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ハート・シェア  作者: 瑠樹亜
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観察日記1:離れてわかること

瑠樹亜と申します。

これらは、私の思い付きで書いているものですので、あまり期待はしないでください。

でも、あなたがここにたどり着いたのはきっとなにかのご縁でしょうから、是非最後までお読みください。

心とは、決して見えないもの。

いつまでたっても不思議なもの。

私にはそんなココロが見えてしまう……

その人が今何を思っているのか、何を感じているのか―――。


そして、ココロが見える代わりに私は誰にも見えない。

誰も私に気付かないし、私の行動に何も反応を示さない。だから私は他人のココロを見て楽しむ。


これはそんな私が見た、ある二人の学生のお話―――。




「テスト終わったー…!」

「今回もヤバイよぉ……」

東京のある中学校、中間テスト最終日の終礼前の休み時間。メイとカナは廊下の窓から顔を出して空を眺めている。

「数学どうだった?」

「あー、今回はまあまあ解けたかな?英語がヤバイ……」

「カナ今回も駄目だったの?」

「……うん。」

メイはいつも学年順位10位以内、カナは毎回下から数えて15位辺り。

学力的には正反対……。性格的には…………性格的にも正反対?

メイはしっかりもの、カナはいつもダラけてる。そんな二人だけど、何故か気が合うのだ。


「次の行事はいよいよ文化祭だね!」

「うん!あ、ねぇカナ、今年も一緒に回ろうね!」

「当たり前でしょ?メイ以外に誰も回る人いないよぉ」

「そう?だってカナ人気者だもん……」

(私こんな性格だから………)

そう、こんなふうに私には心が見えるのです。いまのメイは自分に自信が持てないよう………。昔からしっかりしすぎて、陰口をされたり……色々と…………

しっかりしてても、胸の内は弱いのだ。

「もう…!私がどんなに人気でも、私にはメイだけだよ!」

「ふふっ…なんか恥ずかしい…。でも、ありがとう。あ、先生来た!じゃあまた帰りにね。」

「うん!昇降口で。」

今はまだ幸せそうな二人。このまま文化祭まで何もなければ良いけれど……………。



文化祭二日前の放課後。

どこのクラスも準備で忙しい。

勿論メイとカナも自分の仕事に追われている……かと思いきや、メイはもう終わっているようだ。カナのクラスの前で待っている。

カナは今まで怠けていたせいで仕事がたまっている模様。

(遅い………カナ何やってんの…?あ、運んでる。あー!!危なっ……い……。大丈夫かな…?今日あの子帰れるの…?)

うんうん、本当にカナは追い詰められないとやらないんだから…。メイは見ているだけでハラハラして疲れてます…。

あ、カナの仕事が終わったみたいです。

「ゴメーン!待った?………よね。」

「…うん。ま、帰ろっ」


帰り道はいつもより暗いです。それもそうでしょう、カナがずっと残って作業していたのですから。

「もうすぐだねー!あと二回寝たら当日だよ!?すごぉい!!」

「ふふっ、そだね。カナ子供みたい。」

「だって文化祭だよ!もっと盛り上がらなきゃ!」

そういえば二人にとっては最後の文化祭でした。そう、二人は三年生、受験生なのです。メイはこんなイベントの前でもきちんと勉強しています。カナは……言うまでもないですね。

「メイは何でそんなにしれっとしてるの?テンションあげようぜー!!」

「もうっ……。カナきちんと高校のことかんがえてる?北高一緒にいくんでしょ?」

二人は一緒の高校に行くと前々から話していました。でも北高は少しレベルが高いのでカナには難しいのですが………

「カナ昨日や今日勉強した?もうあと受験まで四ヶ月しかないんだよ?いつもだってやってないのに、中間終わったからってぐぅたらしちゃダメだよ……」

「あーはいはい、わかりましたよおかーさん。」

「ちょっ……真面目にきいてよ…!高校違くていいの?一緒が良いって言ったのカナだからね。ねぇ、聞いてる?」

「あーもうっっ!!うるっさい!!わかってるよ、そのくらい。でもせっかくの最後の文化祭なんだよ?楽しませてよ。たまには勉強だけじゃなくて息抜きも大事でしょ?」

あら、勉強のことで喧嘩になっちゃいましたね。文化祭前なのに…。

「じゃあ言わせてもらうけど、カナは息抜きが必要なほど勉強したの?」

(どうせしてないくせに言わないでよ!!勉強しなくても受かるとでも思ってるの?)

