お前いったい何をしたっ?!
『いや、これ無理だわ。』
「ええ~、任せとけって言ったじゃないですか~。」
今俺たちは洞窟の入口にいた。
それはもちろん、ルクスの願いを叶える為である。
だか、目の前には熊の魔獣の他に10匹以上の野生の動物たちがいた。
『お前いったい何をした!、魔獣以外にも森の動物たちも敵にまわしてるだろ!。』
「あ、あれですよ、ちょっと森の皆さんに熊の魔獣から逃げるのを手伝って貰っただけですよ。』
『で?、具体的に何をした。』
「え、えっと~、ひ、み、つ?」
何を言っているんだこの馬鹿は。
呆れを通り越してここまで動物たちを怒らせたことに、むしろ感心する。
『は~、もう1人で突っ込んでこいよ。』
「嫌ですよ~、あれ絶対殺されますよ~。」
『なら、作戦が3つある。』
作戦1、1人で突っ込む..最後は勇敢に散ろう。
作戦2、全力で謝る..まあ、許してくれないだろう。
作戦3、諦める..お前に非がある、死んでこい。
「全部却下です!、真面目に考えて下さい。」
『だって、完璧にお前に非があるだろ。』
「くっ、でもいいんですか、ここでわたしが死んじゃうとここから動けませんよ。」
こいつ遂に、脅してきたなと思いつつ諦める。
『は~、わかった俺を構えて前え出ろ。』
「分かりましたっ!。」
そして、ルクスが洞窟の入口から出て動物たちの前に出る。
『よし、行くぞ!。』
そう言うのと同時に、魔力を周りに出す。
これは、魔力を使った威嚇行為だ。
魔力を強く出すと、魔力を感じられない人でも圧迫感を感じるのだ。
これにより、野生動物は驚きあちこちに逃げ惑う。
「おお~!、これはす、ご、いって~!、まだ魔獣が残ってるじゃないですか~!。」
まあ、ある程度の魔力があると耐えられるが。
熊の魔獣も驚き、警戒しているためすぐには襲ってこない。
「この状況、どうするんですか~!。」
『あとは頑張れ、っと来たぞ!』
「えっ!」
熊の魔獣が身を屈めジャンプし、跳んできた。
『殴り飛ばせ!。』
「き、きゃー!。」
「グワォ!」
そう魔獣が吠え襲いかかってくる。
ルクスが俺を野球のバットの如く構え、振り抜く。
「ギャオ!」
グワシっという音と共に熊の魔獣が吹き飛ぶ。
横から、岩がついたままで質量がある剣が、ルクスの馬鹿力で殴られた事により、熊の魔獣の顔が潰れていた。
「うえ~、気持ち悪い~!。」
『それを言うなら、俺もだよ。』
さっきのスイングで、いっしょに岩が砕けたのはいいのだが鞘が魔獣の血だらけになってしまった。
全身血だらけの気分で気持ち悪い。
「ふ~、なんかやりきった感がありますね~。」
そう言いながら、汗を拭いている。その容姿と合わさって実に爽やかだ。
「これなら、さっきの動物たちも簡単に追い払えるんじゃないですか~。」
『おい、そんなに調子に乗っていると痛い目に逢うぞ。』
「大丈夫で、す、よぉ。」
段々と声が小さくなっていく。
ルクスの視線の先には、さっきより増えた動物の群れがあった。
「こ、これ、どうにかなりませんか。」
『いや、無理だな。』
さっきみたいに、魔力で追い払えるならばまた戻って来ないだろう。
ここまで恨まれているとは、予想外だ。
なんというか、すごい森の動物たちの執念を感じる。
「どうにかしてくださいよ~。」
泣きそうになりながら、いやもう泣きながら助けを求めてける。
ここは、作戦どおりにいこう。
『よし、作戦2だ!。』
「ごめんなさ~い!。」
ルクスが全力で謝る。
それを無視して全方向から、動物たちが襲ってくる。
やはり、許してくれなかったようだ。
「きゃ~~!」
少女の悲鳴が森に響く。
こうして、いつも通りに森の平和は保たれるのだった。
今回は最後に、ルクスちゃんがボコボコにされておわりました。
ちゃんと生きていますよ、心配しないでください。