63.侵入
更新遅くなり申し訳ありませんでした。
少しこの世界の魔法について書いてみました。
これからもこの世界の事について語られるかと思います。
楽しんでお読み頂けたら幸いです。
「師匠は知らないの?」
「うむ。私も元々聖大陸出身でこっちには数える位しか来た事がないからな」
「…取り合えず聞いてみるか」
俺達はツスカル山城跡について聞く事にした。
だがその情報は直ぐに手に入った。
この国では割とファーマウスな情報でツスカル山城跡には亡霊が出る。
近寄ると祟りがあると国では言われているらしい。
噂では夜な夜な少女の叫び声が聞こえたり、悲痛に叫ぶ声が聞こえたり、すすり泣く声が聞こえたりする為近寄ってはいけないと言われているのだと言う。
元々はその城に国王家族が住んでいたが内乱が起き、当時の王が殺害された場所と言う事で心霊スポットには成り得る場所ではあったようだ。
内乱後今ある王宮が出来、そこに新たな王が住むようになったのだと言う。
肝試し程度に城跡へ行った若者が帰って来なかった…などの本当か嘘かもわからないような噂が流れているのだと言う。
夜な夜な少女の叫び声が聞こえたり、悲痛に叫ぶ声が聞こえたり、すすり泣く声が聞こえたりすると言うのはそこに拉致された子供や人がいるのであれば強ち嘘ではないだろう。
俺達は教えてもらった方向へ歩き出した。
王都の防壁を出て国から東にある森へ入り暫く進むと山脈があり、その山脈の一角にツスカル山がある。
その中腹に城があるのだ。
森を抜け、山の中腹の崖の上に聳え立つその城は確かに不気味な雰囲気を醸し出していた。
元々山を削り、作られた崖である為城へ続く道も舗装されており特に問題はなく城までは行けそうだった。
俺達は城の見える数kmの場所にいた。
「あの城か」
「うむ。そのようだな」
「それにしても不気味だな。夜だからか?」
「それもあるだろう。アンデッド部隊をこの辺に散りばめたらそれらしいじゃないか」
「ちょっちょっと、トゥキー。変な想像させないで」
「狼人間とかな」
「そういや狼人間の魔族とかっていないんですか?」
「おるよ」
「やっぱりいるんだ」
「犬人族もな。それよりあの城から膨大な魔力を感じる。これは骨が折れるかも知れんぞ」
「そんなにですか?」
「うむ。気を付けるようにな」
「「「「「「はい」」」」」」
そして俺は魔袋からスパイディを出した。
「スパイディ。クリンを乗せて城の周りを偵察しろ。クリン、頼んだ」
「わかった」
俺はスパイディとクリンを偵察に向かわせた。
クリンは小さいながら頑丈な奴だ。
それは今までの修業の成果もある。
リスクを負わない選択をするのであればスパイディのみで行かせる所だが俺の統率者は翻訳蒟蒻ではない。
その為スパイディが見た景色を城の状態をスパイディの口から聞く事は出来ない。
その為意思疎通が出来るクリンを同上させる事にしたのだ。
クリンなら軽いしスパイディの行動速度を妨げる事はない。
それにもし捕まったとしてもクリンなら耐性をかなり獲得しているだろうし防御力も高い為、そう簡単には死ぬことはないだろうとの考えであった。
俺達は野営をしながら二人を待つ事にした。
そしてクリンとスパイディが偵察へ向かってから2時間が経とうとしていた頃レイが口を開いた。
「あの二人遅くね?」
「ちょっと遅いよね。大丈夫かな?」
「大丈夫だろう。最悪スパイディが殺られたとしてもクリンは帰って来る筈だ」
「…うん」
「シー姉、大丈夫だよ。帰りを待とう」
「うん」
不安になっているシーナをアレンが元気付ける。
すると俺が感知出来る範囲に気配が現れ、それはこちらへ向かって来た。
そして円になって倒木などに腰掛けていた俺達の後ろにドスンと何かが降り立った。
