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第四十三話 巣内での攻防

ガラハットさんの案内でダンジョンの中からパラサイトアントの巣に入っていく。

巣の中に潜入した俺達を待っていたのはパラサイトアントの手厚い歓迎だった。


「ダンジョン内では出会わなかったのに巣内に入ってからすごい数が襲ってきますね。」


セリスの言葉通り、ここに来るまでは全く合わなかったのに巣に入ってからというものものすごい数のパラサイトアントが襲ってきている。

しかし、俺達はそんな中を散歩するかのように余裕で歩いている。

理由はたった一つ、リリスの圧倒的な魔法によってパラサイトアントが次々と殲滅されていっているからだ。


「♪~♪~♪」


リリスは手に持った魔法の杖を振りながら鼻歌交じりに歩いていく。

俺達はその後についていくだけ、、近づく敵は一瞬にして消し炭になって地面に落ちる。


「いやはや、ここまでの実力とは・・・ 正直驚きました。」


ガラハットさんは苦笑いを浮かべながら戦闘を歩きながら敵を焼き払うリリスを見つめる。


「それにしても・・・ リリスさんのあの魔法はなんでしょうか?見たこともないですが・・・」


リリスの放っている魔法は強力な熱線を放つレーザービームの様なものだ。

俺の得た魔法の知識ではあのような魔法はこの世界には存在しない。

そこから推測するにリリスは異世界を覗いている間に覚えた熱線を魔法で再現しているようだった。

熱線は一瞬のうちに一直線にパラサイトアントに命中してその体を焼きながら体に風穴を開ける。

レーザーの様な熱線は洞窟という閉鎖空間で炎の魔法を使うよりも効率がいいのだろう。

炎で空気中の酸素を大量に失うこともなく、生成から発射着弾までが本当に一瞬の出来事なので熱による被害が出ない。

おかげで俺達は体力値を確認せずに進むことができる。


そうして巣内を探索していると分かれ道に出た。

道は三本に分かれている。


「どの道にしようかのう・・・」


顎に手を当てて小首を傾げて悩むリリスだが、そんなことをしていても三本の分かれ道からはパラサイトアントが飛んできている。

どうやら三本の道からこの一本道に向かってきているので大量に襲撃があったようで三本の道それぞれからはまばらにしかパラサイトアントはやってこない。

それでも、三本の道の合流地点である今いる場所には三方向から襲撃があるのだが、リリスが魔法で一掃しているので俺達がやることはない。


「どれか一本を選ぶと背後から襲われる危険があるから三本とも押さえたらどうだ?」


「ワシとガラハットは申し分ないが他の者達では無理ではないかの?」


俺の出した提案にリリスは振り返って尋ねる。

確かに、レベルだけを見れば現状の戦力でパラサイトアントを単独で撃破できるのはガラハットさんとリリスの2人だけだ。


「だが、リリスから装備を借りてきたんだ。四人なら何とかなるんじゃないか? な?」


俺は最後の部分で後ろを振り返ってアーシェ達三人を見た。

三人は不安気にお互いの顔を見ながらどうしようか迷っている様子だった。


「三人はかなり不安そうじゃぞ?」


リリスは三人の顔を見て顔をしかめる。

確かに高級な装備を身に付けてステータスを上げてはいるが三人はかなり不安気だった。

休日の日にパラサイトアントと戦ったがその時も三人は兵士たちの援護を主にしていた。

それは前線の要であるアーシェの実力不足であり、彼女自身もそれを感じ取っているのだろう。

そんなアーシェのことを信用し信頼しているアリスやセリスも自身の実力に自信が持てず、アーシェの足りない部分を補える自信がないのだろう。

表情を見る限りでは三人ではどう頑張っても勝てそうにない。


(俺一人でやった方が早いかな?)


