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4.作戦開始とGhetto

いつもご愛読ありがとうございます。

皆様の訪問数が私の支えとなっております。

今後ともよろしくお願いします。

俺はそれぞれに役割を与えた。

ターゲットは売店に並ぶ果物。

最低3つを目標とした。

盗る果物はその場の判断。

俺達は計画通りの位置に配置した。

合図はレイズが売店の前を通る事だ。

レイズが先ず盗むと言う役を与えた。

皆売店が見える範囲に潜伏しているのだ。


現在売店は一人の女性客が来て、小太りの店員と話しをしている。

世間話なのか値引き交渉なのか会話の内容までは聞こえない位置にいた。

するとレイズが見えて来た。

何食わぬ顔で歩いて行き、店員は女性客との会話に夢中でレイズには気付いていない。

それをいい事に売店の棚より低いレイズが袋をズボンのポケットから取り出し、目に付いた果物を袋に入れて行く。

周辺をキョロキョロと振り返りながら果物を袋に入れて行く。

きっとビビたのだろう。

奴はノルマの果物3つを袋に入れると少し早足で

その場を立ち去ろうとした。

これで何事もなく通り過ぎれれば俺達の出番もなく、イージーに事が運ぶ。

そう願っていたが一人の大人が叫んだ。


「おい!果物屋!あのガキが品物盗んでったぞ!」


ったく余計なことしてくれる。

指を指されて叫ばれたレイズは焦った顔をして走り出した。


「待ちやがれ!クソガキーー!」


店員が店をそっちのけでレイズを追い始めた。

するとプランBだ。

レイズが逃げて行く予定の方向の家の壁にクリンを置いておいた。

こいつらにはまだタイミングと言う物がわからない。

その為、俺が合図を送る事にした。

前以て決めていた合図の手を叩く音2回をタイミングを見計らって鳴らした。

するとクリンは近くにいた、少し金持ちそうな中年男女カップル?夫婦?の男の方の左足にしがみ付いた。


「お願いします。食べ物分けてください」


クリンがそう行動した右側面をレイズが駆け抜ける。

するとクリンがしがみ付いた男が眉間に皺を寄せクリンを蹴り飛ばした。


「触れるな!汚らしい乞食め!!」


クリンは蹴られる前に果物屋の店員を位置を把握した。

左足で蹴られたクリンは気持ち、蹴られた威力とは少し大げさに後ろへ飛んだ。

するとジャストミート。

レイズを追う果物屋店員の足に命中。

すると果物屋店員は前へ転んだのだ。

グッジョブ…心の中でクリンを労った。


「邪魔だ!小僧!」


そう果物屋店員が叫ぶと重い体をなんとか起こし、レイズを追った。

正直レイズは早い。

小太りの店員が追いつける速度ではないのは、空いている距離からしても明らかだ。

これで逃げ切れれば他の者の出番はない。

出番がない事に越したことはない。

レイズはある程度の距離が空いたことを振り返って確認した後、近くの路地を左に曲がった。

曲がった先は狭い路地裏。

ここで店員を巻ければ勝ちだ。

すると何処からともなく声が上がる。


「衛兵ー!衛兵ー!」


するとレイズの行く先に衛兵が道を塞いだ。

レイズが衛兵を目視、立ち止まる。

するとシーナが衛兵の前にスッと躍り出た。


「ねぇ、衛兵さん?私を買ってくれないかしら。逞しいその体で抱かれたいわ」


シーナが衛兵を誘惑する。

シーナは子供だ。

だが大人の俺からしても素晴らしい美貌。

オレンジ色の艶やかな髪。

凹凸が出始めた体。

こんな少女なら俺でも買いたい位だ。

衛兵達は一瞬シーナに鼻の下を伸ばした。

が、すぐさまレイズに視点を戻す。

するとレイズはその一瞬の内へ脇道に入っていた。

その為衛兵達はレイズを見失った。


「何処だ!あのガキは何処へ行った!?」


衛兵が間抜けな声を上げる。

脇道に入った所で選手交代。

果物の入った袋をアレンに手渡し、ゴミ袋が積み重なった中にレイズは隠れた。

袋を受け取ったアレンは必死に走った。

まだ俺やレイズ、シーナより体の小さいアレンには速度も出せない。

中継点として使うのが妥当だろうと判断した。

そしてスーカも同じだ。

体の小さいスーカでは果物屋店員にすら追いつかれてしまうだろう。

