96.ダンジョン リターンズ⑫
更新お待たせ致しました。
今回も楽しんで頂けると幸いです。
鰹に足の生えたような生き物はこちらをジッと見ていた。
正確には目が側面に付いている為こちらを見ているのかと言われたら分からないと言うのが正直な所だ。
ただ強そうにも見えない。
一発で死ぬ…なんて事はないだろう。
俺は一歩そいつに近寄った。
鰹は微動だにしない。
俺は振り返ってアレンに言った。
「ちょっと行って来るわ」
「援護するよ」
俺はアレンとお互いの意図を確認すると鰹に向かって歩いた。
普通に歩いて近寄って行くが鰹は動かない。
そして鰹の前まで着き、俺は鰹の正面に立った。
息はしていないようだ。
魚と言うのは鰓で呼吸すると言う。
そこに酸素が入ると窒息すると聞いた事がある。
恐らく業と呼吸をしていないのだろう。
俺は鰹に話しかけた。
「おい。何見てんだよ?」
だが鰹は答えない。
そこに立っているだけだ。
近くで見てみると鰹に人のような足が生えただけの生き物である事がわかる。
そして恐らく雄だろう事もわかった。
何故かと言えば足には脛毛が生えていた。
女性でも脛毛は生える。
だが足のゴツさから俺は雄だと解釈した。
何も反応しない鰹に俺は再度質問をした。
「おい!聞いてんのかよ?」
すると鰹は俺に気付いたのかピクっと反応すると右側にある水辺にピョンっと飛び、ジャプンと入水すると下へ泳いで行った。
その間アレンが魔物辞典を開いて今の鰹を調べていた。
そして何かを見つけて俺を呼んだ。
「トゥキー!これ見て!これ!」
俺はアレンに寄って行き、アレンが指さす辞典の中身を覗きこんだ。
その名前を見て俺は思わず声に出る。
「レッグボニート?」
「うん!魔物だよ!」
「あれが?キモッ」
そんな事をしていると皆が支度を終え、俺とアレンの元に集まって来た。
すると魔物辞典を二人で覗いている俺達にシーナが話しかけた。
「何してるの?二人して」
「いや、これ見てくれよ!」
そういうとシーナは荷物を置き、どれどれ?と言うように魔物辞典を覗いた。
「何これ。キモッ!」
「だろ?さっきそこにいたんだよ」
そう言い、鰹がいた所を再度見るとそこには鰹が2体に増えていた。
すると見たままの光景をアレンが口にする。
「増えたね」
「ああ」
「実際見るとよりキモいね」
すると脇の水辺から一体、もう一体とピョンと跳ねて陸に上がる。
計10体程が陸に上がった。
俺は念の為達眼でステータスを確認した。
【種族名】レッグボニート
【個体名】なし
【Lv】613
【称号】イーター
【スキル】
シンプルスキル:悪知恵+2
シンプルスキル:枯渇耐性+3
ファインスキル:持久力+3
ファインスキル:剛腕+3
ファインスキル:頑丈+3
ファインスキル:晴眼+3
ファインスキル:鋭敏+3
ファインスキル:存命+4
ファインスキル:平安+3
ファインスキル:天才
ファインスキル:英明
ファインスキル:大魔法+2
ファインスキル:痙攣耐性+3
ファインスキル:猛毒耐性+2
クールスキル:音速+2
クールスキル:専心+2
クールスキル:利運+2
クールスキル:度胸+2
クールスキル:熱無効
クールスキル:極寒耐性+3
ユニークスキル:水練
スペシャルスキル:水鉄砲
【魔法】
・ファイアー【完・無】・ウィンド【完・無】・コールドブレス【完・無】・ウォーター【完・無】
・サンド【完・無】・リーフ【完・無】・サンダー【完・無】・ダークネス【完・無】
・ポイズン【完・無】・ウォーターボール【完・無】・ウォーターウェイブ【完・無】・アイスブリザード【完・無】
・ウォーターブレイド【完・無】・アイスロック【完・無】・コールドブレス【完・無】・フラッシュフリージング【完・無】
・アシッドレイン【完・無】・ブラックアイスバーグズ【完・無】
決してレッグボニートは強くはない。
だが融合魔法ブラックアイスバーグズを持っていると言う事。
スペシャルスキル:水鉄砲。
ユニークスキル:水練を持っていると言う事は恐らく水中ではかなり苦戦するだろう。