逆に俺は勝てる気満々でいた。

俺自身が戦いつつ体内のドッペルとクルトの援護があれば正直なところ単独でのパラサイトアントの撃破も不可能ではない。

魔力量と魔力の回復量は現在のレベルでは少なすぎるが、体外の魔力を吸収する魔力吸収法を習得した現在ではその心配はない。

現状では、体内に貯められる最大量はリリスより下だが、長期化する戦場での魔力量の維持ならばリリスすら圧倒できるほどに俺は魔力を使えるのだ。


(まぁ、魔法使い系の職業を純粋に極めたリリスの魔力量に勝てる奴なんてこの世界にいないだろうからそれは仕方ないか・・・)


俺はそんなこと思いながら自分の意見を貫くために意見を述べる。


「じゃ、こうしよう。ここで一本の道から来るパラサイトアントを四人で迎撃してみて行けそうなら三方向に分かれる。ダメそうなら一本の道に絞る。」


「ふむ。そうじゃな。一度試してからでもいいじゃろう。ワシが見ておるから後れを取る心配もないしの。お主らもそれでよいか?」


リリスはそう頷いて他のメンツの意見を求めて一瞬だけそっちにかをを向けると迎撃のために視線をパラサイトアント達に向ける。


「まぁ、そういうことなら・・・」


「・・・そうですね。装備も違いますし試してみるのは悪くないと思います。」


「わかりました。僕はそれで構いません。」


アーシェは渋々といった感じで、アリスは自身と周りの装備を見てから頷く、セリスは他の2人が了承したのからだろう。頷きを返した。

三人の返事を聞いてから俺はガラハットさんを見る。

三方向の分散はリリス、ガラハットさんで一本ずつ俺とアーシェ達三人で一本が基本だ。

ガラハットさんに反対されると意味がないので意見を求めて視線だけを向けたのだ。


「戦力の分散は危険が増すのであまりよろしくありませんが・・・ 私はただの同行者ですので問題ありません。こうなることを想定して私がこのチームに加わっておりますので・・・」


ガラハットさんは俺の視線の意図に気づいて渋々ながら了承をくれた。


「うむ。意見が纏まったところで四人とも前に出よ。左右の道はワシが抑えるから存分にやるといい。」


話がまとまったところで俺達四人はリリスの前に出た。

三本の分かれ道の真ん中の道を少し行ったところで臨戦態勢を取って向かい来る敵を前にした俺達は装備に魔力を流して装備に付加されている魔法を発動する。

俺が以前にリリスから借りた装備もそうだが高価で強力な装備は基本的に魔法が付加されているようだ。

付加された魔法の説明はここに来るまでの途中でリリスから聞いているが基本的に能力は身体能力の向上と武器防具の能力値の上昇だ。

装備による身体能力の向上は数値自体は少ないが身体強化魔法と重複可能なのでその効力は決して小さくない。


ブブブブブ


俺達が装備に付与された魔法を発動すると同時に都合よくパラサイトアントが一匹やってきた。


(まぁタイミング的に来るとわかってたからこの道を選択したんだがな。)


一定の時間に一定の量のパラサイトアントが向かって来るのでそのタイミングに合わせただけだが、こうも都合よく来てくれるとゲームでモンスターが一定時間経つと出現するアレの様だが、リリス曰くこれは女王が巣に入ってきた敵を迎撃するために一定時間に一定量の兵をその場所に送っているから起きるらしい。

一ヶ所に大量に集まり過ぎても身動きができなくなるのでそれを防ぐためらしいが、現状では単純な流れ作業でリリスが排除しているのであまり意味をなしていない。


(問題はここからだな・・・)


四人で隊形を組んで前に出た俺達の布陣はアーシェを先頭に左後方にセリス、右後方に俺、最後尾にアリスを置いたひし形の隊形だ。

まずアーシェが攻撃を防ぎつつ反撃して注意を引きその隙に左右で俺とセリスが挟撃を予定だ。

アリスは支援や回復に専念してもらう予定でいる。

元々光属性の魔法しか使えないアリスでは攻撃力不足なのでそっちに集中してもらうことでアーシェの負担を減らすのが狙いだ。


ブォオ! バリィ! ドン!


