87.王都ペアリス
更新お待たせしました。
今回はダンジョンのお話しではないですが色々仕込みは入れました。
楽しんで読んで頂けると幸いです。
明日は休日である。
飲みに出る前に俺達はダンジョン内で取れた素材を売りに出た。
思いの外アースドラゴンの素材が高値で売れた為、全部の素材を売り捌いたらなんと100万Bとなったのだ。
アースドラゴンの素材以外はいつもの感じで直に工房だったり武器屋、防具屋などに売り裁いた。
アースドラゴンの素材は大変貴重である。
アースドラゴンの生息地を知る者は少なく、近場で取れるとしたらダンジョンしかない。
俺達はただですら15年振りにダンジョンの深部到着歴代2位となってしまった為目を付けられてる。
直にアースドラゴンの素材を売った事がバレた場合牢獄行きも考えられる。
今の俺達の強さでこの国の衛兵やその他の兵士など敵ではないだろう。
だがそれだけの為に国を滅ぼしたり、無暗に騒ぎを起こす訳にもいかない。
そうすればリミテーションスキルの獲得も難しくなり、人と魔族が共存出来る世界を作る事も遠のく。
ここは穏便に事を進める為冒険者ギルドに登録し、正規のルートでアースドラゴンの素材を売った。
冒険者ギルドに入ると受付があり、そこで手続きをする。
流石大きな国のギルドだけあって記憶石と言う石の盤があり、手を置くとその者を記憶し、登録番号を割り振られる。
その番号が本人の照明となるようで必ず忘れないようにと言われた。
だが石に数字が現れる為誰でも見る事が出来る。
個人情報などあってないような物だ。
流石中世レベルの文化。
正規なルートと言うのは冒険者ダンジョンに売りたい物を提出し、冒険者ギルドが仲介して武器屋などに売る。
仲介料を武器屋、冒険者からもらうと言うあくどい商売だ。
それを嫌がって店主などは禁止はされているがバレない範囲で冒険者等から直接買い、搾取をされないようにしているのだ。
それでもアースドラゴンの素材は世界的にも珍しい物である為高値が付いて70万Bの値段が付いた。
ほぼほぼアースドラゴンの骨から爪から皮から全身を保管していた…と言うのも高値が付いた理由だろう。
所用を済ませた俺達は太陽も落ちた夜の街に繰り出した。
「「「「「チァース!!」」」」」
俺達は酒場に来ていた。
年齢的に中高生だがこの世界のルールで禁止されていない為問題は無い。
法律で決まっているなら守るべきだろうが…。
合法なのであれば問題ない。
豪に入れば郷に従えと言う事だ。
「それにしてもアースドラゴンがあんなに高値だとは思わなかったね!」
「ああ。地元だったら家が買えるぜ」
「そういえばどうなったんだろうね、僕達の家」
「さぁな。ジョシュ達が守ってくれてるといいが。取り合えず今日は金を気にしないで飲めるし、おつりでアイテムも買えるしラッキーだ」
そんな事を話しながらだが俺達は多くの視線に晒されていた。
多くの視線が俺達に注目している。
それが気になって酔うに酔えなかったのだ。
ただ俺達に害がある訳ではないので気にせず飲み食いしていた。
間違ってもこのレベルの人間に切られようが何されようが切り傷一つ付けばいい方だろう。
すると一人の冒険者風の男が話しかけて来た。
「よう!あんたらが噂のトレシアスクか!15年ぶりに2位記録を上書きしたってなー!あんたらどこのもんよ?」
白髪交じりの泥色の髪は縮れており、同じ色の無精髭、身体は細身で素肌にノースリーブのポケットが数個付いている軍人のような砂色のチョッキを羽織っており、ズボンもダボっとしたカーキ色ズボンと革のブーツを履いていた。
俺は片手にビールを持ったその男に答えた。
「俺達はバルテオナから来た。三大神の秘蔵っ子って所だ」
実際師匠からはそう名乗った方が今後俺達の為になると言われていた。
三大神と言う後ろ盾とこの世界に点在するダンジョン攻略者や刀神にも有効だろうと言う事だった。
「ほう!!そりゃスゲー!!聖大陸の守り神の秘蔵っ子とはな!!こりゃ驚いたぜ!!遂に三大神が聖大陸制覇に乗り出したって事か?そりゃ」
この男の言っていることは可笑しい。
師匠達が聖大陸制覇?
何の事だ。
そんな話しは一度も聞いた事がない。
俺が考えている事が顔に出ていたのか男が続けて言った。
「何だ!
知らねーのか?
有名な話しだぜ!
この世界にはダンジョン攻略者が数人いる。
知っての通りダンジョン攻略者にはリミテーションスキルって特別なスキルを有する事が許されている。
そのスキルは世界を揺るがしかねない力を持っているんだ!
そのスキルを持った者を有する者がこの世界を制す!
大昔、このスキルを持った者が現れた!