「何でメイは勉強勉強って。それしか言えないの?そうなの?」

「え……」

メイは俯くことしか出来ません……。

(カナ何言ってるの?カナは一緒のところ行きたいんじゃないの?行きたくないならいいよ……。私には他にも――――。)

「そっか、そうなんだ。あーぁ、もうメイには呆れ―――――」

「――じゃあもういいよ。メイが北高行く気ないなら、私他の高校行くから。もっと地元から遠い所で志望校あったから。」

「え……ちょ、それどういう………」

「ごめん、私今日も過去問解いたりしなきゃだから先帰るね…。」

あちゃー…、文化祭までに仲直りできるのでしょうか…?カナは座り込んでしまいました……

「…………。…そうなんだ、メイは他のところ受けるんだ……。そっかぁ…ははっ…あはは……ははははっ」



文化祭前日は二人とも何も話さず終わってしまい、もう当日です。

(はぁぁぁ…………何で私カナにあんなこと言っちゃったんだろう……。今日カナ一緒に回って……くれないよね。)

メイは反省しているようですが、カナは……?

あ、カナが歩いてます。誰かを探しているようで。

「あ、カナ―――――!?」

「…あ、ミカー!こっちこっち!ごめんね…いきなり一緒になんて言っちゃって……」

(え……あ、カナ他の子と回るんだ……。そう……そうだよね……。カナにひどいこと言っちゃったもんね……。)

メイは自分が悪いと分かっていてもかなりショックだったようで、一人トボトボ歩いてます。でもメイは気付いていませんが、実はカナ、メイがあるきだしたとき、少し申し訳なさそうにこちらを見ていました。カナはカナなりに反省しているようです。

(今年は一人かぁ……。最後だったのに…。そういえば、毎年カナと回ってたなぁ…。とゆうか私の隣にはいつでもカナがいた気がする……。)

メイは自分の中でのカナの大きさに気付いたようです。自分の不甲斐なさに泣きそうになっています。メイの耳には回りの楽しげな音も入ってきません……。足取りもふらつき始めてます…。

(ダメ……!!ここで泣いたら…)

――ゴンッ―!!

(…ったあ……!は、柱…?あれ?この学校にこんな柱あったっけ…?…ってか、ここ…どこ……?)

あら、学校にこんなところありましたっけね…?見たこともありません……。

…てことは、私たち迷子…?

(…うそっ……迷った…。そんな…)

…ん?和風の建物がありますよ?…ここは…学校の裏の奥にある茶道用の和室!?そういえば昔この学校には茶道部があったそうです。

(どうしよう…。)

戻らなければならないのにメイの足は震えて動きません。瞳からは熱いものがボロボロと溢れてきます…。

(人…誰もいない。こんなときカナがいれば……。…カ、カナ………)

「…うっ…カナっ…うっうぅ……」

メイ、その場に座り込んでしまいました。

「カナ…っカナ。……うっぅえっ…カ、カナぁっ…!!!」

「――メイっ!!」

(…え?…カナ…?嘘、幻?)

「メイっ!良かった…見つかった……。こんなところにいたの…?」

なぜここにカナがいるのでしょう?

「メイがふらふら歩いてるの見て、心配になって……」

「え…あ、うん。ありがとう…」

メイは嬉しいのに喧嘩していたことを思い出して、どんな顔すればいいかわからなくなっています。

「メイ、ごめん。」

「え?」

「私、自分が怠けてテストも点数とれないし、高校も受かるかどうか危ないってわかってた。自分が悪いって知ってた。でも認めたくなかった。そんなときにメイに指摘されて、現実突きつけられて、自分の不甲斐なさに悲しくなった。でもそれをメイに八つ当たりしちゃった。」

「カナ…」

「私ね今日メイ以外の人と回ってて、なんか物足りない、いつもの自分がいない気がしたの。メイ、もう許してもらえないかもしれないけど、こんな私でよかったらこれからも一緒にいて。」

「カ、カナ……カナあのね、私もカナがいなくなっちゃって気付いたの。何かモヤモヤするな、寂しいな、カナって私にとってこんなに大きな存在だったんだって。」

「メイ!」

「だから、私からもお願い、一緒にいて…。」

「……うん!!」

二人とも大泣きしながらも、お互いの気持ちを伝えられたみたいです。一度離れてみるとわかる自分の気持ちもあるんですね。



それから四ヶ月後、二人は今北高校の校門前にいます。

「……あ、あった!メイ、私の受験番号書いてあったよ!!」

「え!?本当!?やったぁ!!私も、ホラ、あそこに!」

「わぁぁ!!おんなじ高校だぁ!!」

あのあと、カナが毎日必死でメイと勉強したため、無事二人とも北高に合格です。二人の絆は今まで以上に深まり、身も心も成長したことでしょう。またトラブルがあっても、二人ならきっと乗り越えられる。


それでは私はこの辺で失礼します。

またどなたかの心のお話をいたしましょう。

では、次に会える日を楽しみにして。

読んでくださり、ありがとうございました。

なにか「ここ、こうじゃね?」と思うところがありましたら、ビシバシコメント下さい。


また私の妄想物語にお付き合いください。

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