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Bad Beats!!  作者: 明日在華
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1章-9

「能力は自動で発動しない。自分で能力をどう扱って、どう作用させるかを具体的にイメージしないといけない。具体性を持てないとさっきみたいに銃弾が逸れたり、途中で落下したりする。お前は銃弾は真っ直ぐ飛ぶものっていう固定認識を持ってるかもしれないが、それはまやかしだ。


 能力で作り出した銃にその常識は通用しない。あくまでそれは能力によって生まれた銃型の武器であって、現実の銃とは全くの別物だ。


 だから、弾丸の軌道までイメージしてから撃つ必要がある。お前は二丁持ちでひたすら乱射していたが銃弾一つ一つに正確なルート設定をしないと弾は機能不全を起こす。さっきのように」


「教師面やめろ」


「出来の悪い生徒がいるから仕方ない。で、どうすればいいかっていうと、簡単だと。乱射するな。一発の弾を目標に確実に当てることだけ考えて撃て。当たるようになったら今度は発射間隔を狭めたり距離を伸ばしたり、二丁持ちにして撃つ練習をする。


 能力者は基本的にはこうやって出来ることの幅を増やしていく。基本から応用だ。初めから万能になんて出来るわけないだろ」


 御影は納得がいっていないようで怪訝な顔付きで首をもたげた。


「試しに一度これに向かって撃ってみな。ただし一発だけだ。使う銃も片方でいい」


「・・・・・・疲れてるからちょっと休憩させて」


「おっと。そうだったな」


 しばらく間が空いた後、御影は調子を取り戻し再び能力を発動する。両手に握られた銃のうち片方のみを目標に向け、構える。


「使わない方は捨てとけ。両腕で持つ」


「分かった」


 御影の手から離れた銃はスポンジのように音も無く床に転がる。彼女は右手を引き金付近に、左手を銃身を支えるように構えるとの前の標的に集中する。


「その状態で撃て。弾が着弾するまで一切余計なことは考えるな。邪念が入った瞬間、軌道がブレる」


「分かってる」


 御影は慎重に狙いを定め、引き金を引く。


 放たれた銃弾は綺麗な直線を描きながらマネキンの胸元に綺麗に命中した。


「次だ。二発連続で」


 御影は続けてパパン!と間隔をおかずに二発の銃弾を放つ。しかし先ほどとは打って変わって二発の弾丸はマネキンをかすめ、背後の壁に激突する。


 御影は顔をしかめながら何回か繰り返すが、やはり二連射すると、命中しない。


「慣れれば当たるようになるが、発射間隔は開けた方がいいな。五秒おき。それなら上手く当たるはずだ」


「・・・・・・当たった」


 溝畑に言われた通り、間隔を開けて撃ち込むと二発の銃弾は二発ともマネキンにヒットした。


「発射間隔を縮める。二丁持ちで試す。試行錯誤するうちに自分の能力の扱い方が分かってくるはずだ。練習したらどうだ? 見たところ暇なんだろ?」


「でも意味あるの? それ」


 御影は能力を解除すると、その場で胡座をかいた。


「私達はこのままいけば来年は能力者じゃいられなくなる。練習したって、結局廃校になれば全部意味が無くなる」


 話しているうちに御影の表情が段々と暗くなっていく。


「私は負けて恥をかくのが怖い。そのくせに、まだ能力者でいたいと思ってる。この力は平凡な私を特別にしてくれたものだから。


 でも、悲しいけど、さっきお前の話を聞いてわかった。勝てっこない。対抗戦で戦うって事は少なくとも溝畑みたいな奴を相手にして勝たないといけないんだろ? あの有様じゃ・・・・・・無理」


 溝畑は御影の話を肯定も否定もせずにただ聞いていた。しかし、彼女の話に区切りがついたと見るや否や口を開いた。


「・・・・・・楽しければそれでいいだろ? 違うか?」


「は?」


「能力を使ってる時はハキハキしているくせに、すぐ卑屈になる。裏を返せばお前はそれだけ能力に依存している」


「それは・・・・・・能力を使ってる時は、なんか違うんだ。自分が特別になった気がして」


「その気持ちが一番上達に必要なものだ。好きこそ物の上手なれっていうだろ。結局自分の能力が好きなやつは、その能力のポテンシャルを最大限引き出そうと努力するもんだ」


「・・・・・好きだけじゃ勝てない」


「その通りだ。だが、能力者に未練が無いわけじゃないだろ? 結局はお前次第だ」


「私次第・・・・・・」


「帰って馬鹿みたいに考えればいい。オレは帰る。片付けておくか? それ」


 溝畑はマネキンを指差して呟いた。


「あ、いや。・・・・・・置いといて」


「また月曜。返事を聞かせろ」


 そう言うと溝畑はカバンを片手に練習場を後にする。御影が少し名残惜しそうな様子で溝畑を見ていたが、それに気づく事はなく彼は帰路につく。







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