スーカは袋をアレンから受け取るとレイズの走って来た方向に走り出す。

方向は同じだが、果物屋がある道とは建物を挟んで一つ奥だ。

路地裏をスーカが俺のいる建物へ走ってくる。


「スー!!」


大き過ぎず小さ過ぎず俺は建物の屋上からスーカを呼んだ。

それに気付くとスーカは上を見上げた。

その先には俺が顔を出していた。

俺を確認するとスーカはニット歯の抜けた笑顔を俺に向けた。

ここは建物の6階。

スーカが3つ果物の入った袋を投げて俺に届けるのは難しい。

ここで最年少組のもう一人、クリンだ。

中間地点の3階の階段の窓からクリンが俺の声に反応して顔を出した。

クリンには一仕事終えたら俺のいる建物の3階の階段にある窓付近に来るように言ってあった。

3階までならスーカでも投げれば届く距離だと計算していた。


「スー、クリンに向かって壁沿いに垂直に袋を投げろ」


するとスーカはコクリと頷くと大根抜き方式に背中を折って一気に上に仰け反り袋を手放す。

ギリギリ…と言った所か。

クリンが辛うじて袋を掴み取る。

それを確認して俺はスーカに言った。


「よし!スー、集合場所へもどってろ」


そう言うとスーカはコクリと頷き、トコトコと走り去った。


「クリン、スーカと同じように壁添いに垂直に袋をこっちに投げろ」


そう指示するとコクリと頷いた。


「クリン、スーカより飛ばなかったら男の恥だぞ」


そう言うとクリンはクッと顔を引き締めてコクリと頷いた。

狭い窓だからスーカよりも投げづらい位置なのはわかっていた。

わかっていただけにクリンを煽り、気合を入れさせたのだ。

クリンは自分の出せる力を出すと同時に出来るだけ壁添いに垂直に投げることを心がけて俺に袋を投げた。

思っていた以上にクリンの腕力はあったようだ。

屋上で袋を待ち構えていた俺の頭上にまで袋は届いたのだ。

俺は易々と袋を受け取るとクリンにも指示を出した。


「お前も降りて集合場所に戻ってろ」


するとクリンはコクリと頷き、窓から身を引っ込めた。

俺は果物を別の袋に移し替えると、レイズが最初に果物を入れた袋をその場に放置して集合場所に戻るのであった。


集合場所に着くと皆が無事に俺を待っていた。


「お前らいい働きだったぞ」


そう言って袋の中を皆に見せた。

そこには桃、林檎、梨が入っていた。


「よし!ご飯の時間だ」


俺達は3つの果物を6人でシェアして食べたのだ。


「こんな新鮮な果物食べたの何年ぶりだろ」


とレイズ。


「本当!本当!美味しかったぁ」


とシーナ。


「幸せ」


とスーカ。


無言で夢の中に浸っているような顔をしているクリン。


「んふぅ」


と幸せそうな笑みを浮かべるアレン。


俺は何度もこう言う笑みを見て来た。

仲間の笑みを見る事が俺の幸せだった。

こいつらの笑顔を見る為に死に物狂いで尽くして来た。

それが俺の使命だとすら思って来たのだ。

するとレイズが俺に話しかけて来た。


「本当、トゥキー様様だな!よし!トゥキー、お前は今日から俺達の仲間だ!俺達の家にこいよ。案内してやる」


「ああ、ありがとな」


と俺は答えた。

そして歩き出した皆の後を付いて俺は歩いた。

スーカは俺を気に入ったのか、嬉しそうな笑みを浮かべて俺にべったりくっつきながら歩いている。

可愛いなと俺はスーカを見下ろし思った。

時々頭を撫でてやると、キャッキャと喜んでいた。


「随分スーカに懐かれたな。そいつ中々他人に心を開かないんだけどな」


とレイズは振り返りながら俺に言った。


「そうなのか」


と返し、スーカを見下ろすがそんな感じは一切見受けられなかった。

俺達は段々と位路地裏へ歩いて行く。

そして町の隅の隅へ着いた。


「ここが俺達の家だ。ようこそ、トゥキー!」


そこは汚らしい、廃材で作られたと思われる家、家、家。

暗く広がったその空間にはゲットーが広がっていた。

やっぱりここにもあったんだな、貧民居住区が。

この先を考えると楽しみしかありません。

なろう作品で今までにない事をしていこうと考えています。

絶対面白くしたいので、最後までご愛読頂ければ幸いでございます。

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