高速で飛行してきたパラサイトアントは一直線にアーシェの元に向かい突撃をかける。

アーシェは事前に魔鎧を発動して防御態勢を取っていたからしっかりと盾でその突撃を止めることができた。

ただ、突撃の際に魔鎧は一瞬で破壊されてしまった。

その事から推測するにアーシェの魔鎧の強度はそれほど高くはないのだろう。

魔法が苦手な彼女では魔力の圧縮できる量とその強度に問題があるようだが今は強力な盾と装備にを身に付けてガッチリと敵の攻撃を防いでいる。


その隙に俺とセリスがほぼ同時にアーシェの横を抜けて側面に回り込んで攻撃を仕掛ける。

飛び出した反応は一瞬俺の方が早かったはずだが、先に仕掛けたのはセリスの方だった。

どうやら装備でかなり速度が上昇しているらしい。

セリスはどこに隠していたのかクナイを取り出して投げつける。

放たれたクナイは華麗に宙を舞いパラサイトアントの体に突き刺さった。

と思う。(俺からは見えない位置なので正確には分からない。)


「ギギギ」


パラサイトアントは痛みを感じているのか変な声を上げて一瞬後ろに下がって飛び立とうとするが、それよりも俺の魔法攻撃の方が早かった。

放ったのは単純な炎の魔法でファイアだ。

狙いはドッペルがいつもやっているように羽だ。

これによりパラサイトアントは羽を失い後方への退路を断たれた。

それにより一瞬だけ空中で停止したように浮遊するパラサイトアントに俺は追撃をかける為に魔法を発動した。


(全属性の加護魔法を順次展開!全身でなく右手にのみ収束!)


(全属性の魔法弾を同時展開。続いて右手に収束。)


俺が加護の魔法を発動すると同時にドッペルが霊体を体から出して魔法を展開する。

展開したのは全属性の魔法弾。それを右手に収束すると同時に俺は手に持っていた杖を左手に持ち替えてから右手で握り拳を作り振り下ろした。


全属性魔法を収束して反発させ合って爆発的に威力を上げようと試みた試作魔法≪炸裂する八種の属性エイトエレメンタルバースト


ドゴォオン!!


振り下ろされた右拳がパラサイトアントに当たると同時に轟音を上げて炸裂する。

パラサイトアントはその衝撃に地面にめり込む様にして地面に沈んだ。

それに続くようにアーシェはいつの間にか振り上げていた剣を振り下ろした。

セリスもクナイを投げつけて追撃をかける。

2人の刃はパラサイトアントの堅い甲羅を貫いて見事に突き刺さる。

俺も二人に負けじとさらに魔法を発動しようとして途中でやめた。


ブブブブブブブブブブブ


少し早いが次のが来たらしいからだ。


(一方的にやられてるからテンポを上げたか?)


止すよりも早いがそれが女王の意図なのか偶然なのかはわからんないがとりあえず新手が来ているのは間違いなかった。

しかもそれは複数体来ているとみて良い。


「(ドッペル。次のパラサイトアントが来る。複数体きてるっぽいから連携を試すべきなんだろうが・・・)」


俺は背後の三人を見ながらドッペルに話しかける。

三人は俺の行動を不審にも思わずに目の前で倒れているパラサイトアントに総攻撃をかけていた。

アリスも後方から魔法で攻撃をしている。

ここで倒しきるつもりなのだろう。

だが、倒すことに集中して新手が来たことには三人とも気づいていないようだった。


「(あの調子じゃ複数体の相手はきついだろう。お前の修行してる魔法で何とかあれを倒せないか?)」


「(中途半端な魔法じゃ倒せないだろうから一番強いのでやりたいけど、成功率が低いんだよな・・・ ヒールを解いてアルトのサポートがあればなんとかってところだと思う・・・)」


