プロローグ
「夢を捨てなければ成功はある!」
昔誰かが言っていたこの言葉は真っ赤な嘘だった。今の僕には夢がある。1つではない、もっと多くの夢が。しかし今の僕は今年から金竜大学一年生だ、もう18歳だ。それにこれから何の力もなく大人になり平凡なまま過ぎていく毎日に嫌気がさしていた。
世界には途方もない夢があふれている、その夢を叶えるサークル”レーヴ”。このサークルに出会ったのは丁度こんなことを考えているときだった。
今日は大学、大阪府立金竜大学、略して金大の入学式だ。僕、佐藤龍輝はこの金大の経済学部1年だ。そして今丁度満員電車に揺られ中だ。
「やっぱり都会の電車っていつもこうなのかよ。俺やっていけるのかな。」
電車がゆらゆらと揺れながら僕は口ずさんでいた。
「もしかして金大の新入生?」
話しかけてきたのはいかにもコミュ力豊富そうな高身長の男だった。
「俺の名前は広瀬高貴、法学部一年なんだけど、金大の新入生?」
「うん。僕の名前は佐藤龍輝、経済学部1年だよ。よろしく!」
こんな普通はないような出会い方をした僕らは大学へと続く電車の中で自己紹介をした。しかし僕らが出会ったのは、朝の通勤ラッシュで死にそうになっているまっただ中だった。
「じゃあ佐藤、俺はなんて呼べばいい?」
「僕のことは何とでも。じゃあ龍って呼んで。僕はなんて呼べばいい?」
「俺のことはそうだなあ、せこって呼んでくれ。あれだぞ、ネーミングセンスねえとかはわかってるから。泣けてくるから。」
こんな何でもない話をしていると、突然同じ車両から叫び声が響いてきた。
「痴漢です!この人痴漢です!」
若い女性の声が響いたときその隣にいた男性がおもむろに腕をつかみ、上へとあげた。