ある日のホムとクリス その3
今回はちょっと趣向を変えてみました。
ホムの屋敷では、全員毎日お風呂に入る決まりとなっている。勿論決めたのはホムだ。
ホム曰く、お風呂に入るのは身体を洗う事で清潔になり、病気になりにくくなるということと、お湯に浸かることによって疲れがとれ、快適な睡眠がとれるという2つの効果があるためだ、と力説していた。
そんなお風呂だが、当然男女別で入るよう時間を決めている。その為、女性陣が入る場合ホムだけという事はあまりなく、だいたい他の女性陣と一緒に入ることになる場合が多かった。
そして、ホムは今でこそ女の子だが、中身はおっさんである。森の屋敷で3年間過ごすうちに自分の裸には何とか慣れたが、他人の裸には免疫がなかった。
「ホムちゃん、これからお風呂?一緒に入ろうか?」
こういうお誘いがあるたび、ビクッとしてしまうのである。同年代であるクリスやリンネはまだしも、大人なスーリャや成長著しいアンの裸は、未だに直視できないのだ。
当然、クリスやリンネの裸をガン見しているわけではない。ホムはロリコンではないのだ。まだ自分の体つきとそう変わらない彼女たちなら、何とか直視しても取り乱さずに済むという程度である。
「お風呂ってこのお屋敷に来てから初めて入りましたが、本当に気持ちいいものですね。
あ、ホム様の背中は私がお流しします」
アンは隙あらばホムの身体を洗おうとする。ホムとしても断る理由がないので任せているが、なんとなく手つきが怪しい。ちょっと身の危険を感じるホムは、たまには自分で洗ったり、他の子と洗いっこしたりしている。
「今日は自分で洗うよ。たまには自分で洗わないと、冒険中に水浴びとかした時困るからね」
「う、ソウデスカ」
すげなく断られ、一旦は落ち込んだものの、今度はリンネに標的を変えたアンを横目に、ホムは髪の毛と身体を手早く洗う。そうしないとアンが再度襲いかかってくるからだ。
「ホムちゃん、私もこんな贅沢なお風呂に入っててもいいのかな」
隣で身体を洗うクリスは、ちょっと申し訳なさそうな顔をしている。本来なら彼女は宿か別に家を借りるはずだったのだ。それが意外にも金がかかってしまい宿に泊まれなくなったところをホムに拾われて、この屋敷に住むことになったのだ。
「クリスはこの街でできた私の最初の友達だよ。遠慮なんかしなくてもいいよ」
ホムの言葉が心地よかった。
クリスは、湯船に浸かって蕩けているホムにそろりと近寄ると、並んで座る。腕をホムの腕に絡めて、絶対に離さないと心に誓うのだった。
「あらあら、いつもの事ながらホム様とクリス様はとても仲が良いのね。私達とも仲良くして欲しいわ」
スーリャが2人を見て湯船の中を歩いてくる。当然ながらどこも隠していないのでホムからするとかなりの目の毒(?)だ。顔が真っ赤になるのだが、クリスが腕を絡めているので逃げ出す事もできない。
「ところで、学園では仲良くなった男の子とかいないの?」
「うーん、女の子とは何人か友達にはなったけど、男の子はいないかな」
「そうだね。こないだホムちゃん怒らせた子もいるから、男の子で近づいてくる子はいないね」
学園生活では恋バナの一つでもあるかと思いきや、先日とある貴族令息をホムがコテンパンにしてしまったことで女の子からは称賛の視線が、男の子からは恐怖と羨望の視線が寄せられるようになってしまい、特に男子との交流がほぼなくなってしまったのだ。
「そ、そうなんだ…」
「うん、でも彼氏とかはいらないかなぁ」
ホムは前世が男だったため、男と恋愛するのはノーサンキューであった。しかも外見的な成長がないホムンクルスだ。学園にいる間だけならまだしも、相手が10年経とうが20年経とうが外見が全く変わらないホムの事を好きでいてくれる可能性はないと考えていた。
「学園にいる間に、ここの皆には話さないといけないかな…」
「え?ホムちゃん何か言った?」
「ううん、何も〜。でもそろそろのぼせそうだし、あがろうか」
「そうだね。じゃあ私がホムちゃんの髪乾かしてあげる!」
小声で呟いたホムの独り言は誰に聞かれるでもなく、お湯に溶けていく。怪しい手つきでリンネの身体を洗おうとするアンと、それに抗うリンネの戦いを横目に、ホムとクリス、そしてスーリャの3人はお風呂場から出て行った。
その後、結局アンはリンネの身体を洗うことができずに一人で自分の身体を洗うハメになったのだが、少し離れたところで身体を洗うリンネをじっくり見つめることができてそれはそれで眼福だったとか。
こいつは一人で入浴させた方が良いんじゃないかと思ってしまうホムであった。
なお、男性は今のところトマス1人なので、彼はのんびりと大浴場を占拠できているのだった。
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