振り返るとそこにいたのは無数の眼。
「ごめん、遅くなった」
「クリン!良かった、無事で」
「心配かけてごめん。でもちゃんと見て回って来たよ」
「ありがとう。早速だが城の周りの事を教えてくれ」
「うん」
クリンは見た事を伝え始めた。
俺達がいる場所から城までは森が数km広がっていた。
森に魔物が出ても何ら不思議ではない。
その為スパイディがいたとしても不思議ではないがクリンは別である。
その為クリンはスパイディの上で布を被りながら乗っていた。
スパイディは最短ルートを木々の上を飛びながら移動した。
城までの間魔物が何体かいたが人のような物は見なかった。
森を抜けて山を登り城をグルッと一周して戻って来た。
城のある崖の下には見張りが何人かいて城のある崖を上った所にも見張りがいた。
門番のような者もおり、侵入は大変ではないだろうが場内にどの位の人数がいるのかわからない為下手には動けない状況と言うのがクリンの見解だった。
「なるほどな。正面からの突破は難しいか」
「そうだな。では何処から攻める?」
「意表を突くのであれば裏からですね。ただ山を越えないといけないのが少し苦労しそうです」
「どうにかして裏から入れないか…」
「クリン坊、もう一度スパイディに乗って城裏まで行けるか?」
「はい。何度も巨大蜘蛛が飛び回ってる姿が見つかると問題なので先程とは少し遠回りに行けば大丈夫だと思うんですが…」
「ではもう一度城裏に行ってくれ。それで城裏の山に今から紙に書く物を書いて来てくれ」
「どうする気ですか?」
「ではこの世界の事、レッスン2だ。この世界が出来たのは数千年前だと言われている。いつしかこの世界には魔法が生まれた。その魔法を発動させるのが魔力だ。魔力は自然の中に元々あった。それがいつしか生き物の体内からも発生するようになった。魔物は元々魔力が生み出した化け物だと言い伝えられている。魔物が生まれた同じ頃、動物にも魔力の力で変異する者が現れる。それが魔族だと言われている。人と言うのは猿が魔力の力により変異した魔族と言う説があるが実際は定かになっていない。魔物は最初から誰に教わるでもなく魔法が使えたのだと言う。それを見た魔族や人はどうしたら魔法が使えるのか研究し出した。そして今も魔法に関する研究はされている。まだまだ進化していると言う事だな。現在の魔法は”詠唱” ”無詠唱” ”魔法陣” ”錬金術” ”自然魔法”の5種類がある。
詠唱、無詠唱、魔法陣、錬金術はコントロール出来るが自然魔法だけはコントロールが出来ない。
オーロラや虹、火山の噴火、地震、落雷、雪崩、雨などなどが自然魔法。私達が出すのは魔力で作られた魔法であり自然魔法とは違う。」
師匠の言葉にそういう考え方もあるのかと俺は思った。
現代の科学であればオーロラや虹、地震のメカニズムは解明されている。
この世界ではそういった条件が揃うと自然発生する物を魔力と考えているらしい。
この世界は実に地球に似ている。
だが文明も中世位の物だし場合によっては現代に近い物があったりする。
自然現象についても恐らく地球と同じような理由で発生する物なのだろうが魔力がある現状では恐らく科学なんて言葉は数百年は出て来ないだろう。
師匠は更に続けた。
「そして魔力のないクリンにでも出来る事を今回教える。まぁ魔力のある者が一緒にいなければ起動も出来んのだがな」
「と言いますと?」
「魔法陣だ。クリンには城の裏の山に魔法陣を書いて来てもらう。転移魔法陣だ。そうすれば私達は城の後ろに転移出来ると言う事だ」
「なるほど。それはグッドアイディアっすね!師匠!」
「レイ坊は本当に現金だな。まぁいい。クリン坊、これから紙に書く物をそっくりそのまま城の裏山に書いて来てくれ」
