狂った君を愛す
ヤンデレなお話。
周囲は既に暗くなっている。ここには静寂があった。明かりさえ灯らない時間に彼は足を進める。目的の場所は更に深い闇が待っている筈だ。彼は祈った。彼女が健やかな眠りを得ている事を。
しかし・・・
その声は彼の耳に届く。女性の悲鳴は町から離れた場所から発せられている為、周囲には迷惑を掛けない筈である。だからこそ、あの場所を選んだ。悲鳴を聞いて彼は笑みを浮かべる。恍惚とした笑みは誰にも見咎められない。今帰るよ。そう彼の口が動く。
扉を開くとそこは外と同じ暗闇だった。
「や、ぁあああああああっ・・・!いや、やっ!ああああああぁぁぁっ!!!」
扉を開ける音に反応したのか。激しくなる悲鳴に彼は更に笑みを深める。
「大丈夫、大丈夫だよ」
俺だからね。俺だよ?俺なんだよ。いい加減分かってよ。
「俺は君を壊した奴らじゃない」
お願いだから、気付いて。
ねぇ、知ってる?本当はね、私、狂ってないの。だって、貴方は私が普通だと直ぐに離れていくじゃない?分かる?その時の私の心が寂しくて仕方ない事。
「ふふふ・・・」
だからね・・・ずっと、私の傍に居てね。
狂った笑みを浮かべながら、私は狂った貴方を愛するの。
まだ良心の残ってる進行中のヤンデレと重度のヤンデレ患者。




