ヒーローは死んだ
異世界転移物を書きたくなりました。
私は一国の姫として生まれた。国の為に生まれ、国の為に生き、国の為に死ぬ存在。だから、この役割は当たり前なのだと納得しなければならない。今、この国は途轍もない邪悪に晒されている。魔王と呼ばれる存在に脅かされているのだ。
そして、今日。
「勇者よ、来たれ」
多くの代償を払い、勇者を召喚したのだった。
現れたのはまだまだ若い男である。伝承通りの特徴を有している。可哀想に・・・私とどちらがより可哀想なのかしら。
「どうか、この世界をお救い下さい」
勇者と同じ生贄の身で何を言っているのだろうか。
この世界が生まれた瞬間に英雄は死んだのだ。代わりに生まれたのは生贄という愚か者。
魔王が討伐された記念の祝賀パーティーで私は彼から手を伸ばされた。
「踊りませんか」
その手を取り、オーケストラの生み出す音色に合わせてダンスを始める。彼は私に囁く。
「一緒に踊りましょう」
あぁ、なんて甘美な言葉でしょう。了承の返事をした私は今までで一番美しく笑っていたのだろう。
そして、世界はまた生贄を生み出す。
思ってたのと違うと頭を抱えましたが勿体無いので投稿します。




