一人、足りない
掲載日:2026/05/26
皆でお化け屋敷に行くお話。
お化け屋敷に行くことになった。
誰かが話題に出して、
男子が乗って、
その男子を好きな女子が乗って、
気付けば私もいた。
当日、長い行列。
くだらない話で時間を潰しながら、怖さをごまかす。
やっと順番が来た。
小さな部屋に通される。
お化け屋敷の説明。
話を聞いている間に、部屋の様子が変わっている。
壁紙は剥がれ、装飾は壊れていた。
凝ってる。
順路に沿って進む。
横から、上から、脅かされるたびに叫ぶ。
出口が見えた頃。
「なあ、一人、足りなくないか?」
誰かが言った。
「気のせいだろ」
「自分のこと数え忘れてるんじゃない?」
笑いながら数え直す。
――足りない。
一瞬で空気が変わる。
叫びながら外へ飛び出した。
明るい場所。目が慣れる。
「お、出てきたか」
声の方を見る。
一緒に来たやつが、ひとり。
やけに落ち着いている。
「おまえ、なんで外にいるんだよ」
「あー……」
気まずそうに笑う。
「怖くなって、途中で出してもらった」
全員、黙った。
読んでくれてありがとうございます。




