42.Get down or Lay down
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俺達は貧困害から仲間を集める事にした。
時には物で釣ったりもしたし、これからの生活を…今のままで満足なのかを問いながら回った。
貴族の態度は酷く、身内を傷付けられたと…それでも身分差がある為それを受け入れてしまった者、受け入れられず復讐に燃える者、様々いた。
仲間を集める中、俺達の指名手配書が国中にばら撒かれた。
その為時には衛兵から逃げたりしながら仲間を集めた。
だが当然の如く仲間は期待通りには集まらなかった。
それはなぜか…それは俺達に実績がないからだ。
素材を売っていた商人達には顔が効くし俺達の実力も認めてくれている。
盗みをしていた頃もあった為、その時の謝罪を含め素材は少し安めに卸している。
それでお互いウィンウィンな関係を築けているので問題はない。
ギルドに関しても何処からか俺達の名前が知れ渡り、ギルドへ所属するように勧誘もたまにあったりする。
だがまだまだ国内の一般市民には俺達の名前は伝わっていない。
その為、どうやって実績を作るかに俺は頭を悩ませていた。
と言うのもこの国は辺境にあり、周りに国と言う国は修行している頃に見て回ったがなかったのだ。
砂漠の中にポツンとある、小さい国であり商人の往来も頻繁ではない。
他国が攻め入ると言う事もないのだ。
国に振りかかる火の粉を払うのが一番名を売るのには手っ取り早い。
だがそれも出来ない状況で俺は考えた。
そして考え付いた答えは前世の記憶を活かした店をやる事だ。
俺が考えた店。
それは魔物肉の串焼き屋であった。
正直小麦や米が取れるような気はしない環境であった為、肉を売るのが一番良いと考えたのだ。
幸い市場で野菜は手に入る。
全て輸入物だが相場はかなり安い。
独自のルートを確立しているのだろう。
串肉屋をするのはいいが大切なのはソースだ。
素材は魔袋に入れれば酸化防止の付与も防腐の付与もしている為傷まない。
何故これを付けたのかと言うとアンデッド部隊が腐らないようにである。
当初の目的とは違うが、今となっては良かったと思っている。
良く考えれば長旅をするのであれば酸化防止や防腐効果は必須だなと言う答えに付き当たる。
俺の考えが甘かった事を認識する。
そして問題のソースだが、それはBBQソース以外は考えられない。
照り焼きソースもサルサソースも良いが先ずは秘伝のBBQソース作りからである。
俺達は市場から野菜、果物、スパイス、調味料類を買って家に運ぶ。
そして試作会が始まった。
トマトをベースに使ったり、バナナをベースに使ったり、スパイシー且つ甘酸っぱさをつ追及し、試行錯誤して出来上がったBBQソースは皆満足する結果の物だった。
このBBQソースを作るのに費やした時間4日と15時間。
俺は試作品として魔袋に残っていた魔物の肉を串に刺して焼き、BBQソースを付けて焼いて皆に食べさせる。
すると一口食べた皆から「美味しい」と言う声が上がった。
それはそうだろう。
俺は母国の味、ハイ○ツのBBQソースの味を再現したのだから。
俺はこのBBQソースが大好きだ。
その為、原材料などを見ていて覚えていたのだ。
この味を再現するのに一番大変だったのは数量。
そして熱の調整だ。
この血のにじむ様な4日を俺は忘れない。
そして1日休んだ次の日から材料調達を行った。
何の肉が一番ソースに合うのか…その一点である。
そして素材は思いのほか早く見つかった。
それはファイアーリザードである。
丁度良い肉付きで熱耐性のある俺達には攻撃が全く効かないのだ。
安全に取れる美味しい素材と言う事で俺達はそれからファイアーリザードを良く狩りに行くようになった。
そして商業ギルドに営業許可を得て次の日、朝から俺達は露店を出す事にした。
立地のいい場所は既に店が並んでいる為、新参者の俺達の店は王都へ上がる階段より一番遠い場所に構える事になった。
身元がバレるのは不味い為アラブ女性のような服装で店に立つ事となった。
顔を隠し、目元だけ出す。
砂漠の町で気温も暑いが俺達には熱耐性がある為、左程問題にはならないのだ。
朝の9時に開店してしばらくは暇だった。
店は俺とシーナ、そしてスーカが担当だ。
こういった商売は若い娘がした方が儲かるのは鉄板だ。
「人全然来ないね」
「まだ朝だしな。この時間はどこも仕入れに忙しい時間だ。勝負は昼頃になるだろうな」
「トゥキーって何気にちゃんと考えてるよね。頼りになるな、やっぱり」
「どうしたんだ?急に」
「何でもないわ」
とシーナと何気ない話しをしていると時間は直ぐに経った。
そして他のメンバーが起きて来るのが昼前。
あまりにも暇だった為他のメンバーに朝飯と称し店に並び肉串焼きを食べさせる。
すると昼頃の為、香ばしいBBQソースの匂いに釣られ客が着始めたのだ。
俺達の店がこの国の名物になるのも時間はかからなかった。
結局俺達の店が有名になったのが店を始めて1ヶ月。
この1カ月の内に余計に取れてしまったキルジャッカルやマッスルリノ、バルドコンドルなどの魔物の肉もメニューに追加した。
そして市場で売っている小麦粉を購入してナン風に釜で焼いた。
ナンと来たらカレーは必須だろう。
