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N.Yの最凶人物が異世界転生した結果  作者: KIT
ダンジョン編
39/113

38.5.ダンジョンが出来るまで(番外編)

今回は初めての番外編を加えました。

N最のアナザーストーリー第1弾であり、今後のお話しにも影響して来る内容にしました。

皆さんの想像を掻き立てれたら嬉しいです。

僕はナキール。

魔王軍の7番隊隊長。

人呼んで小さな巨人ナキール!

と自称しているけど、中々浸透しないのが最近の悩みの一つだ。

それともう一つ悩みがある。

最近魔王様の元気がない。

何か悩み事があるのかわからないけど僕達の話しを上の空で聞いている事が良くあるんだ。

魔王ともなると色々考える事が多いんだろうなって思う。

ご苦労お察しします。


魔王様の人柄を話しておくとしよう。

僕が仕える魔王様はとてもお優しい人だ。

前魔王が勇者に討伐され、次期魔王として世界が称号を与えた者が現魔王様だ。

魔王の称号を得る者はほぼ絶え間なく現れる。

場合によっては数年魔王が不在の場合もあるがほぼ絶え間なくその玉座に座る者がいる。

新魔王となった現魔王様に前魔王を倒した勇者が挑んで来たが現魔王様は前魔王様よりも強かったんだろうね。

魔王様はその勇者を亡き者としたんだ。

それからと言うもの魔王様に挑んで来るような愚か者は数十年現れなかった。

だけど魔王と一緒で勇者の称号を持つ者も絶え間なく現れる。

そして勇者となった現勇者が魔王様の元へ来た。

今回は魔王様は勇者を殺さなかった。

生きて返したんだ。

傷が治ると挑んで来るバカな勇者で何度も何度も挑んで来た。

終いには魔王様は現勇者を気に入り、挑んで来てはぶっ飛ばし、挑んで来てはぶっ飛ばし、その度楽しそうに笑いながら勇者をぶっ飛ばしてた。

傍から見ると恐ろしい光景だけど楽しそうに勇者をぶっ飛ばす魔王様が僕は好きだったんだ。


そんなある日何を思ったか魔王様がダンジョンを新たに作ると言い出した。

しかも場所は砂漠のど真ん中にある都市だ。

そんな所にダンジョンなんて立ててどうするのか…。


ダンジョンの建設は始まった。

100階まで地下へ続く地下ダンジョンだ。

魔王様の命によりそれぞれの部隊が建設に携わった。

その中でも建造に特化したスペシャルスキルを有するフランク・ナイト、オーウェン・ゲイリー、スティーブ・ホールンは何処の部隊にも所属しない、魔王様のお友達のような存在だ。

この人がいないとダンジョンの建設は難航するだろう。


ダンジョンが出来上がって行くに連れ、何故こんな所にダンジョンを建てるのかどうしても僕は聞きたくなっちゃったんだ。

もう我慢が出来なくってある日魔王様に聞いてみる事にしたんだ。


「ねぇねぇ、魔王様。何でこんな所にダンジョンを建てるの?」


「ふっ。相変わらずフランクな奴だな。俺にそんな口きく奴はそうはいないぞ」


「僕と魔王様の仲じゃーん!気にしない気にしない!」


「ったく…。そうだな…俺は強者を待っているのだ。このダンジョンは強者を育てる、言わば修行用ダンジョンだ。世界各地にあるダンジョンは建設された物もあったり自然発生した物もあると言うのはお前も知っているだろう。自然発生と言うのも本当かどうかはわからんがな。何せ俺達が生まれる前の話しだ。何とでも作れるからな」


「まぁそうだね。ごもっとも」


「そのダンジョンは全て普通の生き物には攻略不可の内容だ。攻略した者は嘗ての勇者の一段であったり、魔王軍の者であったり、現勇者…勇者か魔王に関わった者ばかりと言う事になる。ここで鍛えて強くなった者が魔王の称号を与えられるのも良し、勇者になるのも良しだ。この世界を統一する人物となってくれさえすれば私の願いは叶うからな」


