第一話 別れ
初心者です。優しくしてね。
「勇者様、とどめを刺して下さいませ!」
「あぁ!レーエル!」
魔王から放たれた炎をかわしながら応える。
「はぁぁっっ!!」
勢いをつけて魔王の心臓に聖剣を突き刺す。
「やったぞ!!ついに魔王を…」
言葉を言い切らぬうちに俺は魔王の心臓から溢れ出た眩い光に包まれた。そして光に包まれたまま身体が空へ浮かんでいく。
「っておい、まじかよ…。」
いきなり信じられない状況になってしまい、思わず言葉が漏れてしまう。
「勇者様?どこにいらっしゃるのですか?」
レーエルが俺のことを探す声がする。
「おい、俺はここにいるぞ!聞こえないのか!?」
「勇者様…!魔王を倒し、この世界に平穏が戻ってくるというのに…。」
彼女はエルフにとってかなり大事なものであると常日頃から話していた銀の長髪を振り乱しながら俺を探している。俺は少しドジっ子な彼女を一人にしておくわけにはいかないと思い、何度も叫び続けた。
「レーエル!本当に分からないのか…。」
光がだんだんと強まっているため、彼女の姿はほとんど見えなくなっていた。もう彼女の元へ戻ることは難しいだろうと諦めてしまったその時、俺は意識を失った。
…きろ……よ…
(ん…どうなってんだ俺…)
起きろ!勇者よ!!
急に大声で叫ばれ、俺は勢いよく目を開け、起き上がった。
「ようやく起きたか。お前かなりの時間寝ていたぞ。」
少しジジくさい話し方、露出度高めの服、二つ結びした髪の毛。間違いない。こいつ、俺を異世界に転生させた神だ。
「魔王を倒すとはよくやったの。さすがにお前がそこまでできるとは思ってなかったわ。」
くそ…舐めやがって…!
「さて、これでようやく条件を達成できたな。以前していた約束を叶えてやろう。」
「え…?約束すか…?」
「まさか忘れたというのか!?お前の親は鶏なんじゃろうな。」
笑いが起こる。かなりイラつきながらも再び尋ねる。
「馬鹿にしてないで教えて下さい!」
「すまんすまん。わしとしたことがこのようなくだらんことで笑ってしまったわ。して、約束の内容じゃが、それはお前を元いた世界に戻すというものじゃ。」
「は?」
俺は初めて神に楯突いてしまった。
読んでくれてありがとう!