35.最後の戦い 前編
いつもご愛読ありがとうございます。
本日も無事更新出来て良かったです。
もっと文字数掛けたらもっと楽しんでもらえるかなと思いつつ、展開的にこの辺で区切りました。
1000人の方が読んで下さっていると思うと励みになります。
これからもよろしくお願いします。
そこには薄暗く、だだっ広い空間が広がっていた。
石造りの壁、所々に光石のような物が埋めこまれており、辛うじて戦闘は出来る位の明るさ。
ただ奥には明かりはなく、何か大きな気配だけがそこにあった。
その生き物がゆっくりと明かりのある方へ出て来る。
体長は約5m程。
今までの魔物に比べれば小さな体格ではあるが、子供の俺達からしたら大きな存在。
その魔物は人のような体を持っていた。
黒髪と白髪が6:4位の割合で混じり合った長くウエーブのかかった髪。
人であれば180cm位はあるだろう上半身。
人と違うのは下半身。
腰から下が蜘蛛の身体をした魔物。
蜘蛛の身体は大きく、目だと思われる物が8つ程あり体毛が無数に生えている。
だがアラクネではない。
【種族名】土蜘蛛
【個体名】サンドラ
【Lv】150
【称号】キラーマシーン
するとタランチュリアンが口を開いた。
「我が名はサンドラ。このダンジョンを守る最後の番人である。ここまで辿り着いた事を褒めて遣わす」
「何かすげー古臭い話し方じゃね?」
とレイが小声で言う。
皆も同意しているのだろう。
コクコクっと首を縦に振る。
そしてサンドラが気にする素振りも見せず話しを続ける。
「私を倒せば地上に戻れるが、敗れればそこまで。このダンジョンの土となろう。覚悟は良いか」
「ああ。それはいいが話せるなら意思疎通も出来る。サンドラさん、早い話しがあんた、俺達の仲間になる気はないか?」
「声/スペシャルスキル:統率者を発動しました」
俺はサンドラを仲間に誘った。
何故なら話せると言う事がかなり重要で、強い魔物で意思疎通が出来る。
それは味方になれば強い戦力となると言う事だ。
だが皆は俺の発言に、は?と言わんばかりの顔で俺を見る。
「はっはっは!そなたは面白い人間だな。我を仲間に誘った人間など、この千年の間そなただけぞ」
「俺はレーシスト(差別主義)じゃない。同じ世界に生きる者で意思の疎通が出来るなら俺は人と見る。あんたは強い。仲間になってくれるなら心強い。ダメだろうか」
俺は思ったままの事をサンドラに言った。
交渉するのに胡散臭い五択を並べる奴もいるが、こういった交渉に五択を並べる奴は馬鹿だ。
こういった交渉事には正直な気持ちを述べる事が信用に繋がる。
そういった物だ。
「うむ。実に面白い男だ。仲間になりたいとすら思う位にな。だがな、坊主。それは出来ぬのだ。そなた等と仲間になり世界を渡り歩く。考えただけで楽しいだろう事はわかる。何せそなたがおるのだからな。これからも多くの魔物がそなたの仲間になるだろう。だがそなた等がここから無事出れたらの話しだ。さぁ!剣を取れ!我を打ち取ってみよ!」
「やるしかなさそうだな」
と俺は交渉決裂の結果にため息を付きながら言う。
「本当お前って奴は…。トゥキーが言う位強いらしい。気合い入れて行くぞ!」
「うん!」
「全力で行くからね」
「やろう」
「…うん」
そして俺達のこのダンジョン最後の戦いが始まった。
いつも通りクリンが先頭を切ってサンドラへ向かって走り出す。
「おおおお!!」
そして勢いそのままにサンドラへ向かって飛び、斜め一線に棍棒を振り下ろす。
「ガキーン!」
サンドラの足は先端が鋭利な爪となっており、まるで鉄と鉄がぶつかり合ったような音を空間に響き渡らせる。
間髪入れずにレイがサンドラへ飛び込む。
剣には黒炎を纏わせて。
