞお付き合い下さい。