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死が二人を分かつまで
勢いだけで書いた雰囲気小話。
幾度も繰り返される死別。
これからも繰り返されるそれに慣れる事は無さそうだ。尤も、それを味わう事になるのは私だけだから別に構わないのだが。
私は不老不死と呼ばれる体質である。何も食べず、何も飲まず、自身を傷付ける事だってした。だが、私が死ぬ事は無い。
死にたい。そう思った事は幾度もある。でも、死なない。だから、生きるしかないのだ。
「それでも、やっぱり・・・」
叶えたい願いがまだしこりとなっている。
「私ね、死なないの」
ほんとは死にたいのに。
「何で?」
「分からない。だけど、ずっと生きてる」
ねぇ、私は気持ち悪い?昔、それを告げた相手が呟いた言葉を思い出す。
「んー、俺より先に死なないなら良いよ」
俺を看取ってね。にっこりと笑った彼には私の願いは言っていない。しかし、気付いたのだろう。
やっと、誰かの一生になれるらしい。私はこの想い出を抱いて生きていくだろう。
八百比丘尼がモデルの話を読みまして書きたくなってしまいました。




