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森の奥へ

すいません、いつもより少しだけ短いです。

 森の奥へと調査に出かけたホムであったが、現在は絶賛戦闘中であった。魔物とのエンカウントである。


「またかぁ。ちょっと数多くないかなぁ。前に森を出る時はここまでじゃなかったと思うけど…」


 そう愚痴りながら、襲いかかってくるオーガの喉笛を切り裂いていく。今日のホムの得物は2本の脇差だ。小太刀とも言う。短刀よりは長く、太刀よりは短い。森の中と言う長い武器を振り回すには不向きな環境下において、ホムはその使い心地に満足していた。

 ホムとしては魔素の流れの元を早急に突き止めたかったのだが、いつにも増して魔物とのエンカウントが多い。既にホムのインベントリには、前回の倍近い魔物が収納されていた。


 そして、どうやら魔物達は何かから逃げているようにも感じられる。今はそこまで強くない魔物(と言ってもホム基準だが)ばかりだが、そのうちもっと強い魔物も現れるだろう。もしかすると、その強い魔物から逃げていると言う可能性もある。


 既に森に入って3日目。襲ってくる魔物が多い為、リッチの館から出発した時に比べるとペースは遅い。そして、魔素の流れはリッチの館方面ではないのでリッチの館に戻っても新たな情報が入手できるか定かでない。シルキーは有能ではあるが、リッチの館から動けないのだ。そのため魔素の流れを先に突き止めるか、館で情報収集をするかを迷っていたのもペースの遅さに拍車をかけていたのだった。


 結局、リッチの館に先に寄る事にしたホムが目的地に到着した時には肉体的にも精神的にも疲れ果てていた。昼も夜も関係なく、絶え間なく襲ってくる魔物に気が休まる暇がなかったのである。


「シルキー、ただいまぁ」

「おかえりなさいませ、ホム様。半年ぶりですが、どうなされましたか?」


 ホムの挨拶に返答するシルキー。口調からは森の魔素の流れには気づいていないようにも感じられる。だが、この防衛システムは結構腹黒だ。知ってるにもかかわらず、知らないふりをしている可能性もあるとホムは思っていた。


「ところでさぁ、最近森の様子が変じゃない?」

「そうですね。ダンジョンができているようですよ」

「へー、そうなんだ。ってダンジョン!?」


 異世界モノでよく登場するダンジョン。今まで話を全く聞いたことがないホムにとっては少しばかり気になる存在であった。そしてシルキーはやっぱり知っていた。


「はい、ここからホム様の足で3時間程度行ったところにできてますね。ただ、このダンジョンは自然にできたものではないようです」

「ふーん、ダンジョンって自然にできるのとそうでないのがあるの?」

「魔素溜まりと言う、魔素が濃く淀んだところにできますね。自然に発生するのはこのパターンです。それに対し、ダンジョンの心臓とも言えるダンジョン・コアを人工的に作成して、それを元に作られたのが人工ダンジョンです」


 更に聞くと成り立ちが異なるだけで、作られてからの外観や発生する魔物類等は自然発生と人工的に発生させた場合で特に違いは無いそうだ。自然発生の場合も魔素溜まりの魔素の結晶がダンジョン・コアになるので、それを人間がやるか自然に行われるかくらいの違いしかない。ただ、人工の場合はどうしても込めることのできる魔素の量が少なくなるので、できても下級魔物を排出する下級ダンジョンにしかならないらしい。


「規模とかはわかんないよね」

「はい。ただ、この魔素の流れ方から判断するに、このダンジョンは超上級者向けですね。ホム様ならともかく、普通の冒険者には無理でしょう。1階層から即死コースです」

「超上級者向けか…。これは街の冒険者が受けなくて正解だね」


 街にはそこまでできる冒険者はいない。4級でも無理だ。せめて2級パーティが複数必要となるだろう。ホムは単独でも問題ないが。


「でも、何でこんな急速にダンジョンが成長してるのさ。今シルキーがしてくれた説明だと、人が作れるダンジョン・コアって精々下級くらいのものでしょ」

「この森だからです。どうやら魔道具を使って周囲の魔素をかき集め、ダンジョン・コアに強制的に込めているようですよ」


 魔道具かぁ。ホムは呻いた。ダンジョン・コアが成長する前ならそれを止めればよかったのだろうが、既に成長している今となっては魔道具を止めたところで何ら解決にはならない。結局はそのダンジョン・コアを破壊しない限りは危険なダンジョンが森に存在することになるのだ。


「それじゃ、明日様子を見てくるよ。何か記録するものはあるかい?」

「私の外部端末をお渡ししましょう。その目で見たものは私に送られますので、整理しておきます」


 どうやら、複数あるその端末を駆使することで、シルキーは館の外の情報もある程度は入手できるようであった。


「ありがとう。これで調査結果の報告書作るのに苦労せずにすむよ」

「いえ、この館に対する脅威でもありますから。それではご飯のご用意をしますので、その間にお風呂に入ってください」

「はーい」


 こうしてホムはお風呂に入り、久しぶりにシルキーが用意した晩御飯で腹を満たすことができ、ゆっくりと眠りにつくことができたのだった。


「それじゃ、行ってくる」

「はい、行ってらっしゃいませ。38号、ホム様の邪魔にならない程度に情報収集をお願いしますね」

「リョウカイシマシタ」


 貸してくれた外部端末は、小さい蜘蛛型のロボットだった。シルキーはゴーレム技術を使った端末だというが、独立して稼働できる上に喋る事もできる便利ロボットにしか見えない。ホムは38号と呼ばれたその端末を肩に載せると、館を出発し、38号の指示に従ってダンジョンへと向かうのだった。


魔道具に関しては説明してなかったかもしれません。

その場合はちょっと追記するかもです。


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