55.5.こぼれ話
本編はまた次回にします。
今回は戦後のエジファトと旅立ちまでのこぼれ話。
更なる魔王軍の襲来を追加しました。
本編お楽しみに。
戦争は終結。
新しい王も決まり、国はトレシアスクファミリーとは無関係と言う話しで落ち着いた。
魔王にも新代表が決まったと言う事を書物に記して貢の部屋にある魔法陣で転送しようとした。
すると既に魔王側から文が届いていた。。
勿論アザレアの件だ。
「魔王軍10番隊隊長アザレアの死が確認された。この件について魔王軍4番隊隊長バラキエルをそちらに向かわせてある。魔王軍に歯向かうのであればバラキエルによってエジファトは塵と化し、人一人としてこの世に存在出来ぬだろう。良ーく考えて答えを出す事だ」
俺達は再度口裏合わせの為、良い訳を考え、それを一語一句間違わないように計画を練った。
その為俺達は身支度を済ませた後、早々に国を出なければいけなかった。
色々と済ませないといけない事もあった為、国を出るのは戦争から2日後の事であった。
一度貧民街の家に戻り一同旅に出る支度をした。
「よし!こっちはもう出れるぞ」
「うん、私も大丈夫」
「僕とスーカもOK!」
「ごめん、もうちょっと待って」
「クリン、手伝おうか?」
「ん?大丈夫!」
俺達はもう国を出れる準備が整いつつあった。
するとレイが口を開いた。
「なぁ。ちょっとだけ寄りたい所があるんだけどいいかな?」
「あ?ああ。時間はかからないよな?」
「ああ。直ぐだ」
俺達はクリンの支度が終わるのを待って家を出た。
そしてレイが寄りたいと言った所へ皆で向かったのだ。
そこは意外と近かった。
この国の横側と背後を守る崖の上。
そこに少し大きめの石が二つ並んでいた。
「これは?」
「初めて紹介するよな。父さんと母さんだ」
「魔王軍に殺されたって言う?」
「ああ」
レイは墓石の前に座り、ここに来る前に花屋で買った花束を墓石の前に置いて言った。
「この石の下に死体が埋まってる訳じゃない。そもそも死体なんてもんは残らなかったからな。二人の身に着けていた愛用のアクセサリーとかそんなもんだ」
レイの悲しそうな声と崖の上に吹く風の音が相俟って悲壮感を醸し出していた。
「大切な両親を失くした代わりにお前達と出会った。大切な家族が出来た。両親が殺された事は未だに納得出来ないが前を向ける。暫くここにも来れなそうだしな。最後にお前達にも…父さんと母さんにも紹介したかった」
俺はその後、この場所をジョシュに伝え俺達がこの国を出ても守ってもらえるようにとスパイディに文を渡してジョシュに届けてもらった。
きっとあいつならここを守ってくれるだろう。
「強くなって戻って来よう。この場所も守れるように」
「ああ」
俺はレイの肩に手を置き、元気付けるように言った。
そして俺達はその後、新国誕生でお祭り騒ぎの国を横目に国を後にするのだった。
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55.5.5.魔王軍再襲来
トレシアスクファミリー一行が国を出た後数日後、魔王軍が再び国へ訪れた。
恐らく文で届いたバラキエルと言う4番隊隊長だろう。
戦後、トゥキー様の提案で国民を管理する為住民票なる物を作成。
それにより住所不定の者以外は国で管理し、税金なる物を納める様取り計らった。
決して高い物ではなく、皆で国の貯金、魔王への貢物を国民皆で負担しようと決めたのだ。
その代わりお祭りや国上げての行事の際はその貯金を使って催す…と言うような見返りを与えた。
出生した子供は王城内の役所にて届け出を出し、成人(17才)と共に納税義務を課す。
子供は国の宝だとトゥキー様には教えられた。
その為子供が生まれる毎に納税金が減る仕組みにした。
義務教育を根付かせ、農業、工業、産業、商業、政治、武術剣術、魔術と言った専門家を講師として国で雇い、親が子供にどうなって欲しいか、子供がどうなりたいかを選ばせ自由に受けれるようにする。
それによって国の発展へ繋がるのだと言う。
それと裏では貧民街の孤児がトゥキー様達から悪い事を終わっており、この国の必要悪として存在するようにしろと言う事だった。
私ジョシュとその悪ガキ共が繋がっているのは勿論秘密である。
ただやりたい放題はさせるなとのお言葉の為、やり過ぎた際にはお仕置きも必要だと思っている。
国の入り口は至る所にある為一つに絞る事にした。
他の入り口は封鎖。
国へ入るには一つの入り口を通らなければいけないようにしたのだ。
他の入り口を塞いだのは言うまでもなくトレシアスクファミリーとオニール氏だ。
ほんの数時間で多くの入り口を土のレンガで塞いでしまったのだ。
そして国の唯一の入り口に門番を設置した。
これにより自由に国から出入りする事は出来ず、出入りするには交通手形が必要となる。
魔法がある世界だ。
塀を飛び越えて出入りする者は放置である。
そこまで追っていてはきりがない。
そんな新しく設置した門番から魔王軍が来たとの報告が来た。
私は快く通すように門番へ伝えたが門番は元王国軍の衛兵である為若くはない。
恐らく40代だろう。
その門番が魔王軍を見ただけではない程にガタガタと震えていた為理由を聞いた。
すると10年前この国を消滅させかけた、あの魔族だと言うのだ。
私もその魔族に見覚えがあった為、ここは慎重に話しを進めなければ10年前の二の前になってしまう。
