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思い出の記憶
鬱陶しい話を書きたかったんです。
大姑がボケた。
大姑は優しいお婆ちゃんだった。嫁の私が舅姑からイビられていたのを何度も助けてくれた恩人。
でも、そんな恩人にも不幸がやって来たのだ。
大姑は過去の記憶の中にいる。
「ねぇ、ユリさん、今日は何時まで居られるの?」
「今日はお泊りです」
「そうなのぉ・・・嬉しいわ」
例え私を他の人として見ていても。例え私が貴女の中で存在していなくても。
「ねぇ、ユリさん」
「なんですか」
「大好きですよ」
ユリさんは大姑にとって、大好きな近所のお姉さんだったそうだ。
そんな人と私を重ねているのだ。
「私も大好きですよ」
他の誰でもない私を。
(舅姑よ、よく見ろ)
大姑は記憶の中で幸せそうだ。
(私は今、幸せだ)
そんな大姑を見れて、私は笑顔になる。
(だから、あんた達が大嫌いな人に見られていても気にしないわ)
ボケたお婆ちゃんの話はまた書きたいです。