恐らく不味いと思ったのだろう。
サンドラは人間の方の左手の掌をレイに向け魔法を発動させる。
「エアーキャノン」
「グハッ!」
すると魔法陣から空気砲が発生し、レイはそれをくらって10m程飛ばされる。
レイが切り込もうとしている同時刻、シーナが勢いそのままに走りながらサンドラの4本ある蜘蛛の足を落とそうと向かうが、蜘蛛の足で蹴られ飛ばされてしまう。
クリンは前足2本に中々突破口を開けず防戦一方になっている。
目も足も多いサンドラ。
それを全て駆使して3人の攻撃を防いでいる。
体が人で足が蜘蛛だからこそ出来る芸当なのだろう。
そしてパワーアップしたアレンとスーカが前に出る。
物理的攻撃を食らわせられなくても魔法ならどうか。
そしてアレンが詠唱して魔法を発動する。
「ボルトショック」
するとサンドラの頭上に魔法陣が発生する。
クリンの役は攻撃が当るまで敵の注意を引き付ける事だ。
魔法陣が現れたのを気付いても直ぐにその場を離れる事は出来ない。
そしてサンドラに雷が落ちる瞬間、クリンがその場を離れる。
「ピシャ!ドーン!」
ボルトショックはサンドラに命中。
同じ魔法でも威力がまるで違った。
それはこの100階に到達するまでの間で見に付けた技。
魔法により魔力を流し込む。
魔法は魔力量によって大きさが異なるのだ。
今までは詠唱して出た物を敵に当てていただけ。
そこに魔力を流し込む意識を入れるだけで破壊力は数倍にも膨れ上がる。
その為魔力消費量も多く、枯渇も早い。
その為最初の頃は魔力枯渇で悩んだが、回数を重ねる毎に枯渇するまでに放てる魔力数は多くなり、今では20発以上はボルトショックを放てるまでになっていた。
それも魔力量を増やして放ってもだ。
そして空かさずスーカが魔法を詠唱し発動させる。
「アイスブリザード」
するとサンドラの上空に魔法陣が現れ、そこから無数の鋭利な氷の塊が凄まじい勢いで放たれる。
放たれた氷の塊は勢いだけでなく、横回転を加えて飛んで行く。
まるで拳銃の弾のようにだ。
これも魔力量を増やした成果である。
魔力量を通常以上に加えられたアイスブリザードは勢いも氷の硬さも威力も全てが以前の物とは別だ。
「ドドドドドド!!」
全ての氷の塊が出切った所で凄い砂埃が舞った。
それによりサンドラの姿が見えなくなる。
砂埃は序々晴れて行きサンドラの姿が見えて来る。
「クククククク。クハハハハハハ!」
砂埃が晴れた中にサンドラが立っていた。
フルに攻撃を受けた模様で大きな尻尾に氷が刺さったり、足が折れたり千切れたり、下半身部分の蜘蛛の真ん中が焼け焦げていたりした。
体からは紫色の血が流れている。
それでもサンドラは大きな声で笑ったのだ。
「面白い!面白いぞ!」」
そういうと右手を自分に当てて魔法を発動する。
するとみるみる傷口や折れた手足は再生する。
そう、ヒーリングである。
「マジかよ…」
レイが驚きの声を上げる。
最悪だな。
最早魔力切れは望めないだろう。
人と魔物でどの位魔力量の差があるのかはわからないが、絶対的に魔物の方が多いに決まっている。
そう考えるとヒーリングは厄介である。
ヒーリングならまだしも治癒魔法はその上がある。
それも使えるとなったらかなり分が悪い。
「さぁ!続けようぞ!もっと楽しませてくれ!」
そのサンドラの言葉を聞いたレイがニヤリと不敵な笑みを浮かべるのだった。
ポイントを入れて作者を応援しましょう。
評価するにはログインして下さい。
感想を書く場合はログインして下さい。
ブックマークをするにはログインして下さい。
↓同作者同時更新中の作品はこちら↓
https://ncode.syosetu.com/n7908ge/




