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♠美少女に拘束されたようです♠

 あの事件……。

 ゲームからログアウト出来ないと宣言されたあの日から、一週間ほど経った。

 絶望に浸り、独り宿で寝ている者もいる……。


 また、希望を捨てずに、レベルを上げ、ボス攻略に精を出す者もいた……。

 僕は……そのどちらでもない……。


 変に、期待すれば絶望の苦しみに耐えられないかも知れない。

 そう。期待しないことによって、絶望への保険になる。

 

 そんな時、ゴウが僕に、「旅をしないか?」と声を掛けてくれた。

 この世界の大陸、つまりマップは、嫌になる程広い。

 ボスの部屋探しも困難だろうが、今はそれどころではなかった。


 GMは、最終ボスを倒した種族にログアウト方法を教えると言った。

 皆、他種族に敵意を向けるようになった。

 GMの思惑だと、分からずに……。


 そして、最近では、他種族同士による、PK。つまり、プレイヤーキルが多発している。

 このままでは、戦争になってしまうと思い。

 正義感の強いゴウは、それを止めようとする。


 で、僕は、とりあえず町で買い物をする事にした。



  ――始まりの町――


「おい、ロキ。ギャンブラーってのは、どうやって戦うんだよ?」

「トランプだよ」

「ああ? あんな紙でどう戦うんだよ?」

「まあ、特殊な戦い方でね、難しくて不人気なのが現実だよ」


 ゴウは、「剣にしよーぜ」と言ってうるさかったが、無視して武器屋に行った。

 僕は、武器屋にトランプが売ってある事に疑問を感じたが……。

 武器だから、しょうがないか……。


 武器屋の中で一番ステータスが高いトランプを買った。

 トランプにステータスが有るのかって? まあ、武器だからね。

 ついでに、ナイフも数本……。


「にしてもよ……ロキ」

「ん? どうしたの?」

「おまえの猫耳、癒されるなぁ……。さあ、俺の胸に来な!」


 そう言うとゴウは、両手を広げ、赤ちゃんを迎えにいくかのように、僕を誘った。

 うん、ゴウは、どこかホルモンバランスがおかしいのだろうか……。


 僕がそう考えながら、歩いていると、道の真ん中を突っ切ってそのままこちらに、見知らぬ人が突っ込んで来た。

 僕は避けようとしたが、ゴウの筋肉質の堅い体に当たり、バランスを崩してしまった。


 そして、見知らぬ人とぶつかった。


「いてて、あっ、大丈夫ですか? って、あなたプレイヤー……?」

「何よ、ぶつかっておいて、謝罪もないの!? そこどいて!!」

「ああっ、すみません…………行っちゃった」


 と、少しきつく怒られてしまったが、あの子はプレイヤーだ。

 ログアウト出来ないと宣言されて、あの元気さは、褒めていいのだろうか……。


「おう、ロキ。さっきは、悪いなぁ。ん? 何か落ちてッぞ」

「え? あ、ほんとだ……冒険者カード? 何これ」

「ああ、それはな、身分証明証的なやつだよ」

「へえ……アリス……種族、ハーフエルフ!?」


 驚いた。この世界にハーフが存在するなんて……。

 何かの特典か何かかな?

 どちらにせよ、アリスって言う人に届けなきゃ。


「ゴウ、ここで待ってて!」

「おう、おまえなら、きっと落とせるぜ?」

「何言ってんの…………」


 ビーストの特性。それは、五感の鋭さ。

 この冒険者カードのにおいから、道筋をたどっていけば着くはずだ。

 ビーストってほんと、便利。


 僕は、道筋を走って行った。

 五分くらいでにおいの発生源が分かった。

 目の前のこの宿にいる。


 僕は、宿に入り、受付の人にアリスさんの部屋を教えてもらった。

 そして、扉をノックした。


「アリスさん、いますかー?」


 キイィと、扉が開き、アリスさんが出てきた。


「あの、さっき町でぶつかった者で、あの本当にすみません。それと、これ落ちてたので届に……」

「あ、ああ。ちゃんと謝れるじゃないの……。届に来てくれたのは、一応礼を言っておくわ……」


 アリスさんの目線がおかしくなった。

 さっきの怖い眼ではなく、動物を見ている眼になっている。


「あ、あの……アリスさん?」

「あんた……名前は……?」


 あ、何だ、名前が知りたかったのか。


「僕の名前は、ロキです」

「そう、ロキね……。ロキ、私についてきなさい!」

「え、そそ、それは困りますっっ。友達が待ってますし……」

「そう、じゃあ仕方ないわね……お休み」


 え、お休み? 何言って……。

 その瞬間。スプレーのような物を吹きかけられた。

 甘い匂いで、意識が飛びそうだった。


 ビーストは、五感に非常に敏感。もちろん、その中に嗅覚も入っている。

 なるほど、戦略的拘束か……。

 僕は、意識が飛び、眠ってしまった。



 ………………ここは……?

 眼を開くと、そこには、金髪の長い髪に、蒼い瞳。アリスさんだ……。

 

「気が付いたのね。気分はどう?」

「はい、ものすごくいいです……このロープが無ければ」


 そう。僕は何故か、ロープで縛られていた。

 もちろん僕には、そんな趣味はない。


「ああ、ごめんね。外すけど、逃げちゃだめよ? まあ、馬車の中だから逃げれないと思うけど……」

「あ、馬車でしたか……どうりで……。あ、なぜ、僕を拘束したのですか?」

「率直に言うわ。私と旅をしなさい!」


 別に断る理由もないし、いいかな。

 ゴウには、後でメッセージ飛ばせばいいし。


「いいですよ」

「そ、即答なのね! ちょっと、ビックリしたわ」

「別に、断る理由がありませんし……。なぜ、アリスさんは、旅をしたいのですか……?」

「速くボスを見つけて倒し、ログアウトしたい。後は、旅している方が安全」


「ん? 町の中の方が安全のはずでは?」

「バカね。あなたPKの事知ってるでしょう? このゲーム、あの日から町の中でもPKが可能な仕組みになったのよ」

「え、じゃあ!」


「そう、寝床を襲って、アイテム頂きってわけね」


 PKで、殺害側が得られる物。

 それは、アイテムと金。つまり、隠密スキルなどが高い奴は完全に犯行に移すだろう。

 これは、旅するしかダメな状況だな。


「あと……」

「はい?」


 アリスさんが、顔を赤く染め、照れ隠しながら言った。


「そ、その、アリスさんってやめてよ。アリスでいいわよ」

「あ、はい。分かりました」

「それにしても……」

「ん? 何ですか?」


「あなた、ビーストよね? その耳と尻尾……」

「そうですけど……。それが、何か?」

「い、いやぁ。べ、別に深い意味は……可愛い」


 今、可愛いと呟いたような……。

 まあ、いいや。

 それにしても、今どこに向かってるんだろう。


「着いたわよ。ここは、コロシアムの町グランよ。今日は、コロシアムに出るわよ」


 馬車から、顔を出すと、大きな会場が視えた。

 そして、かすかに……死の臭いが……。


「あのぉ。コロシアムって、誰が出るんですか? もちろん、僕じゃない……」

「ん? ロキに決まってるじゃない。とっくに、メールでエントリー済みよ!」


「えええええええええええええええええええええええっっっっっっっっっっっっ!?」






 ――人物紹介――


 アリス


 職業:ソードダンサー

 種族:ハーフエルフ

 容姿:長い金髪に、蒼い瞳。美少女と言えるレベル。

    因みに、大の猫耳好き。ロキを旅に誘った、裏の理由。

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