83.ダンジョン リターンズ⑤
更新お待たせしました。
ダンジョンはまだ続きます。
飽きずにお読み頂けると幸いです。
---回想(修行中)---
ミカールの元でシーナとレイが修行に励んでいた。
シーナは聖刀流を扱う者が本来必要とされる魔法の種類、光属性の魔法が使えた。
その上幼いのにダンジョン攻略者でリミテーションスキル持ち。
ステータスもかなり高い。
それを見込んだミカールはシーナを聖刀流の後継者にしたいと考えていた。
レイとシーナは既に隊長クラスの力を備えており、剣を習った事がないとは言え既に隊長クラスの者でも勝てない程だった。
だが剣を習った事がなく、独学で強くなった為剣に無駄が多く握りすら見ていられないレベルだった。
その為剣の持ち方を学ぶ所から始め、一度振り下ろしたらどう立ち回れば、またどう剣を動かしたら無駄なく、隙なく立ち合えるのかを学んだ。
レイはベルフェゴル戦にてジークハルトと戦い、勝ったと言った。
ジークハルトはミカールの元で剣を習った者であった。
習っただけではなく、6番隊の副隊長まで上り詰めた者だ。
ミカールはレイからジークハルトを殺したと聞いた時は自分の知らない所で弟子同士が殺し合っていた事を悲しく思ったが仕方ないと思った。
ジークハルトの力量をミカールは知っていた。
隊を抜けて数年経ったがジークハルトではレイは倒せない事がわかっていたし仕方ないと思う理由もあった。
その為レイを責めようとはしなかった。
ただ自分より早く逝ってしまった弟子を気の毒に思った。
それにジークハルトとの戦いにてレイは聖刀流の基本的な身体の流れを得とくしていた。
それに加えレイの身体能力は異常で、教えれば教えるだけ真綿が水を吸い込むように吸収していった。
シーナはポテンシャルは問題ない…寧ろ天才程の才能を持っていた。
だがレイと比べると劣った。
それは男だから女だからと言う事ではなくレイズと言う少年が異常過ぎたのだ。
どんどん進むレイに追い付こうとシーナも毎日血の滲むような修行をしていた。
シーナはレイを疎ましくは思わなかった。
寧ろ毎日のように「レイは凄い」と尊敬する程の眼差しをしていた。
二人は良きライバルであり兄妹であったのだ。
そんなある日ミカールはシーナに声をかけた。
「随分上手くなったな。剣技だけならレイよりシーナの方が上手だぞ」
「ありがとうございます!でもまだまだです!レイに追い付かなくちゃ」
「レイの剣技は荒い!繊細で流れるような動き、動作はどう取ってもシーナ、お前が勝ってる。レイの魔力量を剣技で勝る事が出来ればレイを超えられるかもな」
「そうですね…実際レイのアディショナルタイムまでは私も付いて行けるし、あのアディショナルタイムをどう乗り切るかを私も考えてました。剣技をもっと鍛えたら対抗出来るでしょうか?」
「ああ!勿論だ。そもそも聖刀流はお前のような光属性持ちの為の魔剣術だ。聖刀流の中に隠された光属性持ちの為の深意を読み解く事が出来ればあの化け物を超えられるのではないかと俺は思っているよ」
「聖刀流の中に隠された光属性持ちの為の深意…師匠は見つけたんですか?」
「どうかな。俺は光属性持ちじゃないからな。だがそれでも剣神になれるんだ。俺も幼い頃から剣を振って来たが俺が15歳の時よりもお前達は遥かに強い。謂わば天才だ。俺も超えてレイも超えて、何れはトゥキーの嫁さんになって家庭を守る強い母ちゃんになって子供達に聖刀流を繋げ」
「ちょ!師匠!?誰に聞いたんですか!?」
「ふん!そんなのお前達見てたらわかるわ!わかってないのはトゥキー位だっつうの!」
「やっぱりそうなんですかね?兄妹も皆そういうんです」
「あれは凄い男だが鈍感なのか…気付かないフリをしてるのか…読めん」
「えー!どうしたら気付いてくれますかね?」
「あほう!急に恋バナしようとしてんじゃねー!練習しろ!練習!」
「師匠が振ったんじゃないですかー!もうー!」
---現在---
俺達は砂埃舞う魔法着弾地点を見ていた。
アレン達は魔法発動を解除しているが俺は念の為ウェイトグラビティを発動させたままである。
そして砂埃が晴れ、魔法が着弾した場所を見る。
結果は二人の魔法によって肉片と化したアースドラゴンがいた。