「魔王様の願い?」


「うむ。なぁ、ナキール。お前人間が好きだろ?」


「好きだよ!あいつ等面白いしさ、妖精って神聖な者だと思ってるんだよ?笑っちゃう!でもめちゃめちゃ良くしてくれるからたまに殺すの嫌だったりする事もあるけど魔王軍がどういう物かって言うのはわかってるつもりだから仕方なく殺す事もあるかな…ここだけの話し、見逃してやった人間も何人かいるんだけどさ」


「それを俺に言うのか。お前って奴は…ははは。まぁ良い。俺の軍は少なからず人間に敵意を感じている者ばかりではない。中にはお前のように人間と友好関係を築きたいと思う者もいれば人間など根絶やしにしてしまいたいと思っている者もいる。お前は俺はどっちだと思う?」


「魔王様は人間好きだよね」


「ふっ。わかってたか。そう。俺は人間が好きだ。生まれが生まれだからな。だが魔王と言う称号を得てしまった為に皆の意見も見逃せんし魔族を動物扱いする人間も多いのが現実だ。俺達の仲間を殺されて俺が黙っている訳もない。戦争はまだまだなくならないだろう。だからこの世界の認識を変えてくれる者がこのダンジョンで育ってくれたらいいと俺は思っている。いや、願っていると言った方が正しいのかもな。なぁ、ナキール…俺の頼みを聞いてくれるか?」


