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誰か抜いてくださいよっ!!

 

--剣となって数ヶ月、事態はまだ進展していなかった。

  近くには、人の気配どころか獣の気配もない。

  魔獣がいないのは幸いか。この世界の魔獣とは森などにいる獣が<魔素>を大量に取り込み暴走した獣の事だ。

  ちなみに魔素とは、人などが魔法を使う魔力の元となる自然エネルギーのことである。

  獣と違い人はある程度の魔力操作ができるので、まず暴走はしないとされている。

(しかし、どうしたものか。このままじゃなりふりかまってられないな。)

 

  冬輝は、そんな事を考えていた。

  (数ヶ月もただ待ち、さすがにもう暇だ。)

  数ヶ月前に剣にされ、動けない状況での感想が暇とはさすが勇者である。

  ついに、この状況から脱出する作戦を実行した。




『誰か~!、親切なお方は居ませんか~! 』


  そう、作戦とは念話魔法<テレパシー>で助けを求めることだ。

  良い点は、 壁によって話しが遮らられず遠くまで聞こえることだだ。悪い点は、魔法を使える才能あるいは、多くの魔力保有量がないと聞き取れないことだ。


『誰か~!…』


(こんだけ叫んでいないのか、泣きたくなってきたな。)

  もうあれから何度も叫び、泣きそうになってきた時その声が聞こえた。


「誰かいるのですか~!、わたしはとっても親切なのですよ~。」


  自分で親切だと言っていて怪しいが、ついに求めていた助けが来たのだ。

  声を聴く限り可愛いらしい少女の声だが、万が一もある。

(こんな姿だがこれでも勇者だ、一度抜いて貰えば大丈夫だろう)

  そう決断し、助けを呼ぶ。


『すまない!、俺はここだ!。』


「わかりました!。ちょっと待っててくださいね~!。」


  そして、少しすると前方から少女が現れた。その姿に驚き息を飲む、格好は多少汚れているが洞窟内の光を出す鉱石に照らされた姿は美しくかった。

  少女も驚いているようだ、それもそうだ魔法で声が聞こえ来てみたら、そこに居たのが岩に刺さった剣なのだから。


「え、えっと~あなたがわたしを呼んだのですか~?。」


  少女は、そう言って首をかしげる。

(か、可愛い!)

  改めて少女の容姿を確認してみる、身長は150以上は有りそうだが随分小柄だ、透き通る黄色の瞳に若草色の髪はボサボサで肩甲骨あたりまで流れている。

  顔も泥で汚れているが、髪をとかし汚れを落とせば文句無しに美少女と呼べるだろう。

  久しく女性というものを見てないせいか、さらに可愛いく見える。


『あ、ああ、俺が呼んだんだすまないけれど俺をここから抜いてくれないか?』


「任せてください!」


  少女はそういうと、柄を握り思いっきり引き抜こうとする。


「ん~、ん~、う~~。」


  しかし、一向に抜けない

(もしかしてと思ったが、ただの少女には無理だったか。)

  そう思っていると…。


「バキリ、バキバキ、バキッ」


  そんな音と共に岩ごと地面から抜けた。


  『…なっ、』


(まさか、刺さっていた岩ごと抜くとは何て言う馬鹿力。)

  これはさすがに予想外だった、余りの事に驚いていると。


「はぁはぁ、やったぁ!抜けましたよっ!」


  少女は、とっても嬉しそうに言う。


『あ、ありがとう。そういえば君の名は?。』


  驚きはしたが、名前を聞いてない事を思い出し聞いてみる。


「ああ~、申し遅れました~。ルクスっていいます。」


  これが、剣になった少年とこれから勇者になる少女の出会い。


「あっ、それであなたのお名前は?」


いや~、まだルクスちゃんは勇者じゃないんですよね。

あと、話しが一向に進まずすみません。

もうしばらくお待ちください、次回も頑張りますよっ!。

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