物語好きの少女は台本を執筆する
思い浮かんだ話の書き留め。
お手製のカバーを掛けた本はもう何度も読んでいる物だったが彼女はその物語がお気に入りであった。何度でも何度でも彼女はそれを読み続けている。その内容を一字一句間違う事無く諳んじる事が出来てしまう程に。それ程に彼女は物語というものが大好きであった。
だからなのだろう。
「私が?」
「そうよ。出来ると思うの」
親友から持ち込まれた話に私は困惑した。親友は舞台女優をしている。所属している劇団で最近、新たな試みをしようという話になっているそうだ。それは原石を発掘するというもの。つまり、主役と脚本を未経験者にして貰おうというのである。中々思い切った事をするらしい。
「だからって私に声をかけなくても・・・」
他にも居ただろうに何故私を選ぶのか、この親友は。いや、分かってる。全く知らない人からでは不安だったのだろう。
溜息が漏れる。大変な事になったと思うが、頼って貰えたのは嬉しい。
「ねぇ、お願い」
私を助けてよ。そう言う彼女は紛れも無く女優である。潤んだ目は同じ女の私でさえグラッと来るものだった。
そうして、私はペンを手にした。
何時ものように気が向いたらもう少し書きたい。