「何?」


それから魔王様は僕にダンジョンの管理人になって欲しいと頼んだ。

元々殺しは好きじゃなかったけど魔王様の事は好きだから命令には忠実だった。

人間を見逃した所で魔王様が怒るなんて事はしないのはわかっていたから僕は割と自由に戦争に参加してたんだ。

その時は少し考えさせて欲しいと言ったけど…結果はわかってるよね。


------------------------------------------------


私の名前はサンドラ。

蜘蛛の魔物として生まれ、進化を繰り返し土蜘蛛タンチュリアンとなった。

私が土蜘蛛と成れた事はある一人の人間のおかげではあるのだが今はそれは置いておこう。

私は大切な人間を一人亡くした。

その大切な人間は闘う事を生業としていた。

私も何度も大切な人と闘い、お互い一緒に成長をした。

楽しい時間だったがそれももう出来ない。

私の見た目から受け入れてくれる人間は現れず、時には恐れられ、時には命を奪われそうになったり、捕らわれそうになったりした。

人間の住む場所にはいられなくなり逃げたのが魔王様の本であった。

今まで何をしていたのか…何故蜘蛛の魔物から土蜘蛛へ変化出来たのか私は魔王様に話した。

一人の人間のお陰だと。

そしてその大切な人を亡くすと住処を追われ、行く宛がなくなった事を。

すると魔王様は快く軍への入隊を受け入れてくれた。

それに辛かったなと声をかけてくださった。

魔王と言えば最凶最悪の存在として有名であった。

だが実際に会ってみた魔王は優しく、穏やかな人物であった。

私はこのお方に命を捧げようと誓ったのだ。


それから私は7番隊の兵隊長として働いた。

7番隊はナキール様率いる軍である。

当時魔王軍は20番隊まであった巨大組織である。

その中でも10番に入る隊は強く、力の序列で行けば7番隊は番号通りの7番目に強い部隊であった。

7番隊の隊長ナキール様は少し風変わりと言うか、魔王軍の中でも変わり者の集まりであった。

魔王軍は基本的な姿勢として、妥当人間だ。

魔王軍の起源を辿ると人間からの避難、防衛、奪還、人間の駆逐を目的として魔族が集まった対人間部隊なのだ。

私は人を殺した事もある。

それは致し方なくであり、好き好んでの殺人ではなかった。

その為魔王軍に加わったからと言って人を殺したいとは思った事はなく、ただ仕事として淡々と排除した。

だが7番隊は人を好きな魔族が多かった。

人に育てられた者、人に恋をした者、人に良くしてもらって来た者、人の親友がいる者、そういった者が7番隊には集められているようだ。

隊長ナキール様も人が好きで良く、気分が乗らないと人が逃げるのを見逃した。

他の者もナキール様がいいならいいと知らんぷりだ。

勿論私も弱い者いじめをする趣味等は無い為見てみぬ振りをした。


そんなある日魔王城周辺の警備を担当した時、数人の人間のパーティが私達7番隊が見張る魔王城北部に侵入した。

その人間達は強く、部隊の者を何体も切り伏せ魔王城に迫ろうとしていた。

こんな事をする人間は一人しか考えられない。

そう勇者だ。

魔王城北部より勇者のパーティが攻め込んで来たのだ。

私は当時の勇者と対峙した。

勇者と言う存在は魔王と対等に闘える唯一の存在である。

その為私では歯が立たない事はわかっていた。

だが私は久々に強い人間との戦いに大切な人を思い出していた。

あの楽しかった日々が蘇ったような気分になった。

私と大切な人は闘いながら笑っていた。

あの日々を思い出したのだ。

だが私では勇者には敵わず切り捨てられてしまった。

同じ隊の治療班に回復魔法を掛けられなかったらそのまま死んでいただろう。

だが強い人間との戦いは私に楽しい時間を思い出させた。

私が魔王軍に入り弱き者を殺していると知ったらあの人はどんな顔をするだろうか…それから私は兵隊長を降りたい事をナキール様に伝え、防御班へ回った。

仲間を守る仕事であれば私にも出来ると思ったのだ。


それからしばらくすると魔王様が辺鄙な所へダンジョンを建設すると言い出した。

そのダンジョンは地下迷宮となっており、腕っ節だけでは攻略出来ない様になっていた。

ちらほら噂は聞こえていたが、魔王様は近々魔王の座を降りられるのではないかと話されていた。

ナキール様も最近魔王様の様子が変だとおっしゃっていた事もあり私も心配になっていのだ。

ダンジョンの建設が進むと魔王様が私を呼んでいると部下が伝えに来た為私は魔王様の元へ向かった。


「魔王様。お呼びでしょうか」


「ああ。入ってくれ」


「は!」


「何から話そうか…。そうだな。私は魔王になってから人と魔族は理解出来ない物かと考えて来た。ナキールのような者もいればイグリゴリのような者もいる。人と魔族が理解出来る世界を私も夢見たが私が生きている内にそれを実現する事は難しそうだ。そう考えた時、未来へ託す事は出来ないかと考えた。その結果がダンジョンだ。ダンジョンは強き者を育てる場になれば良いと考えている。このダンジョンで強き者が育てば、それが魔王になろうと勇者になろうと私はどちらでも良い。だが挑む者に人と友好関係を持ちたいと思う魔族もいるのだと言う事を伝えられたらと私は考えている。ダンジョンの管理者をナキールに頼んだ。お前には最後のボス役をお願いしたい。…勿論来た人間全てに仲良くしろと言っている訳ではない。お前が見てその人間を判断してくれ」


正直私は悩んだ。

だが、このまま防御班で力を使わずにダラダラと時間を使う位であればダンジョンに残り、その時が来るのを待つ方が良いのではないかと思った。

何より魔王様の夢の手助けが出来る。これまで何も恩を返せずにいた。

そして私の願いでもある人との友好関係を築きたいと言う思い…それを未来に託す事が出来るかも知れない。

私はその場で申し出を快諾した。


後に人間界ではこのダンジョンをサンジバダンジョンと呼ぶようになり、多くの冒険者が挑んで来るようになる。

そこに都市も出来、大層栄えたそうだ。

だが攻略者は現れず、このダンジョンを作った魔王様の意図を気に食わなかった新たな魔王によって都市ごと滅ぼされ挑む者はいなくなった。

新たな光がこのダンジョンに訪れたのはそれから数百年後の事であったと言う。

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