「わかりました」
そして師匠は魔法陣を紙に書き出した。
師匠曰く大きな紙があればそれを転移陣にする事も可能らしい。
小さい転移陣でも転移する事は可能だが、その大きさに見合った物でないと転移させられないらしい。
エジファトの転移陣から魔王軍が出て来なかったのは大きさの性と言う事だ。
俺は何故転移陣から魔王軍が来なかったのかを正直疑問に思っていたがやっと謎が解けた。
そして師匠の書いた魔法陣の絵を持って、再度クリンはスパイディに乗り城の裏山へ向かった。
どうやらFコンで通信出来る範囲は決まっているようだった。
その為クリンとの距離ではFコン通信不可なのだ。
戻って来るのを待つしかなかった。
そしてクリン達が出発して2時間後、スパイディのみが戻って来た。
師匠によると魔法陣は人一人しか通れない仕様になっているらしい。
その為クリンは現地に残り、皆が来るのを待つと言う方法を取っている。
俺達は早速魔法陣に魔法を流し、城の裏山へ転移を開始した。
皆が無事転移し、城の裏山へ到着した頃には既に夜中になっていた。
「あれが例の城か」
「うん。さっきから子供の泣き声のようなのがたまに聞こえるようになったよ」
「そろそろ出荷時間なのかも知れない。急いだ方がいいだろう」
「だが中はどうなっているのかわからない。気を付けるんだぞ」
「「「「「はい!」」」」」
そして俺達はゆっくりと山を降りた。
城の裏は断崖絶壁だ。
その為それぞれがウィンドーを使ってゆっくりと飛翔しながら降り立つ。
クリンは俺が背負いながら下ろす事にした。
そして下に着き、城の後ろから正面側を見る。
特に気付かれていないようで見張り役と思われる者達は巡回を続けていた。
「大丈夫そうだ。じゃ、行くぞ」
そう俺が皆に言うと、皆首を縦に振る。
そして城裏にある窓ガラスをサンドで砂に変え、木枠を取り中へ侵入した。
侵入した部屋は誰かの部屋のようでベッドと机、机の上には書物があった。
俺達は静かにその部屋を出る事にした。
部屋の扉を開くとギーと言う古い扉にありがちな音を出して空いた。
出来るだけ音を立てないようゆっくりと開く。
廊下には誰もおらず気付かれてはいないようだった。
俺達はゆっくりと部屋を出て先を進む事にした。
すると城内に声が響いた。
「侵入者がいるぞー!探せ探せー!!」
レイがヒソヒソ話し出した。
「バレたのかよ」
「そんなはずはないんだがな」
「恐らく私達と同じで気配を感じれる者がいるのだろう。これは中々厄介かも知れん」
俺達でさえ気配を感じれるようになったのは最近の話しだ。
そんな相手がいるのであれば苦戦するだろう。
俺はあれを使う事にした。
「インフォ、ここにいる6人に統率者を」
「インフォ/スペシャルスキル:統率者を発動しました」
俺は心の中でインフォに命令し統率者を皆に行使した。
「見つかったのであれば仕方ない。強行突破だ」
俺達は身を隠す事を辞め、向かって来る敵は撃破して進む事にした。
魔法が使えない普通の兵士のような者が多く、難なく1Fを制圧した。
叩きのめし倒れた兵士の胸倉を掴み尋問をレイがする。
「おい!カイリーはどこだ!?」
「う、上の階…」
「どうも!ゴンッ!」
レイは兵士にカイリーの居場所を履かせるともう一発入れて気絶させた。
「上に行くぞ」
「おう!」
そして俺達は2Fに続く階段を上った。
2Fに上ると1Fのように部屋等がある様子がなく、広い空間がそこにはあった。
そして暗がりの奥から声が聞こえて来た。
「よう。良く来たな」
それはカイリーであった。
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