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事件の後始末

よし、今回は忘れずに予約投稿できました♪

 結局攫われた人達全員がシーガイルの街に保護されたのは、日がのぼる直前だった。子供達は全員守備隊の詰所に寝床を用意して寝てもらい、冒険者達は門の脇にある兵士の休憩所で事情聴取を受けていた。そこで新たな事実が判明した。


「…その受付嬢、怪しくねえか?」

「間違いなく仲間でしょうね」

「ここまで証言が揃うと、逃げられないですね」


 そう、冒険者ギルドで洞窟調査の依頼を受付した受付嬢は、この誘拐犯達の仲間だったのである。見目の良い新人冒険者が来ると洞窟調査の依頼書を張り出し、受けるよう勧めるのだ。


「よし、急ぎ捕縛だ。一応任意だが、ギルマスにも話を聞くため詰め所に来てもらうよう連絡してくれ。但し、その場合今回の事は言うな」

「はっ!」


 守備隊の動きが慌ただしくなるに従って、ホム達は暇になっていった。やれることがないのである。


「暇になっちゃったね」

「そーだねー」


 そこへ、攫われていた冒険者の一団が休憩所から出てきた。どうやら事情聴取も終わったようだ。何人かは暗く沈んでいるが、それはパーティメンバーに男性がいたからだと思われる。ここにいないという事は、もうこの世にもいないだろう。


「あっ、ホムちゃんとクリスちゃんだ」

「ホントだ」

「あんな小さいのに…。助けてくれてありがとう!」


 女性冒険者達にすれば、まさしく救世主である。あっという間に2人はもみくちゃにされ、気がついたら胴上げされていた。隊長が通り掛からなかったら、そのまま外まで胴上げ状態で行進していたかもしれない。


「ギルマスはシロだった。関与していたのは、その受付嬢だけだったな。で、今後どうするかと言う話もあるだろうから、冒険者は全員ギルドに集合して欲しいそうだ」


 ギルマスからの言付けを伝えると、隊長は先程の騒ぎをしないようもう一度注意して去っていった。きっと、黒幕がいるだろうから、その調査に入るのだろう。


「それじゃ、行きましょうか」


 ホムの合図で、ゾロゾロと冒険者達がギルドへ向かう。女性ばかり20人くらいいるのでとても目立ったが、それは仕方ない。そんな集団が冒険者ギルドに到着すると、ガタイの良いおっさんが待っていた。シーガイル冒険者ギルドのギルマスだ。


「来たか。大変な目にあわせて申し訳なかった。今後の話については、別室で話そう」


 通常、緊急事の会議を行う会議室へ通されたホム達は、各々空いている席に座った。ギルマスはいくつかの資料を持ってきて、それを見ながらの説明となるようだ。


「まず、この事件の被害者は、ギルドから見舞金として一人金貨2枚を払う。仲間が殺されている場合、その仲間の分も払う。そして、解決したホムとクリスと言う冒険者は、報奨金として金貨5枚をギルドから払う」


 まず金の話から入ったギルマス。その後、アフターケアに関しても説明をしていく。それを聞いていた彼女達の反応は様々だった。このシーガイルでそのまま冒険者を続けて行こうという者は少なく、冒険者を辞めて故郷やどこか違う場所で働くか、その金貨2枚を元手に商売を始めようとする者、違う場所で冒険者を続ける者とバラバラだった。


 そんな中、頭を抱えている冒険者が2人だけいた。2人は同じパーティのようだったが、一人はエルフ、もう一人はアリスだった。ホムはその2人が気になり、声をかけてみることにした。


「どうしたんですか?」

「あ、ホムちゃん。私達、このシーガイルで9級になったのは良いんだけど、全然お金なくて」

「実は見舞金で貰ったお金を借金の返済に回すと、無一文になっちゃうんです」


 つまりは計画性のないまま10級でギリギリ借りられる額の家を借りたのは良いが、ここしばらく捕まっていたために家賃を滞納している状態になっていたのだ。そのため、見舞金を滞納分に当てたら武器も防具も買えず、冒険者として生活できなくなってしまうのだと言うことだった。


「どうする?ホムちゃん」

「うーん」


 クリスは、自分もお金がなくて困っているところをホムに助けて貰っているので、自分から意見をすることはないが、できれば助けてやって欲しいという気持ちが滲み出ている。ホムも彼女達をそのままにしておくのは不安すぎて、仲間にすることには賛成だった。


「ボク達、活動拠点はトラディアルなんだけど、そこでも良いなら仲間になって一緒に来る?食べ物と住むところは用意するよ」

「「あ、ありがとうございます!行きます!」」


 即答だった。


 他にトラディアル方面へ行きたい人はいるか聞いてみたところ、数人が手をあげたため、その人達も一緒に連れて行くことになった。


「新しく牽引車を作る程ではなかったのは良かったかな」

「そ、そうだね(人数が多かったら作るつもりだったんだ)」


 ハ○エースに新たなオプションを付けずに済むと安心するホムであった。


 出発の日を3日後に決めてギルドを後にしたホムとクリスは、そのまま海岸へ向かった。クリスの水泳指導の為である。

 クリスはできるなら水泳は避けたかったようだが、ホムが許さなかったのだ。

 ただ、クリスは獣人なのでせいぜい犬かき程度になるかなぁと考えていた。顔はともかく耳を水につけても良いものか判断できなかったからだ。


 水着に着替えた2人は浜辺へと現れた。クリスは健康的なオレンジ色のビキニで、ホムはスク水だ。何故かリッチが作っていたのだが、無駄に性能が良くて捨てられなかったのである。あのロリコンはどこでこんな異世界グッズの知識を仕入れたのだろうか。不思議であった。


「と言うわけで、クリスちゃんはこの板を両手で持って浮かんでみて。顔は上げてて良いから」


 浜辺の浅いところでホムが取り出したのは軽い木で作った板であった。所謂ビート板である。

 クリスはホムがやって見せた通り、うつ伏せ状態で板をつかみ海底を足で蹴る。すると短い時間ではあるが身体が水に浮かび、蹴った時の勢いで少し前に進んだ。


「わ、わっ」


 クリスは目を白黒させながらも、ホムの周りを同じように海底を蹴ってぐるぐる回って楽しんでいた。

 クリスがこの遊びに慣れた頃、今度は平泳ぎのやり方を教えてビート板なしでも泳げるよう指導していく。

 そして、2日後にはある程度顔を水につけても溺れる事なく、ちゃんと泳げるようになるのだった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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