ダンジョン攻略者だ!
その力は戦争に使われ領土を増やす道具に使われた。
どの国もその力を欲した。
スキル持ちが現れれば高価な貨幣と高貴な身分が与えられた。
そして国がスキル持ちを囲い、戦になれば借り出しこの世界はいつの間にか血の海になっていった。
そんな中現れた王こそが魔王!
魔王はスキル持ちを集めて世界を全てを自分の物にしようとした。
そして巨大勢力となり、次々に国々を飲み込んで行った。
この世界全てを飲み込もうとしていた時に各国は共同戦線を張った!
歴史に残る聖軍対魔王軍の戦いだ。
各国のスキル持ちを集め魔王から大陸を奪われない様に守った。
その戦いの中から一人聖軍を守る圧倒的な力を持ったスキル持ちが誕生する。
それが勇者!
どの国にも属さず聖大陸を守る存在。勇者だけは独占禁止と聖軍内で決まった。
聖軍対魔王軍の戦いは続き今でも魔王軍の侵略は止まらない。
魔王を討たなければこの戦いは終わらない。
そう考えた者が何千、何万と挑んだが聖軍の勢力を減らすだけで終わり何の身にもならなかった。
その為聖軍は魔王討伐は勇者だけの指名とし他の者が魔王に挑む事を禁じた。
もし挑んだ場合は生死問わず家族も罰せられるようにしてだ。
そんな戦いが何年、何百、何千と繰り返される中、いつの間にか世界は魔王大陸と聖大陸と二分化した。
聖大陸と魔王大陸の国境には有力者が配置されるようになり、長い年月の中魔王軍も一枚岩ではなくり、今では魔王軍本体は魔王城の回りだけになった。
リミテーションスキルは所有者が死ぬとダンジョンに戻る。
そして新たなリミテーションスキルとして生まれ変わる。
この世界にはリミテーションスキルを持った奴が何かいる。
あんたらの師匠、シャクール・オニールもその一人。
その上バルテオナにはミカール、アズラーと言った元勇者パーティの一因がいる。
皆言ってるぜ?
最も力を有しているのはバルテオナ。
バルテオナがその気になれば聖大陸を制す事も可能だってな!
そんな所にあんたらがダンジョン攻略を仕掛けて来た。
これはバルテオナの策略じゃないかって奴もいるぜ?」
なるほどな。
色々と情報が漏れているみたいだ。
運営か、冒険者ギルドか…いずれにせよあまり目立った行動はするべきじゃないだろう。
俺がこの男に答えようとするとスーカが口を先に開いた。
「あんら馬鹿らの?お師匠らちがそんら事しゅる訳ねーらろ!」
俺達は顔が青褪めながらスーカに視線を集中させた。
「わらしらちはれー、しぇかいを良くしゅる為にランジョン攻略しようとしれるの!まじょくもにんげんも皆一緒にしゅめるしぇかいにしゅるの!らからリミテーションシュキルが必要らの!わかっら?」
「あの…スーカさん?お酒それ位にしようね?ちょっと!誰?スーカにお酒飲ませたの!」
アレンがしどろもどろしながらスーカを宥め、俺達を睨みつける。
スーカは酒が弱い。
普段無口なせいか酔うと散々管を巻いた後寝てしまうのだ。
そういえばいつもの調子でビール5つ頼んだのは俺だがここは黙っておいた方がいいだろう。
俺は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしたその男に言った。
「すまん。これ酒癖が悪いんだ。悪かったな。俺達はこれで帰るよ」
すると店の奥の方から高らかに笑う声が聞こえた。
「ひゃひゃひゃひゃ!人間と魔族が一緒に住める世界だってよ!そんな世界作れる訳ねーだろ!あひゃひゃひゃひゃ!」
その声に反応したのはシーナだ。
俺はその声がした方向に恐い顔して振り向いたシーナを止めようとした。
「ちょ!おい!」
だが止めようとする声と同時にシーナはその方向に歩き出してしまった為、俺はもう諦めため息をついた。
「ちょっと!今笑った奴!」
そういうと酒屋の奥の方でキョロキョロと犯人を探しだした。
すると一人の男が手を上げて言った。
「俺だよ」
その男を見るとシーナは言った。
「見てなさい!私達が世界を今に変えてみせるから!その時は土下座しに来なさい!」
そういうと俺達の方へ戻って来た。
アレンがスーカを背負い酒屋を出て行く。
俺は金をテーブルの上に置き皆の後を追って酒屋を出た。
そして宿屋まで戻りそれぞれの部屋へ入った。
今日はこれでお終いかと思いベッドに横になると部屋のドアがノックされた。
「はーい!」
すると入って来たのはクリンだった。
「どうした?」
そう聞くとまだ少し酒の抜けていない薄紅色の顔でクリンが口を開いた。
「…夜はまだこれからだよね?」
俺はニッと片方の口角だけ上げ答えた。
「あんたも好きねぇ」
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