90/110
ゾンビに溢れた世界で、アンタの生首と共に
「ゾンビに溢れた世界で」と同じ世界観ですが話は繋がってません
「あー、美味い」
「嫌味か」
思わず口にした言葉に腕の中の友人は不満を示す。ごめん、ごめんと軽く謝ると友人は溜息を吐く。
「あんた、本当に美味しそうに食べるよね」
感心するよ。自分にはもう出来ないから。
残念そうに呟く友人の頭を撫でる。膝に乗ってしまう程に小さくなってしまった友人と一緒に友人の身体を探してからどのくらい経っただろう。首だけでも生きられるけど、身体が無いのは少し不便。
友人はゾンビになった。ゾンビに溢れている今の世界ではそういう人は結構居る。自分はそんな一人。
で、ゾンビになれたのは良いとして。
「何で頭だけ落っこちるかな」
「首の辺りばっか噛んでくる奴だったから」
それで、もげてしまったのだ。
だから、今日も探す。誰かが持って行ったらしい友人の身体を。
この話の別視点も書こうと思っています




