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本当は大嫌いだったのです
甘くない恋愛物を。
その告白を私は無表情に聞いた。それは既に知っている事だったからだ。彼は私の事など好きでは無かった。むしろ、嫌いだったのだから。彼の大好きなあの子が死ぬ原因を作った私を。でも、私と結ばれるしかなかった彼は哀れ。哀れで、かなしい。
「でも、伴侶なのが私達ね」
私もまた、本当は大嫌いなんだもの。驚いた顔をしている彼に私は目を丸くする。可笑しい人ね。私が貴方を好きだったと思ってるのかしら。
「莫迦ね・・・貴方」
それでも、そんな貴方だから私は共に居られる。
だって、同じ心を知っている。
大切な女の子が亡くなった二人の話です。