だがここは陸だ。
ステータス的にはこちらに部があるはずだ。
俺と同じで皆ステータス確認しただろう事を推測し、俺は皆に話しかけた。
「そういや俺達って泳ぎ系のスキルは持ってないよな?」
すると皆確かに…と言った顔をした。
バルテオナは港町だ。
だが俺達は修行修行の毎日で休日に港付近に出かけたとしても特産品である海鮮物を食べる事しか考えておらず、海へ行って泳いだりする事はなかった。
正直こっちの世界は美味い食べ物が少ない。
師匠達と食べる食事はバゲット程カリカリのパンにスープや麦か雑穀かわからないようなライスにスープなどが多い。
その為食欲が次から次に湧いてくる。
まるで刑期を終えて出所した時の様だ。
その為バカンスよりも酒、食を求める休日となりがちであった。
するとクリンが俺の言葉に返答をする。
「そう言えばそうだよね。生まれも砂漠地帯だったし、初めて海を見たのは魔王大陸からバルテオナに渡った時が初めてだったし」
その言葉にシーナも言葉を発した。
「国も水辺なんてなかったもんね。水辺があったら少しは飢えを凌げたかも知れないよね」
今は一冒険者としてそれなりにレベルも上がり、希少なドロップアイテムなどを売って生計を立てれるようになったが元々は飢えに苦しみ、残飯を食い漁っていた連中の集まりだ。
幼少期の頃の事は今では悪夢のような毎日だった。
水辺でもあれば自給自足も可能だっただろう。
皆昔の事を思い出し、少しブルーな気持ちになっていた。
俺達が俯いてしまってる所に鰹達が動いた。
俺達の頭上に数個魔法陣が発生した。
気配に気付いた俺は皆に声を掛けた。
「皆!避けろ!」
皆高速移動でその場から離れた。
すると頭上に発生した数個の魔法陣から雨が大量に振りだした。
振りだした雨は地面に落ちる度にシューと音を出しながら地面を溶かし始めた。
「アシッドレインだ!」
アレンが高速移動で移動した先で言った。
俺は鰹達の攻撃を応戦する事を決めた。
そして皆に声をかけた。
「応戦するぞ!皆ポジションに!クリン!フォローする!そのまま突っ込め!」
「わかった!」
そういうとクリンはそのまま高速移動で鰹に突っ込んで行く。
俺達は所定の位置に高速移動で着き、クリンを追ってシーナが剣に火を纏って鰹に向かって行く。
すると正面の鰹が向かって来るクリンとシーナへ魔法を発動した。
発動した魔法陣から飛び出したのは無数の黒い塊。
ブラックアイスバーグズだ。
俺達とのレベルの違いを感じ取った鰹達は自身の持つ最強魔法をぶつけて来たのだ。
だがそんな魔法位では驚かない。
寧ろそれを使う事はこちらではわかりきっている。
高速移動でクリンとシーナはブラックアイスバーグズを避けつつ鰹に近付く。
ブラックアイスバーグズはクリン達をスル―して俺達の所へ飛んで来る。
仮にも融合魔法でダークネス混じりだ。
何かあると困る為、俺は対抗魔法を発動させた。
「ダークネスホール」
飛んで来たブラックアイスバーグズは全てダークネスホールへ吸い込まれる。
その間に鰹まで到達したクリンがアックスで鰹達をなぎ倒そうとしたその時、鰹達が口から水を吐き出した。
スペシャルスキル:水鉄砲である。
恐らくレッグボニートに生まれた時に最初から所有しているスキルだろう。
水鉄砲は時速約200kmを超える。
そんな水鉄砲が無数に飛んで来る為回避は難しい。
クリンはミスリルシールドを盾に少しずつ前に進む。
シーナはシールドの後ろに隠れるようにクリンの後ろにくっ付いている。
「ごめん!クリン!」
「僕もこのままシールドで守るので精一杯だ!ダメージ覚悟で飛びこむしかないよ!」
「トゥキー達は?」
そういったシーナは背後を見た。
すると先程よりもトゥキー達は近くにいたのである。
水鉄砲が届くか届かないか位のギリギリまで近付いていた。
それを確認したシーナがクリンに言う。
「トゥキー達近くにいたよ!援護あるまで待機しよ!」
「わかった!」
俺はアレンとスーカに命令を出す事にした。
「あいつら鰹は魚類だ!ステータスの通り旱魃に弱いはずだ!あれで行くぞ!」
