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おしゃべりインコの災難
ちょっぴりホラーっぽい。
彼女はインコを飼っている。これがよく喋るのだ。可愛いね、ちーこ、可愛い。ちーこはインコの名前である。彼女の可愛がりが分かる言葉に思わず笑みが浮かぶ。そんなちーこだが、今は自分の元に居る。理由は彼女が行方不明になってしまったからだ。
愛する彼女のよすがにと引き取る事の出来たちーこに胸を撫で下ろす。彼女の両親も彼女が可愛がっていたちーこを気に入っていたのだから。
「でも、これだけは譲れない」
止めて、許して、お願い、そんな事を喋っているちーこを眺めながら二つの肉の塊をどうしようか考える。
「殺さないで」
インコが彼女の最後の言葉を真似し出す。あぁ、本当に引き取れて良かった。
「安心してよ、ちーこは大切にするからね」
生きてる人が一番怖い。




