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とある怪物のお話
ある辺境の地に、迷いの森と呼ばれる場所があった。そこにはある言い伝えがあった。
言い伝えによると、迷いの森には、昔から恐ろしい怪物がおり、歌声で人を呼び寄せ貪り食おうとしているという。
言い伝えを知っている森の周辺に住む人々は、迷いの森の怪物を恐れ、決して近寄らない様にしている。
怪物を恐れている大人達は、毎晩、寝る前に子供達が森に入らないようきつく言い聞かせていた。大人達から言い伝えを聞いた子供達の多くは、大人達と同じく怪物を恐れ、決して森に近寄らなかった。
それでも、時折、その話を迷信と思って蛮勇にも森に入り込む子供がいるのだが、その場合は大抵、道に迷い帰れなくなってしまう。運良く帰ってきた子供も恐怖で頭が混乱したのか、はたまた本当にいたのか、恐ろしい怪物を見たと言うらしい。
怪物が本当にいるのかは分からなかった。それは、確たる証拠が存在しなかった為である。
しかし、ある時にやってきた来訪者によって、言い伝えは決定的な事実となる。
書き始めたばっかりですが、もし面白かったら、また読んでください。