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彼女の笑顔に温かいミルクを
ホットミルクを出そうとして書いた話。
今日も夢を見た。夢の中で彼女は涙を流している。僕は彼女に手を伸ばそうとする。
夢はそこで終わる。
そして、現実。
部屋の片隅に目を向ける。そこには夢と同じように彼女が涙を流していた。
僕は手を伸ばそうとして止めた。
代わりに台所に向かう。
すすり泣く彼女の声が耳に届いた。
「ほら」
温かなミルクを差し出す。彼女はえぐえぐ言いながらそれを受け取った。
彼女は昔の体験からたまにこうなる。そうなる度に僕は夢を見るのだ。
「・・・・・・」
赤く腫れた瞼。不細工だなと心の中だけで呟く。口にすればまた始まるすすり泣きに辟易したのは随分と前の事だ。たとえ不細工であろうとも寄り添う事に変わりはないのに。
少しずつミルクを飲んでいく彼女の頭をぽんぽんと優しく叩く。
安心したように落ち着いていくすすり泣きに安堵する。
早く彼女を笑顔にしたい。その思いのまま、彼女の頭を撫でる。
さぁ、とびきりに笑顔を見せておくれ。
寒くなって来たので、温かみのある話を書こうとして失敗しました。