「(・・・? ヒール?)」


「(ああ、右手怪我してるのに気付いてないのか?)」


ドッペルに言われて右手を見ると先程の魔法の衝撃か手の皮が少し向けている。

全体的に向けているのでかなりひどく見える上に見ることによって自覚してしまったのでかなり痛い。


「(し、しかしそれどころでない・・・! サポートするからお前の修行中の中で一番威力があるのを使うぞ!!)」


俺は涙目になりながらドッペルに指示を出す。


「(了解した。)」


ドッペルがそう言って魔法を使う態勢に入ったからだろうか。

ヒールが解除されたので手の痛みが強くなる。

俺はそれを必死にこらえて何とかドッペルの展開する魔術式の展開を助ける。

その時に気づいたことだが、ドッペルはどうやら霊体を手しか出していないらしい。

そうすることで魔法使い風の装備をしている俺のマントの下に霊体を隠すことで周囲からわからない様にしているらしい。


(そう言えば、この前の森での戦闘でもクルトは霊体を少しか出さずに戦っていたな。俺が出しすぎなんだろうか・・・・)


そんなことを考えながら術式を展開するがなかなか大きくて複雑な魔術式なのか展開が進まない。


「(アルト。魔法を詠唱してくれ。その方が早い。)」


展開速度に焦りが出たのかドッペルがそう言って魔法詠唱時の呪文を情報共有で教えてきた。

そういうのは恥ずかしいのだが今はそうも言っていられない。

敵の接近が異様に早い上に数が思ったよりも多いのだ。


「う・・・! 五匹だと?!」


後ろの方で地面に落ちた敵を倒し終ったのであろうアーシェが悲壮な声を上げる。

魔法の術式は普通は見えない。

魔眼もどきを持っている俺や魔法使いとして優秀なリリスなら魔法の発動に敏感に気付くだろうが、アーシェはそういうのに疎い。

下手をすると前に出て俺の発動する魔法に巻き込まれる可能性がある。


俺はさらに一歩踏み出して最前線に立つと詠唱を始めた。

そうすることで魔法を展開していることを知らせるためだ。


「祖は始まりを司りし者。祖は天空の覇者にして世を照らす大いなる神・・・」


「な・・・! お主ら下がれ!」


俺の詠唱と同時にリリスが指示を飛ばす。

その意味が解らなかっただろうが三人は指示に従って後方に下がっていく。


「その絶え間なく燃え続ける不屈の炎を我が前に立ちふさがりし混沌と災厄を振り払うためにどうか今我に遣わし・・・」


「全員魔鎧を発動せよ! アクアシールド!」


詠唱を続ける俺を睨みつけながらもリリスは水の防御魔法を俺以外の全員にかけた。


「その力を持って我が前に立ちふさがる一切合切を焼き払う一陣の矢をなせ。プロミネンスアロー!」


詠唱が終わると同時に俺の前に一本のオレンジ色に光る炎の矢ができあがった。

それはそうと気を置かずして放たれると同時にまるで収束していた莫大な炎が燃え広がる様にして道全体を覆い尽くす壁のようになりながらも前進した。


ドオオオオオオオ! ドン!! ドカァアアア!!


轟音を立てて突き進んだ炎はやがて何かにぶつかったのか爆音を響かせると凄まじい熱風となって俺の方へと帰ってきた。


「あ・・・ やばい・・・」


迫りくる炎を見ながら俺はそんなことをつぶやいた。

今期のアニメは『魔弾の王と戦姫』が面白いと思う。

風邪が長引いて全く治っていないがあれを見ると少し元気になる。

オープニングの始まりの歌詞が好き。

小説を買うべきかブルーレイを買うべきか・・・

迷っちゃうよね。

ログ・ホライズン2は前期から安定の面白さ。

ブルーレイも原作小説も買ってしまった・・・

お金がないぜ・・・

原作小説を読んで話の内容がある程度分かっているのでアニメは流し見程度になってしまっている・・・

第二期のブルーレイを買うべきか迷うところ・・・

オープニングを見る限りではカナミ出てくるっぽいので買うかも知れないニャー

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