この平民街でもスパイスは手に入った。
その為カレーも問題なく作る事が出来た。
カレーにナンのセットもメニューに入れて売ったのだ。
これが大当たりで昼の目玉となっていた。
このカレーナンセットに肉の串焼きを買って行く人も増えた。
その時仕入れられた魔物の肉にはよるのだが、大体ファイアーリザードの串焼きが5B、バルドコンドルの串焼きが8B、キルジャッカルの串焼きが10B、マッスルリノの串焼きが15B、カレーナンセットが10B、ナンが3Bと言った感じだ。
値段も手頃で美味しいと評判になったのである。
それから俺達は街に、街の人達に馴染んで行った。
次第に客と雑談をする回数も内容も増えていった。
その中で耳にする王国への愚痴だったり不満を持つ者、現状に満足してしまっている者、色々と把握が出来た。
そしてこの店を始めて3ヶ月が経ったある日、一人の青年が商業ギルドから派遣されて来た。
名はジョシュ・ハームレット。
ミルクティ色の髪をセンターで分けた白人の青年のような見た目の人物だ。
彼の役職を聞くと会計係だそうだ。
ジョシュは俺達の店が繁盛している為、商業ギルドから経営面での手伝いをするようにと言われて来たのだと言う。
俺も皆も孤児の出だし学歴と言う物はなく、簡単な計算が俺だけが出来るレベルであった。
そういった面で手伝ってくれる人間がいるのはとても助かる。
俺はこのジョシュに会計を任せる事にした。
少し位懐に入れられても問題はない。
何故なら俺達がここで露店を営んでいるのは実績作りの一環なのだから。
そんな生活が更に2ヶ月続いたある日、王宮から注文が入った。
パーティが近々行われるらしく、その日に大量に注文したいとの事だった。
最近では在庫にかなりの余裕があった為、少し料金を上乗せして注文を受けた。
そして数時間後ジョシュが俺達の元へ売上状況と今後の対策を伝えに来た。
この頃にはジョシュはただの会計係ではなくなっていた。
と言うのもこいつを会計係にしておくのは勿体無いと感じたからである。
店をもっとこうしたら儲かるのでは?だったり、内装、従業員の服装、メニューの見せ方などの提案をして来てくれて、その通りやってみた所以前よりも客足が増えたのである。
現在俺達の仕事中の服装は髪をタオルで覆い、マスクと言うスタイルに変化している。
簡単に言えば露出が少し増えた程度ではあるが、その分シーナの美貌だったりスーカの可愛らしい感じがより出て二人共既に店の看板娘だ。
その手腕をかって現在ジョシュはマネージャーと昇格をしているのであった。
そしてその途中王宮からの注文が入った事をジョシュに話すとジョシュの表情が急変した。
「何故注文を受けたんですか?」
「値段も釣り上げたぜ?十分な位な。何か他に問題か?」
俺がそう言うとしばらく黙っていたジョシュが話し出した。
ジョシュの両親は王宮に使える貴族から多額の借金をしているだと言う。
それが原因で貴族はハームレット家を好き放題しており、父と母を扱き使い仕舞いには死に至らしめた。
妹が二人いるのだが成人したら貴族の慰み物とされる事が決まっているのだと言う。
ジョシュに関してもいつ何をされるかわからない状態だと言うのだ。
その為幼い頃から一人で生きていけるようにと勉学を学び、商業ギルドで会計係を担当するまでになったのだと言う。
ジョシュは優秀な人間でこの国でも貴重な人材なのは明らかであったし、俺もこの人物を手放すのは勿体無いと思ったのだ。
何より王宮を心底恨んでいる。
そこで俺は店の裏にジョシュを呼び、話した。
ジョシュにはまだ素顔を見せていない。
こういった話しをする時はきちんと顔を見せて話すのが礼儀だろう。
俺はタオルとマスクを取って素顔を見せた。
「もしや…し、指名手配の?」
驚くジョシュに俺は答える。
「ああ。俺もシーナもスーカも皆指名手配の魔法使いと魔剣術師だ。なぁ、ジョシュ。俺はお前を手放したくない。これからも俺達の力になって欲しいと思ってるんだ。俺はこの国を潰す。階級社会をぶっ壊して皆平等な国を作りたい。だが国全体が俺達を直ぐには支持してくれない。頭のいいお前ならわかるよな?その実績を作る為に俺達は露店をやり出した。信用出来る奴、出来ない奴、王政に苦しんでいる人、そうでない人、この国にも様々だ。既に貧困街の人間は既に俺達に付いている」
「え…」
そう。
この間に何も動いていなかった訳ではないのだ。
貧困街の支持は着々と集めていた。
物資の提供、学問や知識の提供、戦闘技術の指導、部隊化指導などなどレイ達が材料調達を終えた後に水面下で動いていたのだ。
それにより貧困街の住人は俺達の味方となっていた。
Get down or Lay down(仲間になるか死ぬか)。
それを選ばせたに過ぎない。
住人達は生きる事を選んだのだ。
「お前もこのままでは死ぬのを待つだけじゃないのか?父と母のように。お前はどうしたい?仲間になるか死ぬか」
そうジョシュに問うと彼は少し考えたような表情をし、直ぐに腹が決まったのか鋭い顔付きになって一言言った。
「仲間になります」
ここにトレシアスク ファミリーの参謀役が誕生したのであった。
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