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ゴールド・アンド・レッド   作者: 田梨征洋
浮上
7/7

魔女2

4日が過ぎた。

乗組員達は引き揚げ作業も終わり各自機材の撤収や引き揚げた物品の確認作業や船倉への積み込みに追われてはいたが船上は比較的穏やかな空気が流れ甲板には必要最低限の人数しかいなかった。

エンドラもまた船内や甲板を気ままに裸足で歩き回ってはいたがその頃には船員達とも軽口を叩き合える関係になっていた。

甲板の後部ではリトルジーンとデイジー二台の無人探査機のメンテナンスと各部調整のためにオペレーター3人とそれを眺めるエンドラの姿があった。

「ねぇこれが終わったらみんなどこ行くの?」

エンドラが作業する3人のうちの1人フリオに肩越しから声をかける。

「終わったらって飯食ったり洗濯したりベッドに寝たりだよ。」

「そうじゃなくって船が着いたらってこと!」

「そりゃ家に帰るさ。しばらく家でゆっくり飯食ったり洗濯したり波で揺れないベッドに寝たりだよ。お前はどうすんだ?」

逆に質問されたエンドラが返答に詰まる。

「しまった」というばつの悪そうな顔で自分が取り返しのつかない質問をしたことにフリオが気付く。

「あー…家族とか親戚とかよ、アテはあんのか?」

傍らで話を聞いていたジェフが聞く。

「無いよ。アテなんか。もうみんないないだろうし、知り合いもまさか私が生きてるとは思ってないだろうしね。70年だもの。」

「寂しいな…」

またその傍らでラップトップのモニターを見つめながらジュニアが誰にともなく呟く。

「迎えがこなかったら私もこの船で働けないかな。洗濯とか掃除とか看護婦とかさ。」事も無げに答えるエンドラの目にはもう悲壮感は無かった。


その頃無線士がフレデリックに正体不明の船舶からの電信があった事を伝えていた。

『Eを迎えにあがる』

必要最低限の短い文だった。







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