国を新しく作り直したにも関わらず滅ぼされてしまってはトゥキー様達に申し訳が立たない。
私は心と体を解し、緊張し過ぎないようその魔王軍4番隊を待った。
王の間は戦後、玉座は撤去され少し広い事務室のようになっていた。
一先ずそちらへ通すように部下に伝え、中央にあるソファーへ座る様案内しろと指示を出した。
そして私が王の間に入るとソファーに座っている者は確かに10年前この国を滅ぼしかけたあの魔族であった。
憎しみがない訳ではないが歯向かって適うはずもない為、私は笑顔を作り中央にあるソファーへ座った。
「お待たせして申し訳ない。ようこそお越しくださいました。新しい国の名前はハートランドと致しました。以後よろしくお願い致します」
ソファーに座っているのは二人。
10年前この国を滅ぼしかけた魔族とその補佐と思われる魔族だ。
そしてその補佐と思われる魔族が話し始めた。
「この度は新たな代表者就任おめでとうございます。我々は魔王様より命を受け、こちらの国へ赴きました。文は送っていると思いますが我が軍の10番隊隊長アザレアが消失した事を私達は知っております。単刀直入に聞くとアザレアを殺ったのは誰か。また、この国は魔王軍の敵になるのか…と言う事です」
魔族二人を待たせている間に部下に話しを聞いた。
案内人がこれまでの戦争の経緯と現状を話したのだと言う。
その為私がこの国の代表者と言う扱いなのは理解してもらえたらしい。
門番の話しを聞いた所、この4番隊隊長バラキエルと言う人物はかなり手が早いらしい。
到着するやいなや国に向って魔法を打ち込もうとしていたのだと言う。
それを補佐役の者に止められたのだとの事だった。
「おい!アモン!そんな話しは良い。この国失くしちまえば済む話しだろ!」
「いえ、バラキエル様。魔王様は敵であれば滅ぼして良いと仰られたのです。見方であればこの先も貢物は受け取られたいとの事でしたので無闇に滅ぼすのはいけません」
「あ!?なくなってもいい国だって言ってたじゃねーか!」
「そうは言いましても利益は少しでも多い方が良いでしょう。話しは私に任せてください。いいですね?」
「っち」
「失礼しました。それで…お答え頂けますか?」
どうやらこの国はちょっと気に食わないだけで消される程の価値しか魔王にはないらしい。
私はアモンと言う魔族に答えた。
「改めまして。私がこの国の新らしい代表として選ばれたショジュ・ハームレットと申します。魔王軍の4番隊を倒したのは放浪の旅人でございます。たまたまこの国に居合わせたとか何かで…。魔王軍を敵対している者達だとおっしゃっていました。その後その者達はこの国にはおらず、既に国を出たと思われます。私はこれからも魔王様へ貢物を渡し、国を守って頂きたい。魔王軍へ協力をしたいと思っておます。その為魔王軍を倒した者を部下を使い隅々まで探しましたが見つかりませんでした。大変申し訳ありません!」
「あ!?そんな嘘っ…!」
アモンがバラキエルを抑える。
「そうですか。腹いせにこの国を消滅させても私達にメリットはない。それであれば今後も貢物を送って頂く方が十分メリットはあるでしょう。ただ一つだけ教えてください。今の口ぶりだとアザレアを倒したのは人間ですね?」
「はい。人間です」
私がそう答えるとアモンと言う魔族は深く考えるような表情で下を俯いた。
「ほう。そいつ等は人間なのか…」
するとバラキエルも目を細め何かを考える表情をした。
「わかりました。この事は魔王様にお伝えしましょう。また追って文でもお送りします」
「わかりました。今後もよろしくお願いします」
話しは思ったよりも早く終わった。
そして魔王軍の二人は席を立とうとした。
「で?アザレアを殺った人間はどこへ行った?」
「…わかりません。この国から一番近い国はヨルヴァンではありますがあそこに行った所で何かあるとは思えません。そもそもこの国に寄ったのも食料調達に寄っただけなのか、目的もわかっていませんし…」
「どこから来たとかは言ってたか?」
「いえ、何も情報はありません」
「っち。使えねぇ」
「申し訳ございません」
「いえいえ、こちらこそすみません。それでは…」
バラキエルは不機嫌そうに王の間を去り、その後ろをアモンがお辞儀をしながら出て行った。
その後魔王軍は国には一切手を出さずそのまま去って行った。
恩人に罪を擦り付け、ハートランドは一命を取り留めたが本人達が良いと言ってもジョシュはあまり気分は良くなかった。
仮にも自分達を貴族の毒牙から守ってくれた恩人であり、国に革命を齎した尊敬すべき人物達だ。
その事を今後ジョシュは酒を飲む度に周りの者に愚痴るようになるのだがそれはまた別の話しである。
その後のバラキエルはと言うと…。
「っち!あの野郎。絶対嘘付いてるじゃねーか!何であの国消しちゃダメなんだよ」
荒れていた。
「あの国は私達の所有物ではなく、魔王様の所有物です。私達が勝手に消して良い物ではなんです」
「っち。こんなとこまで来たのにこれだけで帰るのかよ!」
熊のような…だが熊よりも数倍大きな魔物、名はパンダンスの上で寝そべりながらバラキエルが言った。
「あなたは実際動いてないし、歩いてるのはパンダンスです。別に労働している訳ではないですしいいでしょう?」
「っち。ウゼェ!」
「はぁ」
奔放なバラキエルにアモンは溜息を尽きながら魔王城へ帰るのであった。
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