「「わかった!」」
「「「アブサーブスデザート!」」」
するとシーナの背後に魔法陣が発生した。
それに気付いたシーナは驚いた。
「まさか私達諸とも!?」
だがトゥキーと言う男はそんな事はしない。
発生した魔法陣から大量の砂が出現し、それが人の手の形となって三つ、鰹達に向って行く。
それに気付いた鰹達は砂の大きな手に向って水鉄砲を連打する。
だがアブサーブスデザートの大きな手には何のダメージも与えらえない。
アブサーブスデザートは相手の水分を吸収する魔法だ。
水鉄砲の水分を吸い尽し鰹達に向って行く。
鰹達は水鉄砲ではアブサーブスデザートを相殺出来ないと気付いたのか魔法で対抗して来た。
大きな砂の手に向けられた魔法はブラックアイスバーグズである。
融合魔法であるブラックアイスバーグズの黒い氷の塊は大きな砂の手を破壊し飛んで行く。
だがそちらに気に取られていた鰹にシールドでガードしていたクリン達がシールドを解いて鰹達に向って行く。
そしてアックスで、魔剣で鰹達を蹴散らして行く。
蹴散らされた鰹達をアブサーブスデザートの大きな砂の手が掴み、その命を奪って行く。
そして1分も満たない時間で鰹達を一層いたのだ。
俺は他に鰹が周りにいない事を確認して口を開いた。
「終わったな!」
「ちょっと手古摺ったね!」
俺の言葉にシーナが答える。
するとクリンが地面に転がった茶色の塊を見て、皆に質問をする。
「これ何かな?」
皆が何?何?とクリンの元へ集まる。
クリンが指挿す物を見る限り鰹のような形だがかなり小さくなっている。
俺はそれでピンっと来た。
「レッグボニートだろ。アブサーブスデザートで水分取られて砂にまでは戻らなかった奴だな」
皆その回答にしっくり来たのか、なるほどと言った表情を見せた。
だが俺は一つ気付いた。
「ちょっとそれ貸してみろ」
そういうとクリンから水分の抜けた鰹を受け取ると腰のダガーを抜き、出来るだけ薄く鰹を削った。
そして削れた茶色いPEテープのような物を手に取りクリンに差し出し言った。
「食ってみろ」
すると咋にクリンは嫌な顔をした。
そんなクリンに俺はもう一声掛けた。
「いいから!騙されたと思って!ほら」
そういうと嫌な顔をしながらクリンは削れたそのPEテープのような物を手に取り食べた。
すると難しい顔をしながら咀嚼し飲み込んだ。
そして感想を述べた。
「美味しい」
「だろ?この足みたいのをそげばあとは甘味の塊だ。これは売れるぞ!他にもないか探してみてくれ」
そういうと皆周りを探し始めた。
この黄色い塊は鰹を乾燥させた物だ。
和食は良く出汁と言う物を取る。
その出汁を取る材料として鰹を良く使われていた。
前世で食べた高級和食店の味噌汁や茶碗蒸し、煮物と言った物が食べれるようになるかも知れない。
それには先ずお手本を見せないといけないだろう。
俺は次の商売を考え始めていた。
するとスーカが俺の元に鰹の塊を一つ持って来た。
「あった」
「おお!スーも食べてみるか?削り節」
「いらない」
やはりスーカには鰹に足が付いていた乾燥する前の姿が気に入らなかったのだろう。
すると皆が戻って来て言った。
「他にはなさそうね」
「こっちもなかったよ」
「そうか。仕方ないな」
取り合えず二つ確保した。
水分がなくなる前は大体全長1m程の鰹も水分がなくなり大きさは60cm程になっていた。
足の部分を切り落とした大きな塊を二つ魔袋に入れると俺は皆に言った。
「レッグボニートに出くわしたらアブサーブスデザートとであの位の塊になるまで水分取ってから回収するように!」
「「「「了解!」」」」
そして脇にある水辺を見て俺は思った事を口にした。
「泳ぎスキル上げとこうか」
すると皆の顔が硬直した。
ポイントを入れて作者を応援しましょう。
評価するにはログインして下さい。
感想を書く場合はログインして下さい。
ブックマークをするにはログインして下さい。
↓同作者同時更新中の作品はこちら↓
https://ncode.syosetu.com/n7908ge/