俺はウェイトグラビティを解除し蔓を放してウィンドで落下速度を軽減しながら地上に降り立った。
俺に続いてアレン、スーカも地上に降り、シーナとクリンはアースドラゴンの死体の元へ歩いた。
俺達もアースドラゴンの死体へと歩き、皆が一カ所に集まった所でシーナが口を開いた。
「まぁまぁの強さだったね」
「ああ。まだまだレベル的には楽して勝てるな」
「勇者一向が行った100階層辺りになったらもっと強いのかな?」
「じゃないか?何で勇者一向が105階で一旦中断したのかはわからないけどな」
するとアレンがアースドラゴンの死体を見ながら言った。
「こいつ名前あったね」
「俺もそれが気になってた。魔獣を飼ってたのか…俺みたいな奴が他にもいいるって事なのか、それともこのダンジョンを作った奴が付けたのか…」
それよりも気になるのが前世の神話の化け物の名前だったと言う事だ。
俺が転生したのと同じように転生者が他にもいると言う事なのか、はたまた偶然か…この事は頭の片隅にでも覚えておいた方がいいだろう。
そして俺達は横たわるアースドラゴンの死体を見降ろしていた。
ウェイトグラビティで動きを止められLv.600越えのアレンとスーカの魔法の集中砲火を浴びたのだ。
その死体はウェイトグラビティで押さえつけられていたせいか肉片は飛び散っておらずほぼアースドラゴンの原型を留めた形で横たわっていた。
アースドラゴンはドラゴンの中でも希少種である。
その為素材は高く売る。
先ずは俺がアースドラゴンの爪を触って感想を皆の方へ振り向いて言った。
「これは高く売れるぞ」
するとアレンがその言葉に返事をした。
「だろうね。アースドラゴンは貴重だもん」
「こいつを残すのは勿体ない。素材になりそうなのは出来る限り持って帰るぞ」
俺はそう言うとアースドラゴンの死体を解体し始めた。
そして骨まで解体し骨すらも魔袋に入れる。
残ったのは肉片ばかりとなった。
辺りはアースドラゴンの血と肉片でいっぱいになっていた。
まるでまな板の上である。
「終わったな」
「うん!大きいから疲れたね!」
「それにしてもこの肉片どうする?ウォーターで流す?」
「そろそろ昼飯だろ?」
俺がそういうと皆片方の口角を上げ、引き攣った笑顔をしていた。
そしてシーナが口を開いた。
「この感じ懐かしいね」
「うん」
「本当に」
「帰って来たって感じね」
俺は当然の事を言っただけだと思うのだが、皆にはあまり理解出来ないらしい。
魔獣が美味しいのなんてのは経験済みだし、そこに肉があるのなら食べるだろう。
そんな当たり前の感覚が兄妹達にはわからないらしい。
俺達は孤児でホームレス出身。
食べ物を粗末にしないと言うのは大金持ちになっても抜けない習慣だ。
それは前世の俺がそうだったから経験論だ。
にも関わらず魔獣は食べ物と言う意識が兄妹達にはないようだ。
こんな美味しい物を食べないなんて選択肢があるか?
いや、仕方ない。
俺の価値観をこいつ等に押し付けてもな。
それは良くない事だ。
「食べないならいいけど」
良く考えて出た言葉がこれだった。
すると皆が答える。
「食べる!食べるよ!」
「そう?なら焼こう!BBQソースもあるしな!」
俺は以前屋台で作ったBBQソースを継ぎ足し継ぎ足し持っている。
これが祖国の味でアメリカ人のソールだ!
俺はそう思っている。
これを食べてる限り俺はアメリカンソールを忘れない。
そしてアースドラゴンの肉をファイアーで焼き、BBQソースをかけて食べる。
アースドラゴン。
その名の通り地龍。
穴を掘って生活している。
地底に巣を作り繁殖、成長すると親の巣の数km先に自分の巣を作り繁殖する。
食性は雑食。
何でも食べる。
腹空いたら巣を出て獲物を狩る。
狩った物は巣に持ち帰り食べる。
肉も食えば草も食べる。
雑食の動物の肉は臭いと良く言う。
実際アースドラゴンも独特な臭いがあり、苦手な者もいるだろう。
だがBBQソースと臭さが混じって中和し少し臭いラム肉程の香りとなっていた。
要は美味なのである。
嫌々言っていた兄妹達も何だかんだ美味しそうに食べ終えた。
俺達は満腹となり少し休むと出発をした。
よりダンジョンの下層へと。
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